はじめまして

友枝町

私がここに来た理由は

彼を助けるため






私はある理由と目的のために今日、ここ(友枝町)に引っ越してきた。


真新しいアパートには届いたばかりの荷物が詰められた段ボールが乱雑に置いてあり、それを整理していた。


名字 名前

それが私の名前。
高校3年。
家族はいない。

このアパートで1人暮らしってこと…


外がオレンジ色染まった頃に粗方の荷物は片付き終わり、段ボールをまとめて括った。


(やっと終わった…かな?荷物少ないのに結構時間かかっちゃった…)


黒と白(ほぼ黒)で統一された部屋を見渡した。


『買い物、いかないと。夕食なにもないや』


財布だけを持って家を出る。
初めて来たはずの街なのに、初めてな気がしないのはそれもこれも私の“力”のせいなのかもしれない。


私はいろいろ“視える”から…
ついでにいろいろいるねぇ…変な形のものが…


少し考えながらぼんやりと商店街を歩いていると、
ドンッと何かが身体にぶつかった。


『え?』

「ほえっ!?」


私はとっさにぶつかった子の腕を掴んで踏ん張るように足に力を入れる。


『せ、セーフ…ごめんなさい。大丈夫?』
「ぇ、あ、こちらこそごめんなさい!!よそ見してたせいでぶつかっちゃって」
『私もぼーっとしてたから、…あ』


この子のこの魔力…

私がジッと見ていたせいか不思議に思って首を傾けた女の子。
柔らかそうな茶色い髪にくりくりした瞳をもったかわいい子。



『あ、ごめんなさい。私今日ここに引っ越しってきたの。名字名前って言うの。あなたの名前も聞いてもいい?』
「さくらです!木之本さくら!」


やっぱり、クロウの…


『さくらちゃん…か。“またね”さくらちゃん』
「ほえ?」



またすぐに会えるから。


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bkm
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