ylang-ylang(フィンフェイ♀)

GI編。あやしい花の香りで発情したフェイ♀がフィンとエッチしたりお尻を掘られたりする話

***

「……フェイお前、何やってんだ?」
ヨタヨタと歩く相方の後ろ姿を認め、問いかける。
のろりと振り向いたその人は何も言わない。その瞳はうるうると潤んで、頬は紅潮し、肌はじっとりと汗ばんでいる。マスク越しに聞こえる息遣いも荒い。

「おい」
これは明らかに異常だ。少なくとも平常とは言い難い。
その人――フェイタンの姿を目の当たりにした男――フィンクスは、ない眉を寄せながらもう一度問いかけた。
やはりフェイタンからの返答はない。ただ縋るような眼差しでフィンクスを見つめてくる。
いや、正確には何かを言わんとしてはいるようだが、なかなか言葉にならないらしい。
「フェイタン。大丈夫か?」
語気を強めてそう問うと、フェイタンはようやく言葉を発した。
「フィンクス、ヤバいね……ワタシおかしい」
「そんなん見れば分かるっての。一体何だってんだよ」

まいった。どうしてこういう時に限って自分一人なのか。
シャルナークやフランクリン辺りがいれば冷静に原因を分析して、解決方法を示してくれるだろうに。
だがこうなってしまったからには仕方がない。自分が何とかせねば。
フェイタンの身に何が起こった?何者かの念能力?単なる体調不良?
まさかとは思うが、妙なウイルスに感染でもしたのか?某ゲームみたいに全身が腐れたゾンビと化して、生者の肉を求めて襲いかかって来やしないだろうか?
そんなことを頭の中でごちゃごちゃ考えつつ、フェイタンの動向に細心の注意を払い次のアクションを待つフィンクス。

「何か……、体が熱い……」
掠れた声で、フェイタンはこんなことを言った。
「熱い?風邪でも引いたか?あとは蛇に噛まれたとか、変な虫に食われたんじゃねーか?」
「いや……どれも違うよ。何か全身がムズムズして……特に下半身が」
下半身と言われてフェイタンの股間を注視する。
外見からはどういう状態なのか分からないが、もどかしそうに太腿をすり合わせている様子から見るに、おそらく相当切羽詰まっているのではないだろうか。
フェイタンは恥じ入る余裕もないようで眉をくしゃりと歪め、いよいよ陰核の辺りに指を押しつけながら腰を捩り始めた。半ば自慰と変わらないような動きをして、見ているこっちの方が恥ずかしくなるくらいだ。
フィンクスの質問で何かを思い出したのだろう。フェイタンは細い目を見開いてこんなことを言った。

「思い出した……花ね」
「ハナ?」
「森の奥、変な花があたね。黄色くて妙な形の大きい花。凄くいい香りがして……それ嗅いでから何か……変な気分になてきて……」

芳香を持つ変わった形の黄色い花――そういえばそんなカードがあったと思う。
プレイヤー狩りの際に奪い取った戦利品の中に、そういう感じのものが入っていた気がする。
あまりにもくだらない効果のためすっかり忘れ去っていたのだが……バインダーを呼び出して確認してみると、フェイタンが言うようなカードが入っていた。
その名は“淫乱イランイラン”。
概要欄には「この花の香りを嗅いだ者は発情する。セックスするまで解消されない。なお相手の性別は問わない」と記載されている。
フィンクスはしばしの沈黙の後、深く長い溜め息を吐いた。そしてフェイタンに“淫乱イランイラン”なるカードを見せながら
「これで間違いねーか?お前が言ってるのは、この花のことだな?」
と問う。するとフェイタンは紅潮した顔のままコクコクと頷いた。
バインダーを仕舞って、フィンクスはしばし思案する。あのカードに書かれている効果が本当だとして、それを解除するには―――

