Memo | ナノ


平凡な子が一目惚れする話

それは確かに儚くて。けれど、触れても消えはしない。だから安心してしまって、このままでも良いかななんて。油断してた自分が悪いんだ。

クラスで一人か二人は可愛い子っていると思う。でも僕が出会ったのはそんな「可愛い」では表現しきれないくらい綺麗で美しくて儚い──そんな女の子だった。
花宮架織。肌は白く、ほっぺはほのかな桃色。ぷっくりとした小さな唇は肌の白に映える赤。綺麗な黒髪ロングで寝癖や枝毛なんて絶対にありません、ぐらいに手入れされてる。顔だけでもこんなに美しいというのに、それプラス体も凄い。理想の体型と言いたいぐらいスレンダーなのに、出てるところはきちんと出てる。下世話過ぎるが、本当なんだもの。というか、男子なんだからしょうがないよね。しかも横を通ると必ず甘い、でも決して嫌じゃない心地の良い香りが鼻を燻るというオプション付き。一目惚れした男子なんて数知れないだろう。勿論、僕もその一人である。 

高校二年、始業式。クラス替えの表を見て思わずガッツポーズをしてしまった。周りにいた生徒には「何コイツ。キチガイじゃね?」的な目で物凄い見られたけどそんなことはどうでもいい。あの、あの花宮架織と同じクラスになれたのだ!去年が何もなかっただけに死ぬほど嬉しい。
今日から花宮さんとクラスメイト。これが花宮さんに惚れてる男子からするとどれだけの意味を持つものか。
まず、朝から声をかけても不自然じゃない。あの素敵スマイルで朝から微笑まれるんですよ。もう昇天レベル。そのうえ、委員会なんかで一緒になったら。……ウハウハすぎるじゃないか。
それぞれのイベントも格段に楽しくなること間違いなし。五月の体育祭ではかっこいいとこを見せつけ、十月の文化祭で距離を縮める。そしてあわよくば後夜祭では一緒にフォークダンス!!で、流れ的に告白まで行っちゃったらあとはもう花宮さん独占だよね。ちゅーとかもしちゃったりしてさ……なんてねなんてね?どうよ、僕のこの最ッ高な計画。
「お前、全部声に出てるからな。」
さ、計画を練ったところで僕は早速教室へ──
「へっ?!」
バッと振り返るとそこには僕を猛烈に軽蔑した顔。
「な、なななな尚樹!」
なんでそこに、っていうか声に出てた?!うっそ!
「そんな驚くなよ。せっかく同じクラスになれたってのにお前花宮のことばっかじゃねぇかよ。俺にも少し構え。」
尚樹。突然ホモ臭プンプンな発言かまさないでよ。僕までなんかそういう、ねっ?人みたくなっちゃうからさ?
「ハイハイ。」
初日から不安だらけだけど(半分は自業自得)、花宮さんがいれば僕やってける!(超絶多分)大丈夫!

「西雲くん。」
このカワボどころじゃ済まないウルトラスーパーかわゆすな声は!
「ななななんでしょうか、花宮さん!」
花宮さんキタコレ。今日は緩めなサイドテールですか。とっても美しいですね。ハイ。
「なに、緊張して。まあいいや。で、委員会のことなんだけど」
ぷるるん唇をツンと尖らせて本題に入ろうとする花宮さんを前に取り合えず僕は鼻血が出そうで心配です。どんな表情でも美しい。うへえ。
「この前頼んであった企画提案考えてくれた?」
「もちろんだよ。花宮さんはどう?」
僕と花宮さんの委員会は多分他校にはないんじゃないだろうか。その名も行事委員会。年間の行事の日程を調整したり、行事の中心になってクラスをまとめたり。行事に関することは全部この委員会にまかせられている。多分おそらくだけど、学級委員やら生徒会が面倒になったとこを丸投げしたのがこの委員会だと僕は勝手に思ってる。ちなみに僕がこの面倒な委員会に入った理由は言うまでもなく、花宮さんが立候補していたから。
「私もちゃんと考えてきたんだよ。ほら。」



オチ迷子。花宮さんと西雲くんをどうしたかったんだろう。思いついたら書くかも。
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