四神の祓魔薬局



セレネside


「―――……でね、最初は逃げ回ってたんだけど、あのさっちゃんから逃げられるわけなくてさぁ……結局その日から毎日一緒にお風呂入るようになったんだよねぇ」
「…………………セレネ、お前大丈夫か?鬼灯食っといた方が良いんじゃねぇの?」
「いや襲われてないからね!?なんで避妊薬!?」

※鬼灯とは?
根っこの生薬は鎮咳剤や利尿薬等に使われる。
昔遊女が堕胎薬として服用していた。アルカロイド及びヒストニンを含むので流産の恐れアリ。
妊婦さんは食べちゃ駄目だよ!!






僕は最近のさっちゃんの愚痴を聞いてもらうべく、祓魔薬局という所に来た。祓魔薬局とは、主に祓魔関係の薬品や漢方等を扱うお店で、東西南北の四神である朱雀・白虎・青竜・玄武が経営している。
まぁ裏では物質界に住む悪魔達のお医者様をしているわけだが。所謂闇医者である。

「にしても、あのサタン様がなぁ……」
「どうしたの朱雀?」
「いや、サタン様って性欲強いから虚無界では夜伽が何人もいるくらいなんだけどさぁ……………風呂に入る時は絶対誰も入れないらしいんだよ」
「へ…?女の人と入らないの?」
「なんでも、風呂くらいは誰にも邪魔されずに入りたいらしいぜ?」
「何それワケわかんない」

意外だなぁ……お風呂でも18禁的な事を綺麗なお姉様方としてると思ってたんだけど。じゃあなんで僕とは一緒に入るの、意味が分からないよ。
あ、そうか僕は湯タンポ変わりの様なものなのか。人の反応見て楽しんでるだけなのかそうかそうか。よーし覚えてなよさっちゃん、いつか絶対倍返ししてやるんだからねッ!!←※(詳しくは番外編で)

朱雀とそうして畳の上で談笑していると、目の前のちゃぶ台に二人分の緑茶とお茶菓子を置かれた。持ってきてくれた人物を見るべく顔をあげると、そこには相変わらず眠そうな顔をしている白虎がいた。

「あ、白虎久しぶり!お邪魔してまーす!」
「うむ、久しぶりじゃなセレネ。今日の和菓子は桃山饅頭じゃ」
「だから俺は甘いの苦手だって前から言ってるだろ?」
「良いではないか、なんだかんだ言っても最終的には食べてくれるのだから」

そう言って欠伸した白虎は、「余は寝る」と呟いて縁側の方へ歩き出す。

「おいちょっと待て、お前店番はどうした?今の時間帯はお前の筈だろ?」
「玄武に変わってもらったのじゃ」
「何変わってんだよあの馬鹿ッ!!っておい待て逃げるな白虎ッ!!」
「儂知らんもーん」
「もんじゃねぇよコラぁあッ!!」

朱雀はスタスタと奥へ行く白虎を足早に追いかけていった。あーあ、一人になっちゃったなぁ……あ、この桃山美味しい。
僕が朱雀の向かっていった方向を見ながら桃山を食べていると、隣に青竜が腰かけてきた。

「久しいなセレネ、相変わらず小さくて可愛い奴だ」
「お願いだから身長の事は言わないでよ…」

僕の体が成長しない理由知ってるくせに言わないでよ、君がブリザードフラワーみたいなのが嫌いなの知ってるけどさぁ。
青竜は半永久的に保存させるものとかが嫌いだから、「枯れゆくからこそまた美しい花を咲かせる」だのなんだの言うんだよね。まぁ「サマエル様の考えには半分賛成で半分反対だ」って言ってたけど。
青竜は朱雀の分だった桃山を食べながら、僕に話し出す。

「そういえば……セレネ、“天原の庭”を知っているか?」
「天原の庭?」
「あぁ、そこにはこの世にある全ての植物が生えているらしいんだ。何処にあるかは謎なんだがな」
「この世の全てってことは……物質界のも虚無界のも全て?」
「そうだ」

へぇ、初めて聞いたなぁそんなところ。
どちらの世界の植物も纏めて生えているなんて……絶対誰かが創ったよねソレ。

「さぞや綺麗な所なんだろう…………いつか行ってみたいとは思っているんだが、なにしろ場所が分からないからな…」
「僕も行ってみたいなぁ……場所分かんないなら仕方ないよね。今度アマイモンに聞いてみようかな?」
「……………アマイモン様に気軽に聞けるのは、お前くらいだろうな」
「うーん、アマイモンは友達見たいなものだからなぁ…」
「友達……か。アマイモン様もそう思っているとは限らないけどな」ボソッ
「ん?何か言った?」
「いや、なんでもない」

そう言って青竜は僕の頭を一無でし、残りの緑茶を飲み干した。




後日談。

「ねぇアマイモン、天原の庭って知ってる?」
「あぁそれ僕が創りました」
「!?」


To be continued…
*H27 1/5 執筆。



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