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四人、正確には三人と一匹だけど、たくさん話をしているうちに夕日がさしてきてしまった。
「やばっ、早く帰らないと姉さんに怒られる・・・」
それにいち早く気付いたジーニアスは慌てはじめた。
なんとかしてあげたいけどわたし何もできないしなぁ・・・
「それならノイシュ貸してやるよ!サンドイッチの礼な!」
「ワフッ!」
ノイシュは言葉がわかっているようにロイドに返事した。
「ありがと、ロイド!エル、またねっ!」
いつもしているらしく、別れを告げるとジーニアスは手馴れた様子でノイシュに乗って山を下って行った。
「山のふもとに村があるんだけど、そこにジーニアス達の家があるんだ。」
「・・・」
ジーニアスとノイシュが見えなくなっていくのを見守っていると遠くでカラスが鳴いた。
「よし!・・・そろそろ俺達も帰るか、」
「!」
うなずくとロイドがまた背中を貸してくれた。
「先生とジーニアス、いい奴らだったろ?明日は幼馴染のコレットを連れてきてやるからなー」
おんぶをされながらロイドがわたしに言う。
コレットっていうのは名前からして女の子なのだろう、たのしみだなぁ。
「・・・・。」
「・・・あのさ、エル」
「・・・・・・?」
急にロイドは真剣な声で話し始めた。
「記憶、・・無理して思い出そうとするんじゃねぇぞ。」
「・・・・・・?」
どうして?と聞く前にロイドは口を開いた、背中からじゃ表情は見えない。
「あんだけ怪我してたんだ、記憶まで失うってことはただ事じゃないと思うんだ。だから・・・?」
あ、心配してくれてたんだ。
「〜〜〜っ(なんていいひとなんだろう!)」
わたしは嬉しくなってロイドをおんぶされたまま背中からぎゅっと抱きしめた。
「〜〜〜〜〜〜ッ!」
「(ありがとう、って伝わればいいなぁ・・・あれ?)?」
気付けばロイドの歩みが止まってしまっていた。
こちらから顔が見れないので肩を指でつついているとやっと返事が返ってきた、
「・・・・・・・かお、ちかいって」
「・・・!(ああ!)」
ロイドの家にはたどり着くとダイクさんが夕飯の用意をしてくれていた。
「ん?なんでェロイド、熱でもあるのか?顔が赤いぜ」
「ななな、なんでもねぇよ親父!」
ウブだなぁ、なんてジジくさい事を思ったのはここだけの話。
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