兄弟と姉妹(前編)



セレネside


「さっちゃんはねっ♪サタンっていうんだホントはねっ♪」

僕はお姉ちゃんのお下がりである中等部の制服を着ながら、即興ソングを歌う。

「だーけーどー猫又のー姿になーってーるーかーらー隠さなくーちゃーねっ♪
めんどいねっ♪さっちゃん♪とぅるるるる〜♪」
『………』


ガジガジガジガジガジ


「痛い痛い痛い痛いごめんってお願いだから頭かじらないでぇえええッ!!」







「祓魔師にはどうやってなるんだよ」

入学式が終わった後、僕とサタンはメフィストに連れられて燐兄の元へやって来た。
僕は今日から訓練生として、雪兄同様燐兄の監視役として紛れ込む。昨日メフィストから頼まれたので快く引き受けたのだ。


…………だって面白そうだもん!←どうしようツッコミがいないby管理人


サタンもノリ気だったので連れて行くことにした、まぁ猫又の姿でだけど。
燐兄がメフィストと話しているのを隣で聞きながら、僕は燐兄が肩から下げている降魔剣をツンツンと突つく。

「…やる気満々で大変結構ですが、何事も段取りを踏まねば。貴方には、とりあえず塾に通っていただきます。セレネと一緒にね☆」
「はぁ!?塾ッ!?」
「祓魔師の塾です、そこでまずは“祓魔訓練生”として悪魔祓いを学んでいただく。高等部の授業は明後日からですが、塾は今日が初日です。案内しましょう………但し、一つ忠告しておきます」

メフィストは進めていた足を止め、くるりと燐兄の方に体を向け、ビシッと燐兄を指差す。

「貴方がサタンの落胤である事は秘密です。
尻尾は上手く隠しているようですが、耳や歯や尻尾は誤魔化せても炎はシャレにならない。自制して下さい」
「……努力するよ」
「…結構です」

二人の間をザァ…と風が通り抜け、地面に散らばっていた桜の花弁がフワリと舞い上がる。

「しかしね、やや心配なので今回は私も見学させていただきます。Eins(1)Zwei(2)Drei(3)☆」

メフィストはお決まりの台詞を口にし、指パッチンをして犬の姿になった。
良いなぁ……僕も動物に変身してみたい、兎とか。あ、でもアマイモンに耳を鷲掴みされそうだなぁ。

「やっぱり可愛いねぇメッフィー、テリアって毛がサラサラしてるよね」
「エっエエエ祓魔師って変身も出来んのかッ!?」
「出来ません、私は特別です☆」

僕に頭を撫でられてご機嫌なメッフィーは、塾の鍵を燐兄に渡す。

「鍵…?」
「いつでも何処の扉からでも、塾へ行ける便利な鍵ですよ。試しに適当な扉をその鍵で開けてみてごらんなさい☆」

燐兄はメッフィーに言われた通り扉に鍵を通し、恐る恐る開けてみた。するとそこには……

「ッ…!!スゲェッ!!」
「一年生の授業は、1106号教室です」

目の前には、開けた扉の中とは思えない豪華な廊下が広がっていた。

「それじゃあ教室までレッツゴー!
メーッフィー♪かわーいいワンちゃん♪
メーッフィー♪おりーこうワンちゃん♪」
「おいそのネタ結構ギリギリじゃねぇか!?」
「んー、じゃあ止めとく!」
「アッサリしてますね…」

僕はサタンとメッフィーを頭に乗せ、燐兄と共に教室へ向かう。頭上に乗せた順にサタン、メッフィー、僕。
小中大と順に乗せたので、なんだかブ〇ーメンの音楽隊みたいだ。……言ったらサタンに噛みつかれそうだから言わないけど。

「此処ですね」
「なんかドキドキしてきた…」
「こんにちはー」ガチャッ
「おいもう少し落ち着く時間くれよセレネッ!!って汚なッ…

燐兄の叫びをソウルスルーして、教室の中を見渡す。
……燐兄、いくら教室が汚くても声に出しちゃ駄目だよ、此処は普段使っていない教室なんだから仕方ないさ。
僕らは取り敢えず適当な席に着き、メッフィーを僕の膝の上に乗せる。サタンはいつもの定位置である頭の上、その方が一番周りを見渡せるからだそうだ。……膝に乗ってくれたら猫又の肉球が当たって最高なのになぁ。


To be continued…
*H26.12/24 執筆。



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