通りすがりの謎の美少年



目が覚めると、イケメン達に囲まれていた。
髪の一部に紫のメッシュが入っている水色の髪の痩せ型の美少年。黒髪ショートの可愛いショタ。そして私と年が近そうな金髪ショートの美少年。
イケメンって寝顔も可愛いよね、最高かよ。

ヒナ「そうか、此処は天国か」
?「ん……ヒナちゃん…?」
ヒナ「はいヒナちゃんです。てか誰だよ……ん?前にもこんなことあったような…」
?「眠い……」
?「むにゃ……うまそ……………ガブッ」
ヒナ「いだだだだだだ痛い痛いちょっと痛いってッ!!お願いだから起きてよ助けてドラ〇もぉおおおおおんッ!!」

今回ドラ〇もんは来てくれなかった。
あれ、デジャヴ?










私が気を失っている間に、色々あったらしい。
あの後海は進化してジメレオンになり、進化する際の突然の光でヨマワル達は逃走。ゴーストが光を浴びて弱っている所にトドメを刺した海が私を保護。
叫び声や突然夜に光るのを見て、ガーディ達が駆けつけゴースト達に厳重注意した。

話を聞くと、ガーディ達はこの辺を取り締まっているらしく、警察の様にパトロールしているらしい。この辺の野生ポケモン達はお互いの縄張りを決め、幾つかのルールを決めているらしい。

キャンプ中の人間を襲わない、お互いの縄張りを荒らさない、人間を補食しない……等々ルールを決め、守ってきたらしいのだが。
ゴースト達はここ最近怪しい動きをしていたようで、夜に出歩く子供達を拐っているという黒い噂が流れた。そこで、正義感の強い自警団のガーディ達がわんわんパトロールをすることに。

その結果、私達を発見し犯行が明るみになったということだ。私以外にも被害にあった子供は何人かいたようだが、既に手遅れな状態だった。本当にポケモンって人間襲うんだ……ゴーストタイプ怖い。
犯行に関わっていたゴーストやヨマワル達をどうするのかは教えてもらえなかった。世の中には知らなくて良いこともあるよね、うん。考えないようにしよう。

因みにイケメン三人組は私の手持ちポケモンだったようだ。海が進化して16歳くらいになってる……クールな雰囲気になって、もう泣くこともなさそうだ。
千里は13歳くらいかな?黒髪赤目でキリッとしてるから威圧感あるショタだけど、すんごい眠そうな顔してる。朝弱いのか?ニート臭がする。
虎徹は私と同い年くらいかな?金髪金目で活発な感じ。目を宝石の様に輝かせて私に抱き着いてくる。ワンコだな。あ、海に引っぺがされた。

海「昨日は大変だったねヒナちゃん。怖かったよね……大丈夫?怪我はない?何処か痛い所は?」
ヒナ「ちょっと怖かったけど大丈夫だよ、心配かけてごめんね。怪我なんてしてないし、ちょっと舐められただけだから」


ピシッ……


あっ………ヤバいやっちまった。
コイツらにそんなこと正直に話したら面倒なことに……ってもう遅いか。逃げたい、ダッシュで逃げたい。

虎「舐められ……」
千「ただと…?」
ヒナ「いやあの……性的な意味で舐められたワケじゃないし、ご飯前に味見しちゃう感じに近かったからその……ね?気にしなくて良いから!」
海「隅々まで体を洗ったんだけど……まだ足りなかったみたいだね。お風呂の時にでも消毒してあげるね」
ヒナ「え、いつの間にそんなことを……って、消毒?嫌な予感しかしないんだけど…『あのー』ん?」
犬『僕達のこと……忘れてません?』
「「「「あっ……」」」」

完全に忘れてた。
リアクションに困るよね、ごめんね朝御飯あげるから許してくれ。ホットテールサンドとコンソメスープ、オマケにオレンの生搾りジュースもつけてあげるから。



さて、お腹いっぱいになった所で……食後の運動といこうか。そう、レベ上げじゃぁあああ!!
また襲われた時の為に強くなっておかねば!!昨日みたいに誘拐されかけないように!!ポップンにこの事知られたら、絶対また過保護になるに決まってる!だから強くならないと!!

