1 | ナノ
 



「おい汰狼、テメェはさっき何つった?」

「お、お菓子をくれなきゃ、い、悪戯するぞって…」

「俺様を脅すなんて良い度胸だなぁ。あ?テメェに悪戯してやろうか」


今日ぐらいは、ハロウィンぐらいは強気にお菓子を強請ってみよう!って思ったけど駄目だった。
一気に不機嫌になった雅兎が座ってる椅子の傍で正座する羽目になった。
言う相手間違えたよな。
つか甘いのが嫌いな雅兎がお菓子持ってるわけねぇって。しかも何か不穏な事言ったしよぉ。
楽しいハロウィンになる筈がまさかこんな…!

「ハロウィンの時ぐらい良いじゃねぇか…」

「ハロウィン?…ああ、今日はハロウィンか」

「えっ」

まさか…ハロウィンに気付いてなかったのか?
成程な、気付いてなきゃこいつがキレたのも分かる。
じゃあ尚更お菓子とかねぇか…。
恐る恐る視線だけを向けたら雅兎は何故かニヤニヤしてる。

「本当に可愛い反応するよな、お前」

「なっ、わざとっ…!」

「当たり前だ。昨日からカレンダーを見てはそわそわしていたら気付くだろ」

まさかカレンダーを見てはしゃいでいたところまで気付かれてたのか?
まんまと騙されちまった。
じゃあお菓子を期待しても良いって事だよな?
再度チャレンジだ!

「お菓子を「その前にする事あるだろーが」

する事?
ハロウィンってお菓子を貰う前に何か儀式とかあるのか?
腕を組んで傾げて考えていたら目の前にデカイ白い袋を差し出された。
いつの間に用意してたんだよそれ。

「ハロウィンと言えばまず仮装だろーが。さっさとその中のもんに着替えてこい」

「おう!わざわざありがとうな」

「気にすんな。早く着替えろ」

椅子から立ち上がって然り気無く俺の頬にキスをしてから雅兎は部屋に入っていった。
何でそう不意打ちにっ…嬉しいけどな。
俺もさっさと着替えねぇと。








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