はじまりの日
僕と陸の出会いは、僕がまだ小学一年生の六歳のときまで遡る。
父が居ない母子家庭である僕は、それを理由にクラスメイトから苛められていた。いじめ、とは少し違うかな。六歳という幼さからくる無邪気な悪意は、自分達とは違う僕を仲間外れにするという行為に
変換されていた。「だって稜くんの家って、おとうさんいないんでしょ?」、仲間に入れて欲しかった僕の胸に、その言葉は深く深く突き刺さり。放課後誰もいない家に帰るのがいやで、よく公園の片隅で時間を潰してた。花壇ではない、公園の端の方で無造作に生えている草陰に隠れるようにして膝をかかえて。広場から聞こえる、クラスメイトたちの遊ぶ声から耳を塞いで。
そうしてたら、きみがあらわれた。
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2010/03/21/