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フォシテスが倒れるのを皮切りにディザイアン達は村人を解放して逃げていった。


残されたのはボロボロになった自分達と焼け落ちた家屋

・・・冷たい村人の目、想像できていた事だけど流石にへこんだ。



村は救えなかったけれど幸い死傷者が出なかった事が今回の救い、もうここに思い残すことは無い。





雨が開けた次の日、俺はアンナさんの墓の前で手を合わせていた。




「―――・・詳しくは何も知らないけれど、きっとこれはロイド君自身の体だと思ったのでご報告に参りました。
 
 息子さんの体を好き勝手に使ってしまい申し訳ありません。―――・・ですがこれも何かの縁、出来る限り皆の為に尽力したいと考えています。

 どうか、お許しください。・・・いってきます・・・・。」



「・・・なんでぇ、なにしてるかと思えばそんな所で手ぇ合わせやがって・・」


「!!!・・・お、親父!?いつからそこに・・・」


やばい聞かれた!!!冷や汗が顔から流れる。



「あぁ?・・・なんだ恥ずかしい事でも言ってたのか?ついさっきだよ」

「あ・・あぁ、そうなんだ・・・」


落ち着いてる様子も踏まえ、彼はちゃんと聞かれてないみたいだ。

良かった〜・・、ホッと胸を撫で下ろした。



「・・・ほらよ」

「これは・・・?」


そう言って何気なく受け取ったのは少し大きめの道具袋とお金の入った袋。


「持ってけ、お前金も食料も無しに出て行くつもりだったのか?」

「親父・・・ばれてたのか・・」


本当は書置きだけ残して旅立とうと隠れて旅の準備を進めていたのがばれてたらしい、お前はわかりやすいからな。と、快活な笑みを浮かべて話してくれた。



「あと、これも餞別だ」

「剣?」

片方を鞘から取り出すと美しい刀身が露になる・・・ドワーフが打った刀・・そう滅多にお目にかかれはしないだろう。


「・・・すげぇ」

「良い力だろうが、悪い力だろうが要は使う人間次第だ。お前ならその宝石、正しく使える。・・やる事やったら帰って来い、血は繋がってなくともお前が帰ってくるところは俺の所だ」


「有難う・・・親父」


本当に素敵なお父さん。つい涙ぐんでしまったけれど本当に頑張らなきゃいけないのは此処からだ。


「俺、行って来ます!!必ず帰るから!!!」

「・・・おぅ、行って来い」


ほんの短い間、けどちゃんと面倒を見てくれたダイクさんに思いっ切り頭を下げた。





「ロイドー!」


遠くの方でジーニアスの呼ぶ声がした。



そう、物語はここから始まるんだ。




  
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