というわけで、わんわんパトロールの皆さんがレベ上げに付き合ってくれるそうです!!イェーイ!ドンドンパフパフ〜!!
なんでも、私みたいなか弱い女の子がまた襲われたら大変だ!協力しないと!…という正義の使命感みたいなものがあるみたい。
流石ガーディだ、警察犬としてよく活躍してるだけあるわ。他の草むらにいたガーディ達も事情を聞いて協力してくれるそうだ。
いやぁホント有難い。だって……炎タイプでしょ?うちのポケモン達は炎弱点無くて、寧ろ効果抜群な海がいるんだよ。ガーディ大量にいるし、こんなに美味しい経験値はない!ガッツリ稼がせてもらうよ!!
え?なんだか狡いって?楽に稼げるならなんだってやるさ!!てか数的にはコッチが不利なんだから大丈夫だ。問題ない。

ヒナ「じゃあ最初は五匹くらいからいこうか!」
犬1『最初は僕が!』
犬2『じゃあ俺も俺も!』
犬3『私もー!』
ヒナ「よーし五匹集まったね!じゃあトップバッターは海、君に決めた!」
海『初っぱなから鬼畜だねヒナちゃん……』
ヒナ「勝てば良いのよ勝てば!デュエルスタンバイ!!」


野生の わんわんパトロールが
現れた!


ポケモントレーナーの ヒナは
海を 繰り出した!


犬4『よーしお前ら囲め囲めぇええッ!!袋叩きにしてやるぅううッ!!』
犬5『任せろッ!!』
ヒナ「フッ…甘いな!!逃げられないようにしたつもりかい?道が無いなら……切り開けば良いのさッ!!海、太陽に向かってジャンプッ!!」
海『了解ッ!!』

海は私がやろうとしていることを理解したらしく、バッと太陽を背に空高くジャンプした。

犬1『うぐっ……目がッ…!!』
犬2『逆光を利用しただと…ッ!?』
ヒナ「ふははははッ!!自分達から近づいてきてくれて助かったよ!!これでもくらえッ!!海、上に向かって思いっきり水鉄砲でシャワーッ!!」
『『『ギャアアアアアアアッ!!』』』

噴水状になった大量の水が下にいるガーディ達に直撃した。効果は抜群だッ!!

犬3『ヤバい…一旦離れないと……』
犬2『目がチカチカするよぉ!』
ヒナ「逃がすか!!海、全員に水の波動!!」
海『これで……決めるッ!!』
『『『ギャァアアアアアアアアッ!!』』』

やったね!私達の圧勝だよ!!まぁ相手との相性抜群だったから当たり前か。

野生の わんわんパトロールを 倒した!

さぁ、この調子でどんどん行くよ!!
その後虎徹達にもバトルさせて、三匹ともレベルアップさせた。いやぁ、美味しい経験値御馳走様です!
良い経験値稼ぎになったなぁ、ガーディ達に感謝しなくちゃ……と思っていると、一人の拍手する音が聞こえてきた。
此処には私達しかいなかったはず……音のする方へ振り向くと、近くの木の上に茶髪の美少年が立っていた。
私と同い年くらいの中性的な顔をした糸目の子。でもその雰囲気から男の子だと分かる。

?「いやぁ、見事な戦いでしたねぇ」
犬『なッ…!!いつの間にそんな所に…!!』

美少年は口元に笑みを浮かべ、木から飛び降りて私の傍へ降り立った。ちょ、近い近い!!顔近いって!!

?「バトルが始まる頃にはもういましたよ?
ココガラの時はドリルくちばしの高速回転で、相手の火の粉を相殺しながら突っ込んでいき、ワンパチの時は頬擦りしてじゃれて麻痺させ、相手を翻弄しながら自分のペースへ持っていく……。
流石ヒナさんですね、トレーナーになったばかりとは思えないほどの機転と指示でした。」

私の名前を知っている……?

ヒナ「君……何者?」
?「安心して下さい、怪しい者ではありませんから。そうですねぇ…僕のことは通りすがりの謎の美少年とでも呼んで下さい♪」
ヒナ「自分で美少年って言ったよこの人。てかなんで私のこと知ってるの、まだジムチャレンジに出てもいない無名のトレーナーなのに」
美「それは…………秘密ということで♪」

秘密って……どこの魔族だよ。
そもそも私のことを何処で知ったんだ?まさかずっと前から私のことストーカーしてたとかじゃないよね?そうだと言ってくれ頼むから。
それにコイツ…さっきガーディの言葉分かってたよね?

ヒナ「私のこと知ってるとかストーカー?あとなんでポケモンの言葉が分かるの?」
美「それは…「コイツがポケモンだからだよ」」
ヒナ「海…ッ!?」

そう言いながら、海は擬人化しながら私の前に立ち、キッと美少年を睨み付ける。
まぁ海も美少年なんだけど、ややこしくなるから呼びわけないと。幼さの残る顔で睨んでも可愛いだけだよ海。
美少年は海の反応を見て楽しんでいる。
てかポケモン?今ポケモンって言った?
目の前にいる美少年がポケモン?

