寺生まれの坊ちゃん(前編)



セレネside


―1時間目:悪魔学―

「“腐の王”アスタロトの眷属で最下級の悪魔の名前は?時渉!」
「マック〇クロスケッ!!」
「いや似てるけど!ちゃんとした名前で呼びなさいッ!!魍魎だって知ってるだろ君飼ってるんだからッ!!」←先生達も“悪魔飼育員”の噂を知っている(笑)
「だってマック〇クロスケって呼んでも出てきてくれるもん、“マック〇クロスケ出っておーいでー!出ーないーと目ー玉ーをほーじくーるぞー!”」

ワサワサワサワサワサワサ………

「だからって態々召喚するなぁぁああッ!!」









―3時間目:悪魔薬学―

「それじゃあこの間の小テスト返すぞー、まず志摩!」
「ほぉい」
「私自信あるよ、得意分野だもん!」

最近入塾してきた金髪ボブの可愛いお姉さん、杜山しえみことしーちゃんは、余程悪魔薬学に自信があるらしく胸を張っている。
僕はもう祓魔師の資格を取っているので基本は分かる、それに資格取る時にお姉ちゃんや雪兄が鬼のように勉強教えてきたからね。イヤでも覚えてるよ。

「杜山ー」
「はっはいッ!!」
「植物に自分流の名前をつけるのは面白いけどな、テストではちゃんとした名前書かねぇと駄目だぞ?それなきゃ満点だったのに勿体ねぇ」
「!?」

しーちゃんがショボンヌ(´・ω・`)になってる!!元気出してよしーちゃん!次こそ満点取れるって!!

「ぶっはは!?お前得意分野なのになぁッ!!」
「やめて燐兄!!しーちゃんのライフゲージはもうゼロだよッ!!」
「おい燐……」

獅朗ちゃんが燐兄を呼んで、ピラリと見せたテストの点は…………二点。

「お前どうする気だよこの点数……のび太みてぇに0点だったら雪男倒れてたぞ」
「お蔭で胃が痛いよ……」
「……………ごめん」

燐兄人の事言えないじゃないか……二点は流石にないよ。そんなんじゃこの先のテストやってけないよ……

「勝呂ー」
「はい!」ガタッ

わぁ、あのお兄さん凄い鶏冠だなぁ………見た目怖いけど。そう思っていると、鶏冠君は燐兄の方を向き、ギロリと睨む。

「二点とか狙ってもようとれんわ、女とチャラチャラしとるからや胸糞悪いッ…!!」
「は!?」
「燐兄、言われても仕方ないと思うよ……普段からよく寝てるし。確かに授業態度悪いよね」
「うぐっ……」

燐兄は僕の言葉を聞いて黙りこんだ。
図星だね、流石に二点じゃ何も文句言えないよね。

「よく頑張ったな勝呂!」

ふと見てみると彼の点数は…………九十八点!?

「「な…ん……だと!?」」《ドッドッドッドッドッドッ》
「なんでジ〇ジョなんやアホかッ!!そこの猫又も効果音書いたボード持つなやッ!!」
「ばば馬鹿な、お前みてぇな見た目の奴が九十八点とれる筈が……常識的に考えてありえねぇよ」
「なんやとッ!?俺はな、祓魔師の資格取る為に本気で塾に勉強しに来たんやッ!!塾におんのは皆真面目に祓魔師目指してはる人だけやッ!!お前みたいな意識の低い奴目障りやから早よ出ていけッ!!」
「(え…すげぇマトモだ…コイツ)なっ……何の権限で言ってんだこの鶏冠、俺だってこれでも一応目指してんだよッ!!」

そう言い争っている内に二人はどんどん勢いを増していき、今にも手が出そうな程である。

「お前が授業マトモに受けとるとこ見たことないしッ!!いっっつも寝とるやんかッ!!」
「おっ俺は実践派なんだッ!!体動かさないで覚えんの苦手なん「お前らいい加減にしねぇかッ!!」」

二人が取っ組み合いを始めようとした瞬間、獅朗ちゃんが間に入って二人の頭にゴンッ!!と勢い良く拳骨を落とした。

「「いっっっ………てぇええええッ!!」」
「其々言いたいことがあるだろうが、今は授業中だ!!勝呂、お前の言っていることは正しい。授業中は寝ずに聞くのが当たり前だしな」

燐兄は「でも」と反論しようとするが、獅朗ちゃんは燐兄をビッ!!と指差し黙らせる。

「燐、今回はお前が悪い。確かに色々言われて腹が立つのも分かる。けどな?実際に授業中寝てちゃあ意識が低いと思われて当然だ、お前は反論出来ねぇ立場なんだぞ」

そう言われて、燐兄はうぐっ…と何も言えずに黙りこむ。

「でもな、勝呂………コイツがマトモに授業受けらんねぇのは、今まで育ってきた環境のせいもあるんだ。全ての人間が普通に授業を受けられる訳じゃねぇ、其々色んな理由でマトモに授業受けられない奴だっている。だから、今日のことは許してやってくれねぇか?コイツのこと」

獅朗ちゃんは燐兄の頭をぐいっと押して無理矢理下げさせ、鶏冠君の方へ向かせる。燐兄は昔から悪魔特有の怪力のせいで皆から怖がられていたし、学校なんて生徒の他に教師や校長にまで恐れられていたんだ。学校に行く気にすらなるわけないよ。
鶏冠君がその一連を暫く見つめた後、言葉を発しようとした瞬間……授業終了のチャイムが鳴った。

「…………あぁ、もうこんな時間か。兎に角お前ら、なるべく早めに仲直りしとけよ?おい雪男行くぞー」

さっきの雰囲気は何処へやら、授業が終わった瞬間に獅朗ちゃんはガラリと雰囲気を切り替え、いつもの調子で雪男と共に教室を去っていった。


To be continued…
*H27.1/13 執筆。



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