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いつもならすぐ行ける距離らしいけど魔物と戦い思うように進めない、
そんな中ジーニアスが足を止めた。
「ねえロイド、あれ見て!」
「・・・あれは」
いつのまに現れたのか山の向こうに天まで届く白いものが見える。
「・・・・・あれが救いの塔ね、再生の旅の執着地点―――・・神子が目指す場所」
「コレットが・・」
あんな遠くに行くのか・・・。
「安心しなさい、神子には護衛が付くし私も同行する。怪我一つ無く学校に戻すわ」
「・・・・・。」
そんなの、嘘じゃないか・・・
喉まで出掛かった言葉をぐっと耐える。
――――・・!!・・・!!!
「!?」
「ロイド?」
遠くでなにか聞こえた気がした。
横でジーニアスが不思議そうな顔で私を見る。
「急ごう、コレットが心配だ」
「・・うん」
「えぇ」
「ちょっと待ってよロイド!」
「先に行ってる!」
運動が苦手なジーニアスが聖堂の長い階段を目の前にへばるのを横目で見ながら自分はエクスフィアの力も借りて強引に上った。
コレットが危ない気がする。
解除された聖堂の転移装置に乗り祭壇まで辿り着くと武器を構えた武装集団の姿、あれがディザイアン・・・?レネゲードだったっけ。
おびただしい数の血を流し倒れた人々の奥・・・守られるようにしてコレットはチャクラムを手に震えていた。
「コレット!!!」
「ロイド!」
名前を呼ぶとコレットの表情がほんの少し和らいだ。
相当怖かったんだろうな・・
「お前、何者だ!!」
「・・・」
少し遅れてジーニアスと先生も遅れてやってきた。
「先生、怪我人を!」
「待ちなさいロイド!!」
急に現れた自分達に敵が驚いている中すばやくコレットの前に踊り出て剣を握る。
・・・普通なら自分も怖いはずなのに不思議と私の気持ちは高揚していた。
「ロイド・・」
「あぁ!」
6・・いや7人、魔物で慣れたとはいえこんなにいっぺんに戦えるんだろうか。
一抹の不安が過ぎる。
けどいかなくちゃ・・・!
心臓が煩い、剣を構えたその時・・・
「すまない、遅れたな」
渋めの低い声、ロイドよりも少し暗い鳶色の髪の男性。
「おぉ、来てくれたか・・・クラトス殿・・」
先生が治療していた司祭が彼に反応する。
パパ来たーーーー!!!これで勝つる!!!
彼はそんな私の表情に気付いてしまったのか一瞬此方と目を合わせてから敵の中央に歩き出る。
「・・・・」
来い、と言葉を使わずに首を動かすとその舐めているようにも見える挑発にいっぺんに敵が襲い掛かる。
「っ!」
「ぐああああ!!」
一瞬心配したのもつかの間、そこにいた数人の敵はあっという間に血を吹き出し倒れていった。
「・・・・」
す、すごい・・・。
「ぐっ!?うぉおおおお!!」
「!!」
仲間の姿を目の当たりにした1人の生き残りが行き場を失って私に剣を振り下ろす。
私は両手でそれを受け止めて鍔迫り合いに持ち込んだ。
くそっ、私だって・・!!
「っく・・・うらぁっ!!」
「・・っ!!」
途中でわざと剣を弾く、その反動で相手にスキが出来る瞬間目掛けて左手の剣を相手の鎧の腹部に出来た隙間に差し込んだ。
「うわぁああああ!!!」
「・・・っ」
血が噴射して顔に掛かる、敵は叫んでから少し体を痙攣させて動かなくなった。
「・・・。」
・・・人を切ってしまった。
ありきたりだけど敵の遺体を見て漠然とそんな事を思った。
眺めていると酷く心配そうな顔でコレットが駆け寄って来る。
「ロイド、大丈夫!?」
「・・・あぁ、それよりコレットは怪我してないか?」
「うん、ありがと・・でもロイド、包帯が・・」
「ん?」
コレットが指差す自分の左手を見ると今まで巻いていた包帯が無くなっていた。
そうだ、エクスフィアを隠してたのに・・
「・・げ!親父に怒られる!!」
「うちで包帯巻いてあげるねっ」
「悪いな、コレット」
っていうか良く考えると血塗れだ・・
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