礎のお話

richiestaで初代ファミリーとのネタを頂きましたがどう絡ませようか悩んだ結果、幼少IFみたいに基盤を作ればいいじゃない、と書いてみました。
未来編後に過去へ帰らず遡ってしまった感じ。
プロローグ的小咄。








帰ろう、過去へ。
そう思ってフィーのおしゃぶりをいじれば、機械より先にかっと勢いよく輝いた。
え、と思った時にはすでに遅く、私は何か引っ張られるような感覚に、きゅっ、ときつく目をつぶる。
どうやら引かれたのは腕のようで、引かれた勢いのまま、私は何かにぶつかった。
ふわ、と香水の匂いに包まれる。

「………?」

触れたのは暖かな温もりで、恐る恐る顔を上げれば、金色の優しい色の髪が目に入る。
焼けすぎない夕陽色を称えた瞳は、私と目が合った瞬間に細められた。
あ、と思った瞬間、後頭部に手を回され、きゅう、と再び抱きしめられる。

「な───、」

にするんですか、と言う言葉は相手のシャツに染み込んでいった。
誰、とか離して、とか、言いたいことはたくさんあるけれど、言えない。
その代わりに口から零れ落ちたのは、

「ちがう」

その一言だけ。
後頭部に添えられた手が離れ、自ずと身体が離れると、弧を描くその唇が目に入った。
さら、と繊細な指先で前髪を上げられたと思ったら、ちぅ、と小さなリップ音。

「っ、」
「過去へようこそ。未来の雪よ」
「なん………」
「私の超直感は外れない」
「ボンゴレ、プリーモ」

綱吉に似た、否、遺伝で似たのは綱吉の方だ。
綱吉の血の元となった、初代ボンゴレ。
離れていった温もりにほっとした瞬間、ぐっと腕を引かれて身体が浮いた。
がっと靴と皮膚とが触れ合う音がして、何事かと目を開ければ、プリーモの顔の横に握り拳があって、さらにその横には足がある。
う、うん?

「さすがにロリコンは目に余る」
「アラウディ」
「あ、え、」

雲雀先輩そっくりな人(それこそ血が繋がってんじゃないのってぐらい)が、プリーモを足蹴にしようとしたらしい。
そしてその人は私をプリーモから引き剥がしてくれたようだ。

「君もだよ」
「え、」
「いくら君が雪であれが大空だからって好き勝手させてどうするの」
「え、あ、はい、」

すみません、と呟きつつ、未だ地から浮いている足が気になる。
いつまで抱えられればいいんだろう。

「ぱっとしない顔ですね」
「わ、」

私の気持ちが伝わったのかただ単に重たいからかはわからないけれど、地に降ろされたので、ほっとため息をした瞬間にぐっと近付いた顔。
どこか見覚えのある顔でいて、別人のそれ。

「霧の守護者さん?」
「デイモン・スペードと」
「はぁ、」

骸くんだ。骸くんがいる。
いや、骸くんの方がまだアレだ。えと、えぇと!

「素敵なお洋服で!」

いつぞやの骸くんのシャツにネクタイを思い出します。って感じ。
そう言えば、なんであの時骸くんはワイシャツじゃなかったんだろう。
いやまぁ、似合ってたから問題ないけど。
いや、それ以上に髪型が気になるんだけど、まぁ、今ここでそれを突っ込んだら凪ちゃんについても突っ込まなきゃいけなくなるからやめておく。

「お前、服の趣味大丈夫か?」
「え、いや、あの、」

デイモンさんを押しのけるように眼前に立った人に言われて、思わず言いよどんだ。
えと、自分じゃあ絶対に着ない感じの服を着こなしているのは凄いことだと思うんだけどなぁ………。
だけどそれをご本人目の前で言うわけにはいかないし。
赤とも赤褐色、ううん、赤茶? 色の髪の煙草を吸うお兄さんは、はっきりしない私の言葉にきゅ、と眉を寄せた。

「G様、そこまで!」
「ぐっ」
「わたくしの可愛い継承者に何をするおつもりで?!」
「雪月さん!」
「まぁ!」

お兄さん───Gさんに肘討ちを入れた和服のお姉さんに見えるお兄さんは、私が未来で見たことがある初代雪の守護者さんだ。

「わたくしの名を知っていて下さるのね。嬉しいわ」
「え、あ、はい」
「うふふ。食べちゃいたい」

え。

「ひゃっ、」

ぐいっと腕を引かれたと思ったら口端にそっと口付けられる。
ぼわっと耳まで真っ赤になった私を、くすくすと楽しそうに雪月さんが笑う。

「我が君。わたくしの継承者を如何なさいますの?」
「未来に帰るまで、この屋敷にいればいい」

立ち上がってスーツの砂を払うボンゴレプリーモは、後ろから手を伸ばして私の頭を撫でた。

こうして私は、『過去』で生活することになる。











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そんなわけで基礎のお話。
雨月さん達出て来なかったメンバーは任務中と言うことで…。



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