全ては必然

料理を持った四月一日くんと酒を持った百目鬼くんが戻ってきた


『百目鬼くんってお酒強いね…飲んでも変わらない』
「コイツも酒豪ですからね」


「普通だ」と答える百目鬼くんにまた四月一日くんが何か言って漫才みたいだ。


漫才は健在か…


「でも名前さんと桃矢さんも結構飲んでますよね」
「俺はコイツに仕込まれたからな」


桃矢に指を指されたが私も負けじと指をくっつけぐいーっとそらし『なんのことー?』と惚けてみた


「いける口ですね」


百目鬼くんが酒瓶をぐっと出してきたので有り難くいただいた


モコナくんもコップを出して「モコナもいける口だ!」といって飲みだした。

みんな酔っ払って寝静まってしまった


私達はそのまま泊まらせてもらうかたちに…まぁもともとその予定だったけどね。


寝巻きに侑子の物を借り縁側に座ったいた


「寝れませんか」


四月一日くんが煙管を持って隣に座った


『少しね…あ、これありがとう。貸してくれて』


私が言ったのは蝶をモチーフにした着物だ


「いえ、でもやっぱり似合ってますね」
『そうかな?』
「もし良かったらそのまま名前さんに差し上げます。今日着物もらったお礼です。」


もとは侑子さんのだからちょっと違うのかもしれないけどと彼は続けた


『今は四月一日くんのだよ。お言葉に甘えさせていただきます』

くすくすと笑った彼は煙管をくわえ、ふーっとはいた


様になったものだ。


見つめすぎたのか「何かついてます?」と聞かれた
横に顔をふり『なんでもないの』と答えた



「そういえば、昼間のツバメ。あれは名前さんの華押ですか?」
『そ、可愛いでしょ?四月一日くんは決めた?』
「まだです。決めないとですね」
『きっと、すぐ決まるわ』
「それはみたことですか?」
『いいえ、なんとなく、よ』

朝、四月一日くん特製の朝食を頂いて帰ることに。


『お世話になりました』


そう言って私と桃矢は軽くお辞儀した


「またいらして下さい。」


四月一日くんはそう言い、百目鬼くんは「いい酒用意しときます」と付け加えた。


ほんといいキャラしてるよ、彼


『またね』と言って私達はミセを後にした。

「安心したか?」
『うん』


侑子がいなくなったあとのミセのこと
何より四月一日くんが存在(い)てくれたこと


「お前は知っていたのか?彼がミセを継ぐって」
『知ってた。ずいぶん昔に』


だけど、彼に言ったら未来を変えてしまう。彼にとって良いことではないから。


彼自身が選択していかないといけないことだった




『全ては必然、か』
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