バレンタインはチョコとマドレーヌでやり過ごせたが流石にホワイトデーは無理かもしれない。
案の定今回はクッキーで釣るのは失敗した。
「クッキーはあとだ。なぁ獅希、卵を使う場合と使わない場合って、卵は使わなくても良いのか?」
「ああ。その時は牛乳を少し増やさなきゃいけないぞ」
「本当だ。でも卵使いたいから卵、卵はどこだ」
俺があげたエプロンを着けてホットケーキの箱とにらめっこしている。
ホットケーキなら作れそうだと思ったみたいで一切手伝わせてもらえない。キッチンに立つ事すら拒絶された。
でも万が一火傷したら…それは困る。汰狼に怪我させられない。
「ぎゃっ」
「汰狼っ!」
まだ火を使ってない筈なのに火傷したか?それとも何故か包丁を使おうとして切ったとか…汰狼なら有り得る。
慌ててキッチンに立つとシンクが割れた卵まみれになってた。
「わ、悪ぃ。卵割ろうとしたんだけど」
「気にするな。俺がやるから」
申し訳なさそうに肩を落とす汰狼の頭を撫でてあやす。やっぱり汰狼にはまだ早い。
俺の言葉に不満そうな顔をしてるけど卵を駄目にしたのを気にしてるのか大人しくなった。
汰狼の笑顔を見る為にもさっさとホットケーキを作るか。
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