文化祭当日
私達のクラスは上映するだけだったから自由に他の出し物を見て回った。
月に力を渡してからずっと、桃矢は眠たそうで、雪兎は心配げに桃矢を見ている。
お前のせいじゃないと言われたが、不安は残ったままみたい。
そんななか私は雪兎に呼ばれ話しをした。
「僕が人間じゃないって知っていた?」
『うん、人間じゃないとは思っていなかったけど、もう1人いるとはわかってた』
「そっか…僕が過ごした時間は偽物だったのかな…」
雪兎は淋しげにいった
『それは違う!確かにさくらちゃんや桃矢に出会ったのは必然的だったかもしれない。でも…雪兎が過ごした時間、思い出は確かに雪兎のものだよ!月のものじゃないでしょ?
雪兎、お願いだから全てを否定しないで、私は“雪兎”っていう人と出会って友達になったんだから』
私は少し泣きそうになった。
驚いた様子だった雪兎はいつもみたいに笑って「ありがとう」といった
雪兎は立ち上がってさくらちゃんたちの案内してくると行ってしまった。
私は雪兎を見送ってから桃矢の元へ行った。
『桃矢、いる?』
教室には机に寝そべっている桃矢がいた。
「…ん、名前か…泣いたのか?」
『うん、でも…いい涙だよ』
そっか、と欠伸をしながら起き上がった
『後悔してる?』
「いや、ゆきが消えねぇなら後悔はない。たださくらの危険がわからなくなっただけだ」
『そっか…』
なんて妹思いの…親友思いの人なんだろう
『やっぱり優しいね、桃矢は』
文化祭から少し時が過ぎ、今日は祭りってことで浴衣をきて神社に向かって歩いていた。
そんななか不安な顔をした雪兎
文化祭の日さくらちゃんに告白をされたみたい
でも、さくらちゃんの1番は僕じゃないから。
家族への大好きと僕の大好きは似ていない?と断ったそうだ。
でも雪兎はわかっていた全てが家族と同じ好きって気持ちじゃないって。
それからさくらちゃんと会っていないから不安なのだ
「さくらは大丈夫だ。ちゃんとわかってる」
『そう、さくらちゃんは雪兎が違う意味の“大好き”ってわかってるから今日誘ったんだよ』
「うん、だから誘ってもらえて嬉しかった」
神社に行くとさくらちゃんたちはもういて、おっきく手を振っていた。