今日はぼくの特別!

※ 未来から帰ってきましたよ
※ ちょろっとだけネタバレで、主人公の匣兵器について話が出ます




「ナッツ、おいで」
「がう♪」

ぴょん、と跳ねて私の腕の中に入ってきたナッツを抱えると、すりすりとナッツが私にすりついてきた。
うへへ、可愛いなぁ。
そう思いながら、ほんの少し前に思いを馳せた。




☆ ☆ ☆ ☆




「え、修行?」
「そうだぞ。匣兵器を外に出したまま修行を行うんだ」
「あー、えと、炎を消費しながら、修行を行うってこと、かな?」

リボ先生の台詞に首を傾げながら呟く。
すると、隣にいた綱吉はえぇ、と苦い声を出した。

「で? ナッツを出したら、誰に預けるんだよ」
「ここで静玖の出番なんだぞ」
「ふぇ?」
「臆病なナッツも、静玖にはべったり懐いているからな」

ぽわ、と綱吉のアニマルリングが光る。
そこから飛び出てきたのは大空ライオン───ナッツで、綱吉の頭にぽむっと乗った後、私の姿を見て、嬉しそうにその瞳を輝かせた。

「がう!」
「わっ」
「あ。こら、ナッツ!」
「わわわっ」

ぴょこんっ! と跳ねたナッツは私の腕の中に入って、がぅがぅ、と楽しそうにナッツは笑っている。
あぁ、うん。可愛いなぁ、本当に。

「ほら、ナッツとの相性は静玖も良いじゃねぇか。さすが、『大空』と『雪』だ」
「そんなの関係ないよ。ね、綱吉」
「うん。静玖は俺の『雪』じゃないからね」
「そうそう」

頷けば、リボ先生は顔をしかめた。
それから、頼んだぞ、と短く返してきたので、了解、とナッツに手を伸ばし、抱きしめる。

「行くぞ、ツナ」
「うん。───静玖、頼んだぞ」
「いってらっしゃい、綱吉」

こくり、と薬を飲んだ綱吉は、リボ先生と修行をしにいった。

「さて、私達は何をしようか、ナッツ」
「がぅ♪」

なでなで、と頭を撫でれば、ナッツは嬉しそうに尻尾を揺らしていた。




☆ ☆ ☆ ☆




ぼくはナッツ。
ごしゅじんさまであるツナのために作られた、ボックス兵器。
ツナの炎がぼくの命。
ぼくの性格は、ツナをうつしているという。
ぼくは瓜が苦手だ。ツナがごくでらくんをちょっと苦手におもっているように。
ぼくは小次郎達が頼りだ。ツナがやまもとを信頼しているように。
だからぼくは、しずくのボックス兵器が大好きだ。ツナがしずくのことを好いているから。
そして、しずくのことも大好きだ。
だってだって、誰よりもツナに優しくて、甘くって、ツナと一緒にいると幸せそうだ。
ツナは、しずくと居るとき、本当に幸せそう。
きょうこちゃんが好きなのに、しずくと居る方が、ちょっとだけうれしくて、幸せなのだ。

「がう」

少し鳴いて、しずくを見上げる。
ぼくは今、しずくの部屋にいて、しずくのひざに座っているのだ。
いつもこの場所は、しずくのお狐様やボックス兵器と奪い合いになる。
たまにそこに瓜も混ざってくるけど、しずくは瓜よりぼくを優先してくれるから、瓜との勝負は、はじめからぼくが勝つと決まっているのだ。
でも、お狐様達は、いつもは優しいのに、この『居場所』に関してはゆずってくれないし、てかげんもしてくれない。
でも今日は、

「んー? どうしたの、ナッツ」

リングをはずして、お狐様をランちゃんに預けて、ぼくだけが甘えられるようにしてくれている。
───優しい、大好き、幸せ!
すりすりとしずくのお腹にすり寄れば、しずくはぽむぽむと頭を叩いてくれた。




☆ ☆ ☆ ☆




私の膝を、お狐様や私の匣兵器であるあの子とナッツが取り合うのはよくあったし、あの2匹には大空ライオンも勝てないのか、泣く泣く綱吉の膝で我慢していたのを知っていた。
だから今日は、誰にも邪魔されないようにとナッツを膝に乗せているのだけれど。

「ナッツ?」
「がぁう………」

ぱしぱしと目を瞬き、目を閉じると頭が傾げる。
どうやら眠いみたい。

「大丈夫だよ、誰も邪魔しないから、ゆっくりお休み?」
「がぅ、」
「ん? あぁ、1人で眠るのは、寂しい?」

ひょいとナッツを抱えて、ベッドに寝転ぶ。
ぱちぱちと鋭くも可愛い瞳を瞬いたナッツは、首を傾げながら私を見て来た。

「綱吉が帰ってくるまで、一緒にお昼寝しようか」
「がうがう♪」
「良い子だなぁ、ナッツは」

可愛いよ、と言いながら頭を撫で、そっと抱きしめた。

綱吉が帰ってくるまでは、1人と1匹だけの、優しい時間。












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誰の匣兵器でも可、と言うことだったので、ナッツにしてみました。
ちょいちょい主人公の匣兵器について語られましたが、全容は本編まで内緒です。
リクエスト、ありがとうございました!



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