「で。お前はどうしたい?」
フィンクスの言葉少ない問いに理解が追いつかなかったらしく、フェイタンは充血した目をきょとんと見開いた。
ややあって質問の意図が分かったのか、少し考えるような素振りを見せてから、言った。
「早くこの状況を何とかしたい」
「具体的にどうすんだ?」
フェイタンは答えない。代わりにフィンクスにしなだれかかり、胸に額を押し当ててきた。嗅ぎ慣れた女の、淫臭混じりのにおいが鼻を擽る。
太腿を跨いで股間を擦り付けてくる。服越しに熱く充血した女性器の感触が伝わる。それに触発されてみるみる陰茎に血液が集まり、ジャージ生地を高く押し上げる。
「……抱いて。ワタシのコト、メチャクチャにして」
熱に浮かされた口調でそう呟かれて、彼はゴクリと唾を呑み込む。
もともと彼女は性欲が強い。今までもこんなふうに迫られた末むちゃくちゃに犯してやったことが何度もある。
そういう生来の好色さが珍奇な花の香りによって増幅されて、それこそ咲き乱れる妖花のごとく、今の彼女の全身からは噎せ返るような色香が立ち上っている。
その芳香を肺一杯に吸い込んだ彼は満更でもなさそうに目を細めた。
「りょーかい。すぐ楽にしてやるから向こう行こうぜ」

***

彼はもたつく彼女を引きずって大木の陰へと歩みを進めた。
その幹の直径は10メートルをゆうに超える。樹齢数百年とも数千年とも思える大樹の根本にはぽっかりとあいた穴がある。
大の大人が数人集まっても囲めないほど太い幹の穴には、椅子の代わりになるような丁度いい高さの段差がある。
その段差に彼女の尻を押しつけて座らせ、足の間に身体を割り込ませる。そしておもむろに股間に手を伸ばすと、上着を捲って服越しに恥丘を撫でた。
そこは蒸れに蒸れており、ズボンをぐっしょりと濡らして匂い立っている。ふっくらした陰裂に縫い目が食い込んで、さぞ苦しいことだろう。
「フェイお前コレ、小便漏らしただろ」
言いながら下着ごとズボンを引き下ろすと、案の定ムッといやらしい性臭が漂ってきた。愛液の酸っぱい匂いに混ざって老廃物特有の臭いがする。
「……そんなわけないね」
否定する彼女だがその声は弱々しく説得力に欠けている。
ひょっとしたら本当に尿失禁はしてないのかもしれないが、服をびっしょり濡らすほどの体液を分泌したことに違いはない。
“獲物”を追い駆け回って汗もかいたことだろう。それについては彼も同じだ。事が済んだら一旦ゲームを出よう。入浴と洗濯をせねばなるまい……などと考えながら彼女の両足を開き、蜜で濡れそぼった花唇を観察する。
クリトリスは包皮から顔を出してピンと上を向き、膣穴は充血してぱっくりと口を開け、そこからドロドロに蕩けた蜜が尻に垂れ落ちて肛門までぬかるんでいる。

(しかし、ここに居るのがオレ一人でよかった)
……先程とは真逆のことを考えている事実に、彼は思い至らない。
もしもこの状態の彼女を発見したのが自分でなかったら?劣情を持て余した彼女が、自分以外の男に股を開いていたら?考えただけで腸が煮えくり返る。
もしもそれを目撃したら自分はどうする?とりあえず相手の男は殺す。彼女にも某かの制裁を加えなければ気が収まらないだろう。
情婦の痴態を他の人間に見られて喜ぶ性癖は持ち合わせていない。倫理がどうだとか貞操観念が云々だとか言うつもりはない。自分の女を他者に食わせるというのが生理的に受け付けないのである。
そんなことをつらつらと思考しながら、上気した彼女を見下ろし問いかける。
「フェイ」
「……ん?」
「お前、もしこの状態でオレ以外の野郎と鉢合わせたらどうする?『この際だから誰でもいいです』『体の火照りを鎮めてください』って股開くのかよ」
「何それ。お前、ワタシがそんな尻軽に見えるか」
「じゃあどうすんだ?」
「どうするもこうするもない。さきまでしてたみたいに、フィンクスに会うまで我慢するね」
「……あっそ」
「どうして?」
「別に。興味本位で訊いただけだよ」
「ハハ。変なフィンクス」
「うるせェ」
彼女は彼だけのもの。揺るがしようのない絶対的な真実。
それを再確認できた点においては、あの淫乱ナントカカントカという花に感謝してやってもいい。