美「あ、やっぱり分かっちゃいました?」
海「人間は分からないだろうけど、俺達ポケモンは匂いで分かるよ。ポケモン特有の匂いがするからね」
ヒナ「え、そうなの?」

ポケモンの嗅覚って凄い。
犬ポケモンならまだ分かるけど、他のポケモンも鼻が良いのか。そりゃ種族差はあるんだろうけど。犬と爬虫類なら犬の方が匂い分かるだろうし。
てか美少年めっちゃ楽しそう。美少年が私に手を出さないか警戒して睨んでる海を見てニヤニヤしてる。海の反応見てスッゴい楽しそうに笑ってる。

美少年は何のポケモンなんだろうか?
茶髪かぁ………茶色いポケモンってことは、色からして地面タイプか岩タイプかな?でもそれにしては華奢な体つきだし、本人の雰囲気を見るとなんか違う気がする。
じゃあそれ以外のタイプで茶色いポケモンが多いのは……

ヒナ「………ノーマルタイプ?」

私の呟きを聞いて、美少年はピクリと反応した。
お、ビンゴか?ノーマルタイプって以外と茶色多いよね、ビッパとかヨクバリスとか。
うーん、何のポケモンだろう。
体つきを考えると可愛いポケモンかな?
美少年の正体について推測していると、私の考えていることが分かったのか、私の方を見てニコリと笑った。別に怖い顔をしている訳じゃないのに、何故かその笑顔を見てゾワッとした。何だこれ、悪寒?

茶色い可愛いポケモンでノーマルタイプ。
そのキーワードから、私はあるポケモンが頭に浮かんだ。そして一つのある仮説に思い至った。

ヒナ「もしかして、君は…」

私の答えを察したのか、美少年は糸目だった目を開いてニヤリと笑う。あ、黒目だ。
その言葉の先を言わせない為に、美少年は私達に向かって砂を顔面にかけ、目眩ましをする。

ってこれ砂かけじゃん!!ポケモンの命中率下げるあの技じゃん!!
皆が怯んでいる隙に、素早く私の前まで来てキスされ………たぁあああああああッ!?
美少年は唇を離すと、人差し指を口に当て「しぃー」と言う。自分の正体は言うなってか?分かったけど何してくれとんじゃこの馬鹿ッ!!私のファーストキスを返せッ!!
やめろぉおおおッ!!もう一度キスしようとしてんじゃねぇッ!!腰に手を回すな!!後頭部に手を添えるな!!
ギャァアアアア舌入れるな歯列なぞるな舌吸うなぁああああッ!!

こんなの海に見られたらヤンデレが更に悪化しちゃ…………って見てるぅううッ!!がっつり見てるぅううッ!!めっちゃ黒いオーラ出してるぅうううううッ!!
もうヤンデレ発動どころじゃなくヤンデレ改だよッ!!海だけにッ!!って喧しいわッ!!

海「俺のヒナちゃんに何してるの?」
美「何って、キ「そういうことを言ってるんじゃない。俺のヒナちゃんに手を出したんだ。………どうなるか分かってるよね?」」

そう言うと同時に、海の両脇に千里と虎徹が立つ。

虎「俺のじゃなくて、俺達の…「何か言った?」ヒィッ!!」
千「折角見つけた居場所を奪われる訳にはいかないからね」

三人(三匹)は水・飛行・電気の技を美少年に繰り出すが、美少年はバリアの様なエフェクトが出る技で打ち消してしまう。
今のは……“守る”かな?相手の技を無効化するヤツだよね?やっぱノーマルタイプだな。

美「ちょっと!危ないじゃないですか!!ヒナさんに当たったらどうするんです!?」
海「君なら守ってくれるでしょ?絶対に。キスするくらい気に入ってるなら見捨てたりしない筈だ」
美「おや、意外と冷静ですねぇ」
海「ヒナちゃんを置いてさっさと帰ってくれるなら、もう何もしない。さぁ、どうする?」
美「ええー、そんなこと言われたら………お持ち帰りしたくなっちゃうじゃないですか♪」
海・千・虎「「「は?」」」

コイツ……絶対楽しんでやがる。
三人のキレた顔見てめっちゃニヤニヤしてるし。
君達、どんなにソイツを追いかけて攻撃しても、当たらないと思うよ。多分この中で一番素早さ高いから。私の推理が正しければだけど。

その後、美少年は三人をからかっておいかけっこを存分に楽しみながら、最後に私をハグして去っていった。
おい、余計なことするな!!後が怖いだろ絶対わざとだろ!!三人が騒いでカオスになるの分かっててやっただろ!!

海「ヒナちゃん、後でたっぷり消毒してあげるからね?」ニッコリ
ヒナ「畜生覚えてろよあの野郎ぉおおおおおうッ!!」



To be continued…

*R3年6月1日 執筆。

後書き
久しぶりの更新ですね、執筆遅くてすいません。
さぁ新キャラが出てきましたね、謎の美少年。
主人公はポケモンを当てるだけでなく、美少年が何者なのかもなんとなく察しているようです。主人公にとっては予想でしかありませんが。

次回!エンジンシティを観光しよう!
?「絶対見てちょ、バイちゃ!」
ヒナ「誰だ今の」



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