2 | ナノ
 



「よし…ほぼ出来た」


やっとほぼ完成だっ!
今回はザッハトルテ…っぽいチョコケーキにした。材料が足りなかったし時間もなかったから仕方ないよね、うん。
あとはコーティングしたガナッシュを冷やすだけなんだけど今から冷やしたらバレンタインが終わっちゃうな。
どうしようかと考えてたらまた背中と腹に温もりを感じた。

「早く食うぞ」

「でも冷やした方が…」

「いい。食うぞ」

「はいはい」

そんなに目をキラキラさせなくても。でもそんなに喜んでくれると嬉しいな。
ケーキの皿とフォークを持って陵に抱き着かれたままリビングに向かった。


「燈瑪、食わせて」

「……やだ」

そんな不満そうな顔されても!
ただでさえ向かい合って膝の上に座らされて近いのにあーんとか恥ずかしい…俺の意識し過ぎかな?

「……」

「分かったよ」

結局無言の圧力に負けて食べさせる事にした。何だかんだで陵にも甘いんだよ。
そういえば、

「何であのチョコはダメだったの?こないだ食べたいって言ってたのに」

あのチョコっていうのは最初に俺が用意したチョコ。
今頃食べられてるはずなのに冷蔵庫の中で眠ってる。

「当たり前だろ。燈瑪の手作りが良いんだよ」

俺の手を使って自分で食べながらにって笑ってる。
ダメだ、今嬉しいやら恥ずかしいやらで顔熱い。

「じゃあ…来年も作る」

「よろしくな。その時は卒業してるから燈瑪を迎えに来る。で、俺の家で過ごそうな」

陵の家か…久し振りに行きたいかも。
来年こそはちゃんとしたザッハトルテを作ろうと誓ってまた一口、ケーキを陵の口へ運んだ。



fin.







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