「ね、早く……」
妖花の如く甘い色香を放ちながら、待ちかねた様子で彼女が先をねだる。
彼も我慢の限界が近い。そそり立つ雄を彼女の膣にあてがい、一気に奥まで突き立てる。
彼女の背が仰け反る。切れ長の目が見開き、半開きの唇から歓喜の声が漏れる。
激しい律動で攻め立てる。粘膜と粘膜が擦れ合う度、彼女の口からは意味をなさない嬌声がひっきりなしに上がる。
「あ、ァ、すごい……太いぃ」
縋るように伸ばされた両手が彼の肩に食い込む。爪の先が服越しに肌に食い込むが、今はその痛みさえ心地いい。
彼女の上着を剥ぎ取り素っ裸にして、足を抱え込んで、屈曲位で子宮口めがけて激しく突き上げる。
倍近くの体重で圧し潰されて彼女の肺から苦しげな呼気が漏れる。興奮しきった彼の鼻から鞴のごとく荒い呼気が漏れる。
汗ばんだ肌のぶつかり合う音と粘膜がこすれ合う水音が大木の虚に響く。二人の鼓膜を犯す。快楽ホルモンが脳髄を充たし、理性を奪い取ってゆく。
彼女の全身が痙攣する。膣がきつく収縮する。絶頂を迎えたらしい。
一方の彼はまだ満足しない。オーガズム真っ只中の彼女を串刺しにしたまま体勢を変え、四つん這いで尻を突き出す格好を取らせて再度激しく犯し始める。
「ま、待つね……ワタシまだイ(っ)て、」
懇願の声を黙殺し、ただただ己の欲求に従って腰を振る。肉と肉のぶつかり合う音が激しさを増す。彼女の口から意味をなさない、濁った嬌声がひっきりなしに漏れる。
性器が一つしかないのがもどかしい。徹底的に彼女を独占したい。この肉体の隅々まで、自分という男で埋め尽くしたい。
「フィンクス、だめ、……またイク!アァ、」
二度目の絶頂を迎える彼女を見下ろしながら思い至る。
痙攣する女性器に合わせてキュッと締まる場所。菊型に窄まる穴。愛液で濡れそぼった排泄器官……ここに入れたら、彼女は一体どんな反応を示すだろう?
好奇心と悪戯心の赴くまま、彼は未だ射精に至っていない自身の昂ぶりを彼女の尻穴にあてがう。

「……!?お前、何してるか!」
彼が何を意図しているのか理解したらしい。彼女はギョッとした表情で振り向いて、動揺も露わに彼を睨んだ。
「今からテメーのケツ穴犯すんだよ。ま◯汁たっぷり付いてるし、多分大丈夫だろ」
「大丈夫違うよ、ダメ!それ変態のするコト!」
息も絶え絶えの非難が返ってくるが、知ったことではない。彼は彼女の腰を抱え直すと、切っ先をアナルに押しつけた。
「無理。ヤダ。それやめる」
「ヤじゃねーよ。あんま力入れてると痔になるぞ」
拒絶を無視して突き入れる。彼女はいやいやと首を左右に振って逃れようとするが、力で彼に敵うはずもなく。絶頂を迎えたばかりの身ではろくに動くこともできないらしく、観念したのか大人しく彼の腕にその身を委ねた。
亀頭が括約筋を押し広げ、ゆっくりと侵入していく。すっかり抵抗をやめた彼女は尺取り虫のような格好で尻を差し出し、男根の侵入を甘受している。
「いた……痛い、裂ける」
「だから、裂けねーように力抜いとくんだよ」
時折グスリと鼻を啜る音が幾らか彼の良心を苛みはしたが、今更止めるのも無理な話だ。
「ほら。全部入ったぜ」
尻肉に陰嚢が密着するほど深くまで突き入れて告げてやると、彼女はぶるりと身震いして、
「……お前、最低ね」
と涙声で吐き捨てた。
「ハイハイ。何とでも言えよ」
異物を押し出そうとモコモコ蠢くくせに、引き抜くとヒクつきながら縋り付く。それを再び抉じ開ける。
アナルセックスの経験はこれまで全くなかったため、この感覚は新鮮だ。排泄器官を逆行する行為は彼女の中で快感と不快がないまぜになっているらしく、しきりに唸り声を上げる。

