心霊スポットでキャンプしてみた



ー見張り塔跡地ー


ヒナ「はい、皆さんこんにちは!本日の3分クッキングのお時間がやってまいりました!今日助手を担当してくれているのは、メッソンの海君です!」
海「こんにちは!」
ヒナ「さて、今日の晩御飯はカレーを作っていきます!まずカレーに使う木の実を選んでいきましょう!モモンやオボンといった甘くてバランスの良い木の実を入れていきます!玉葱や人参などもお好みの大きさに切っておきましょう!」
海「ねぇヒナちゃん星形にして良い?」
ヒナ「良いよー!もう何この子うちの子ホント可愛いッ!!」
海「むぎゅッ!ヒナちゃん苦し…」
虎『あー!ズルい俺もー!』
千『………君達何やってんの?』

何って………愛でてるんだよ。
え?カレー作れって?さーせん!










そんなこんなで無事にカレーが出来上がった。
釣ったバスラオを揚げてフライにし、甘口フライ盛りカレーにしてみた。玉葱や木の実の甘さが良いアクセントになっていて、まろやかでとても美味しい。

海「美味しい…ッ!!」
虎『旨いッ!!嫁に欲しいレベル…………ヒィッ!!冗談だよ落ち着けってッ!!』
千『……………』
ヒナ「良かった、口に合って。あれ、千里?もしかして美味しくなかった……あ、美味しいのね良かった」

無言で食べてるからどうしたのかと思ったら、目を輝かせて食べてたよ。美味しいものを食べてる時は無言になるタイプなのね。これはリザードン級かな?

ヒナ「シーザーサラダもあるから、ちゃんと野菜も食べるんだよ。残さず食べれた子には、デザートに特選焼き林檎がついてくる!」
虎『モグ……こんなの残せって方が無理な話だぜ!!』
海「デザートもあるなんて最高!!」
千『……ッ!!』

特選焼き林檎ってのはあれだ。林檎の芯を抜き取って、穴にシナモン・砂糖・バターを入れて焼くあのお馴染みの焼き林檎だ。
あれめっちゃ美味しいよね、キャンプで食べると美味しさ2倍だぜ!

皆でご飯を食べた後は、お風呂で汗を流しましょう。という訳でジャングルで買った折り畳み式簡易浴槽の出番です!やっぱり体洗いたいよね、女の子だもん!
水タイプの海がいるからお湯を沸かす手間が省ける。水タイプって素晴らしい……熱湯万歳。戦闘では使わないけど。

ヒナ「さて、皆ーお風呂入るよー!」
虎『え?ヒナが先に入るんじゃないのか?』
ヒナ「何言ってんの、皆で入るに決まってるじゃん」
『『『え?』』』
ヒナ「ん?」
虎『何言ってんだよヒナ、俺達男だぞ?気にしないなら俺喜んでヒナの体洗っ……ヒィッ!!』
海『僕以外の人と入るなんて、絶対に許さないんだからねッ!!』
千『君さ、一応女だってこと自覚ある?』
ヒナ「うん、自覚あるよ?でもポケモンなんだから別に一緒に入っても問題無いでしょ?家にいるゴンベとも一緒にお風呂入ってたし」
『『『いやいやいや』』』

だってポケモンだよ?別に人間じゃないんだから気にしなくて良いじゃん。虎徹だって皆といれば襲ってこないだろうし。
でも皆は頑なに拒否し、私の体を洗いたがっていた虎徹は二人が取り抑えて、『僕達のことは良いから先に入って!』と言われたので、お言葉に甘えて一番風呂に入ることに。
まるで漫画のセリフみたいだなぁと思いながら、持参したお風呂セットで体を洗い、湯船に浸かる。「俺のことは良いから先に行け!」って、完全にフラグだと思うんだけど……あの二人ならフラグを折るに違いない。

お風呂で景色を眺めていると、見張りの塔が見えた。あれって昔使われてたんだよね?もう一度建て直したりしないのかな?あのまま放置してたらいつか崩れるだろうし、なんだか不気味だよね。お化け出そう。

ヒナ「いっい湯っだーなっ♪あははん♪いーい湯っだーな………ん?何あれ…」

塔の方から赤い光がユラユラと近づいて来る。なんだろうと不思議に思い見つめていると、ぬぅっと下からゴーストが現れた。

ヒナ「うわぁああッ!!えっ何、ゴーストッ!?なんで!?」

ビックリして仰け反っていると、不思議な光が視界に映った。しまった、怪しい光だ!まさかポケモンから技を受けるなんて思わなかった。
そういやポケモンが人間襲ったりするってゲームやってる時図鑑に載ってたじゃん!なんで忘れてたんだよ私!ああもう技喰らったせいで頭が回らない!!混乱したせいだ!!

