パサッてマントが落ちた音が聞こえた。
跨がっている雅兎が逆光で迫力増して怖ぇよ!
「お前という奴は…まず何で半裸なんだよ」
「お、狼男なら半裸だと思って」
「別に半裸じゃなくても良いだろ」
いくら仮装でも半裸は駄目か。またする機会があれば今度こそちゃんと破いた服を着よう。
「…俺が変な気を起こす前にあれ言えよ」
「おうっ!お菓子をくれなきゃ悪戯するぞっ」
体を起こしてカボチャランタンの形をした入れ物を漁ってる。
ちゃんとお菓子用意してくれてたのか!
でもここで問題が起きたぞ。
この手袋が邪魔でお菓子受け取れねぇよ!
「……いらねぇのか?」
くそぉっ!またニヤニヤしてるっ!
この意地悪をする為に狼男を選んだに違いねぇっ。
袋から取り出したポッキーを目の前でちらつかされてる。
いっその事食いついてやろうか。
「睨むなよ。おら」
「……」
満足したらしい雅兎はポッキーをチョコがついてない方を咥えて反対側を唇に押し付けてくる。
これって俗に言うポッキーゲームじゃねぇか!
「早く食わねぇとこのまま喉に突き刺すぞ」
「!?食うから刺すなよっ」
冗談に聞こえねぇよ!
ポリポリ音を立てて食べてると顔の距離が縮まっていく。
これはなかなか…恥ずかしい。
唇が触れそうなところで止めると代わりに雅兎が残りを食べて唇が重なった。
「ん…甘ぇ」
「甘いのが、美味いんだよ」
「じゃあもう一本食うか?」
答える前にもう咥えてるじゃねぇか。
どうせ頷いてたけどな。
腕を首に回してまたポッキーを食っていく。
今日はいつにも増してポッキーが美味い気がした。
「そういや、何で狼男の尻尾はねぇんだ?」
「それは寝る前に教えてやるよ。ベッドで」
「ベッドで?」
「そうだ。楽しみにしてろ」
Fin.
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