「ぐ、う、うぅ、……あ、あぅ」
肉棒で肉筒をかき分けて進む度、彼女は苦しげに吐息を漏らす。
愛液と腸液のぬめりを竿全体に絡ませて抽送を繰り返す内に彼女の呻き声は嬌声へと変化した。排泄器官が生殖器へと作り変えられていく感覚は、彼女にとっても未知なる体験だったに違いない。
「フィン、ク、ス……あぅ、あ、」
彼の動きに合わせて、断続的な喘ぎ声が発せられる。
二度もイッたお陰で敏感になっているのだろう。幾らもしないうちに、彼女は三度目の絶頂を迎える。
「お前、こっちでもすぐイケんのな」
「うる……さいね」
すっかり脱力した体。荒い呼吸、紅潮した頬、汗に濡れた肌に貼り付く髪。その全てが欲情をそそる。
一旦男根を引き抜いて、組み敷いていた彼女を抱き起こす。脱力しきって無抵抗な体を膝に乗せ、再度挿入する。今度は下から突き上げる体位だ。
「ああ!は、ぅうンン……」
重力に従って深く男根が突き刺さり、小さな唇から苦しげな吐息が漏れる。小さな頭を抱き寄せ、熱い息を胸に受け止める。
その間にも抽送を行い奥の行き止まりを攻め続ける。何度も絶頂を迎えて敏感になった身体である。彼女もすぐに達したようだ。括約筋が一層きつく締まり、内部が痙攣する。それに合わせて彼の肉棒も欲望の飛沫を吐き散らした。

ようやく性交を終えた頃、彼女は完全にグロッキーになっており、もはや指一本動かす気力も残っていないようだった。
さすがにやりすぎた。ほんの少しの反省を胸に抱きつつ、彼は自身の萎えた陰茎を引き抜いた。
ぽっかり開いた肛門から流れ落ちた精液がジャージに落ちて染みを作り、生温い感覚が皮膚に広がる。
(やっぱ洗濯しねーとな。あと風呂も入らねーと……)
全身から熱が引いていくのを感じながら、体液で湿った二人の服を見下ろし改めて思う。このドロドロの状態で辺りをうろつくのはどうかと思うし、少し彼女を休ませてやらねばなるまい。
「フェイ、一度戻るか。風呂入って洗濯しようぜ」
「……無理。動けないね」
「甘えたこと言ってんじゃねーよ。誰のせいでこうなったと思ってんだ」
「『誰のせい』て、フィンクスに決まてるね」
「は?元はといえばお前が変な花の匂いで発情して
「ワタシお尻イヤだて言たのに」
「テメーだってよがってただろうが」
「うるさい。変態フィンクス」
「お前に言われたかねェわ。とにかく、さっさと立て」
「だからワタシ動けないんだてば」
「いい加減にしろよテメー」

事後の甘ったるい空気の中で、じゃれ合いにも似た応酬を交わす。
ふと彼は己のバインダーにあるカード化された件の妖花の存在を思い出した。

(もう一度こいつを発情させて分からせてやるか)という悪巧みが頭を過ったが、今ここで実行したら洞穴中に催淫香が充満して、自分まで正気を失ってしまいかねないことに思い至り、何も言わずに飲み込んだ。

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