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「(ただいまー)」


口ではそう言ったつもりでドアを開けるとその音に気付いたダイクさんが振り返った。



「おかえり」


「ただいま、親父。あのさーエルフについて聞きてぇ事があるんだけど」

「ん、どうかしたのか?」


「エルが今日突然エクスフィアに反応して体が光ったんだ・・親父何か知らないか?」


「んーそうだなぁ、・・・俺も詳しくは知らねぇが

 原石や力が強すぎたりするものに反応してソイツ自身の体のマナが光るってのは噂は聞いたことある。

 ロイド、お前のエクスフィアは要の紋で制御されててまず無い筈だ。尤も・・体が光るなんてよっぽどの事だがな」


「・・・・ってことは要の紋が付いてないエクスフィアには反応する事がある奴がいるんだな」

「・・・・」


ロイドが私の体を気遣ってくれてるのはわかるんだけど・・・



「・・って事は要の紋を付けてない人間に会ったのか?」

「げ」


ロイドは嘘が苦手みたいでこうして誘導尋問されて言われるがままどんどん吐いちゃう人だ、優しいけどおばかなんだなぁ・・・



「エル、今おれのこと馬鹿にしたか?」

「(いえいえ〜)」



「ロイド!ドワーフの誓い第11番!嘘吐きは泥棒の始まりでぇ、正直に話せ。」




「・・・・・・今日牧場で知り合った人が要の紋無しのエクスフィアを付けてて・・・」


「牧場に行ったのか!?」

「「!!」」



ダイクさんの怒声が鼓膜を叩く。ビックリした・・



「わ、悪かったよ!ちょっと・・色々あってさ」

「・・ディザイアンにエクスフィアを見られなかったろうな」


「あぁ、大丈夫だよ・・・でもどうしてそんなにコイツの事を隠すんだ?今日村に来た傭兵なんか堂々と装備してたぜ」


「・・・・お前のエクスフィアは特別なんだ。」


どうやらダイクさんは危ないからだけで怒っている訳じゃないみたいだ。

・・私聞いてていいのかなぁ。




「・・そのエクスフィアはお前の母親の形見だ。ディザイアンはそいつを奪うために母親を殺したんだ」



「・・・本当・・・なのか」


ロイドからお母さんは事故で死んだと聞かされていた私も驚いた。



「お前の母親から聞いたんだ、間違いあるめぇ」

「何でそれを今まで黙ってたんだよ!」


「言えばお前は、ディザイアンにつっこんでいっただろう」


「だけどよ・・」


「お前はディザイアンに関わるな!エルだって同じだ、ぼろぼろの体だったのにまた危険な目に合わせる気だったのか?」

「!!」


その一言でロイドの瞳が揺れる。


私が運ばれた時相当酷い姿だったと聞いたけど・・それを思い出したのかな。



「・・・っ、悪い・・エル・・頭冷やしてくる」




いつの間にか話をしてる間にあたりは暗くなっていて、ロイドは眉間に皺を寄せて外に出て行ってしまった。


「(ロイド・・)」


「悪いな、エル。あいつはそっとしといてやってくれ。そうだな・・・さっきの光の話の続きをしてやろう」


「?」


追いかけようとすればダイクさんに止められた。

振り返ると彼は本気で怒っていたわけじゃなかったらしく、いつも通りの落ち着いた雰囲気に戻っていた。



「あれは昔からの古い伝承なんだ。若い奴等はもう知らないだろうが・・昔のクルシスの輝石やエクスフィアはある条件を満たした人間に近付けば光るって事があったそうだ。
 
 要の紋がまだ一般的じゃない時代でな、要の紋が無いエクスフィアは毒だって話はしたと思うが・・その時に毒を一時的に止める方法がそれだったんだ。
 
 ・・・俺が聞いた話ではその光を施された人間は長くて10年は毒に侵されずに済むんだそうだ」


「(どんな条件・・・?)」

「すまねえ、それ以上はもう覚えてねぇんだ・・なんせ百年も前の話だ。文献もあるか怪しいくらいだな」



ひ、ひゃくねん・・・ダイクさんは一体いくつなんだろう。







  
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