なんとかこの場から逃げようとするが、黒い眼差しを向けられてしまい、金縛りに合ったかの様に体が動かない。ゴーストは焦っている私を見てニヤリと笑い、ベロリと舌で頬を舐めてきた。

ヒナ「ひゃっ……!」
ゴースト『こんな場所で無防備にお風呂とは、感心しないねぇお嬢ちゃん。悪いお化けに拐われちゃうよ?此処が心霊スポットと呼ばれているのを知らないのかい?』
ヒナ「え、そうなの!?初耳なんだけど!」
ゴースト『おや、言葉が分かるとは珍しい。益々欲しくなるねぇ、それに魂も清んでいて美味しそうだ』

気づけばヨマワル達が私の周りを囲っていて、完全に逃げ場が無くなった。あの赤い光はヨマワルだったのか!!
さっきからゴーストが味見する様に私をペロペロ舐めている。あれ、ゴーストって舌で舐めて魂を吸うとか図鑑に書いてなかったっけ?私ヤバくない?
頭が回らないせいでどうすれば良いか分からない!誰か私に指示を!!って私がトレーナーじゃん!!
あ、ヤバい。だんだんボーッとしてきた。

ゴースト『あぁ…なんて美味なんだ……もっと味わいたくなる』
ヒナ「やっ……もうやめてよぉッ……!」

だんだん怖くなってきて、涙が溢れてくる。私が泣いているのを見てヨマワル達が興奮している。図鑑の通り子供の泣き声が大好物のようだ。

ゴースト『おっと、独り占めは良くないね。皆であの塔で味わうとしようか。特別に招待してあげよう』
ヒナ「やだぁッ…!!行きたくない…ッ!!」
ゴースト『嫌がっても無駄だよ、さぁ行こうか』

そう言うと、ゴーストはヨマワル達と共に私を湯船から持ち上げ、塔へ連れて行こうとする。ヨマワル達は目を爛々とさせ私を見つめている。お願い……誰か気づいて!!

ヒナ「いやぁッ!!助け「何してるの?」ッ…!!海ッ!!」

そこにいたのは、黒いオーラを発している海だった。ヤバい、海がヤンデレモード発動してる……これは後が大変だな。

ゴースト『おや、もう仲間が来てしまったか。先ほどモメていたようだから、今の内にと思ったんだが』
海「僕のヒナちゃんを何処に連れて行く気なの?野良ゴーストが気安く触らないでくれる?ヒナちゃんが穢れるんだけど」
ゴースト『ハハ、言うじゃないか。裏進化を見せるとは余程好きなんだね。だがお嬢ちゃんは貰っていくよ』
海「そんなことさせないッ!!」

そう言って海は不意打ちをかけるが、ゴーストがヒラリと躱しヨマワルに当たった。効果は抜群で、ヨマワルはその場に倒れる。
しかし、ヨマワルはまだ五匹もいるのだ。完全に此方が不利である。確かこの辺のゴーストは私達より少しレベルが高かった筈だ、効果抜群を狙わないと此方がやられてしまう。ヨマワルは私達とそこまで差は無いが、数が多くては敵わない。

ゴースト『おっと、危ない危ない。一匹やられてしまったが……この数に勝てるかな?』
ヒナ「ちょっと卑怯じゃないッ!?男ならタイマンで勝負しなよッ!!」
ゴースト『おや、混乱が解けたのかい?卑怯も何も、これは我々にとって狩りなんだよ。狩りに卑怯なんてないだろう?』

ゴーストは私にそう言うと、不気味な笑みを浮かべた。獲物は私だと言いたいのか。てか湯冷めしちゃうからお風呂に戻って良い?私素っ裸なんだけど。
胸小さいから気にすんなってか?小さくても胸は胸だ!
心の中でふざけていると、ヨマワル達が壁になって海をグイグイ遠ざけようとしていた。その隙にゴーストは私を抱きかかえ直して去ろうとする。

ヒナ「いやぁあああッ!!やめてッ!!私を連れてって乱暴する気でしょッ!?エロ同人みたいに!!エロ同人みたいにッ!!」
ゴースト『どう…?よく分からないが少し黙っていてくれないかな?』
ヒナ「ネタが通じないだとッ!?海助け……むにゃ……さいみ…だと……?」
海「ヒナちゃんッ!!」

催眠術を喰らってしまい、意識が朦朧としてきた。海が必死にヨマワルを倒していくが、間に合いそうにない。

海「ヒナちゃん!!ヒナちゃんヒナちゃんヒナちゃんッ!!行っちゃやだ!!約束したんだ!!傍にいるって……ずっと一緒にいるって約束したんだッ!!ヒナちゃんは僕のッ…………俺のものだッ!!」

私が意識を失う前に見たものは、海が力強く叫んだ瞬間溢れ出した眩い光だった。


To be continued…
*R1年12月5日執筆。
擬人化してても技は使えます。
てかポケモンが怪しい光や催眠術を人間に使うとか怖いですよね。ゴーストとヨマワルの図鑑説明も怖い。

次回、わんわんパトロールとレベ上げ隊!
「この次も、デュエルスタンバイ!」
「誰だ今の」



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