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それからしばらくしてリフィルさんは村で仕事があるから別れを告げて、今度はロイドとさっきの男の子、ジーニアスがやってきた。
「こ、こんにちは!」
「(こんにちはー)」
緊張した声で挨拶をする彼にわたしも挨拶の代わりに笑って頭を下げた。
――――・・それでロイドがね、学校でずっとエルの事ばっかり話してたんだ!」
「だぁー!なんか恥ずかしいからやめろジーニアス!」
ジーニアスはロイドの話を聞いてずっと会ってみたかったんだ!と続けてロイドが恥ずかしがってジーニアスを止める。
話によると私は森で倒れていた所をロイドに拾われて何日も眠っていたらしい。
最初の挨拶とは打って変ってしばらく一緒にいるとジーニアスは色んなことを話してくれるようになった。
人見知りなんだ、とロイドがわたしに耳打ちして教えてくれてからは一生懸命話してくれる姿を見て心が和んだ。
「そうだ、エル!外に出たくないか?」
やりとりを見ているとロイドがそんな事を言い出した。
「あ!それいいね!」
ジーニアスもそれに乗る。
「・・・・・・、・・」
行きたい・・・けど、
でも歩けないと言われている手前どうしよう、傷は塞がっているものの足の感覚はまだ無い。
「それじゃサンドイッチ持ってきてるからどっかで食べようよ!」
「気が利くじゃねぇかジーニアス!」
「えへへ」
ちょ、ちょっとお二人さん!
「・・・、・・・・・!」
あの、わたしまだ歩けないよ・・!
困っているとロイドがしゃがんで私に背中を向ける。
視界いっぱいに広がる赤い背中。
もしかしておんぶ・・・?
「ほら、乗れよっ」
「はやく行こう!」
「・・・・・っ。」
ロイドの肩に手を回すとジーニアスが乗りやすいように背中を押してくれた。
優しい子達だなぁ、なんだか心が温かくなる・・
「よしっ行こう!」
「おー!」
「・・・(おー!)」
ロイドとジーニアスの声に、私も手を上に上げて続ける、
一応ちゃんとダイクさんにオッケーをもらって私たちは外に繰り出した。
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