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「あち〜〜〜」

ロイドのやる気の抜けた声が砂漠に消えていく。



トリエットを出た時は朝でまだマシだったけど日中はやっぱり暑い、

やっと旧トリエット跡を見つけたのは午後を随分過ぎた位だったと思う。



「クゥーン!」

「!」

「あっ、ノイシュ!」

そんな中、私の横でずっと着いて歩いてくれていたノイシュが突然逃げ出した。

ロイドが気が付いて止めようとしたけどそういった時は必ず理由がある。


「気をつけろ・・敵だ」


クラトスさんの視線の先には火を纏った石のような塊が二つ。

「エル、下がって」

「!」

リフィルさんに言われた通り私は石版の後ろに隠れて皆の戦いを眺めた。

あれが封印を護っている魔物なのかもしれない。


「・・・」

私も、なにか出来ないのかな。

なんとなく手持ち無沙汰になって辺りを見渡した。



『確か、この辺に――――・・』



一瞬石版を指差す白い腕が見え・・・・


「?」



あれ、誰も居ない。





「お待たせっ」

戦闘を終えたコレットが声を掛けた、私は返事が出来ないから手を振って応える。


「エル、クラトスから粋護陣を教わったんだけど・・ってなんだこれ」

「・・・」


白い腕が指差した方角を見つめると石版がある事に気が付く。

ロイドも気が付いたみたいで皆を集めてくれた。


「エルが見つけたのか?」

「・・・」

「でかしたぞ、エル」

びっくりして黙っていると頭を撫でられた、そうじゃないけどなぁ・・


「・・家の家紋がある。ここが封印なのかな?」

「すばらしい!!」

コレットの言葉に被せ気味に大きな声がうしろから。

びっくりして見るとリフィルさんが堪えきれない笑みを浮かべて遺跡の石を撫でていた。



「くくくく・・思った通りだ!これは古代大戦時の魔術障壁として開発されたカーボネイトだ!・・あぁ、このすべらかな肌触り・・見事だ・・」




「・・・いつもこうか?」

リフィルさんの変わりように流石のクラトスさんもジーニアスを見る。
「・・そうなのか?」
ロイドも堪らずにジーニアスに声を掛けると彼はあからさまに項垂れた。

「あぁ・・隠してたのに・・・」

・・・隠せないと思う



そんな弟の気持ちをよそにリフィルさんは遺跡を解析していく。

この様子なら遺跡の攻略は心配ない。

「ん?この窪みは・・神託の石版と書いてあるな。コレット!ここに手をあてろ、それで扉が開くはずだ」

「ホントかよ」

「これは神子を識別するための魔術が施された石版だ。間違いない」


ロイドが未だに慣れてない感じだけど、
言葉通りにリフィルさんがコレットを呼び遺跡の文を読んでいくと程なくして扉が開いた。

「開きました!・・・すごい!なんだか私、本当に神子みたいです。」

「神子なんでしょ。もー」

そんなコレットはいつもと変わらない雰囲気。

イセリアっ子達も普段の調子を取り戻したみたいで笑顔が増えた。


「よーし!ワクワクしてきたぞ!早く中に入ろうぜ!」

「その集中力が続けば良いが・・」

先生とコレットのお陰で私も少し緊張が解れたみたい、安心して階段を降りる皆の後に続いた。




  
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