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蓮高卒業式

「さるるん!狐坂さん!真希ちゃん!おはよう!」
「熊倉嬢!卒業式らしい朝ですな。」
『おはよう。いい天気でよかったよね』
「くーまーくーらー。この裏切り者〜!一緒に浪人組かと思いきやさっさと地方2次募集合格してきちゃうんだもんなー」
「ご、ごめん狐坂さん」

久実の頭をぐりぐりとする狐坂さんに追い打ちをかけるかのようにさるるんが「狐坂嬢一浪ですめばいいですけど」なんて言うから困った。

「みんな、、おはよう」
「カンナちゃん!!?すごい顔!」
『やつれたね…ちょっと大丈夫?』
「日吉が今になって、やっぱりアメリカ留学したくない。って毎日電話で朝まで…』

竜生くん…あなたのお陰でカンナがフラフラよ。

「でも、私も竜生君の気持ちわかるな…好きな人と離れ離れって寂しいじゃない。」
「全然」
『か、カンナ?』

すごい素敵な笑顔でいったカンナにたじろく久実。

「寂しいなんて思ってるヒマないわ。だってあの男についていこうっておもったらどれだけ勉強したらいいのか見当もつかめないんだもの。でも日吉にはまだ内緒なんだけど」
「カンナちゃん。もしかしてそれって…」
『カンナ…頑張ってね。応援する。』
「ありがとう」

狐坂さんとさるるんに呼ばれ卒業式の、会場へ急いだ。

[私立蓮高校 卒業証書授与式 開式。]
[卒業証書授与 3年A組代表大神カンナ]

「はい」

私たちのクラス代表はカンナだった。最初の頃はトゲトゲしていたけど、最近のカンナは柔らかくなった。

きっと私もみんなと会えて変わった。誰がを本気で好きになるなんて、みんなと会えなかったら知らなかったはず。

私はこの高校に入って、久実やカンナに会えて本当に幸運だった。

[答辞 3年G組日吉竜生]
「ハイ」

竜生くんにはいっぱい助けてもらった。悲しい時はいっぱい相談にのってくれた。千隼くんと今一緒にいれるのだって竜生くんのおかげ。ありがとう。竜生くん…私のカウンセラー


式は終わり会場から退出した後、みんな好きなひとの第2ボタンを貰いに走りだした。

きっと千隼くんも追いかけられてるんだろうな…大丈夫かな…

一緒に帰ろうと連絡があったので教室で待っていようと空き教室を探し、ここにいるねと送っておいた。

来るまでに知らない男子から第2ボタン貰って下さいと捕まったが、全て断り続けた。

しばらくして教室のドアが開き千隼くんが入って来た。

「はぁ…っはぁ…ごめん、…待たせた。」

千隼くんはボロボロでシャッツもかろうじて羽織ってる状態だ。
女子の最後の力は凄い、と苦笑をもらした。

『千隼くん…見事に剥かれたね。こんなことになりそうだから着替え用意してきたの。』

千隼くんに、待っていた紙袋を渡すと取り出した。中にはフード付きパーカーが入っており千隼くんは襟元のタグを見た。

「助かる…∞2の…じゃないな。似てるけど…"My true"?」
『私が作ったの。"My true"は私のブランド名。∞2に似てしまったけど…千隼くんのために作った1枚だけしかないパーカーだよ。…私、私が思う本当に大切な服を作っていきたい。』
「本当に大切な服?」
『そう。本当に大切な友人に。本当に大切な家族に。…本当に大切な恋人に会うために着たい服。それをコンセプトにして私、デザイナーになることにしたの。』
「そっか。"My true"の服を最初に着れるなんて光栄だな。」
『ちなみに千隼くんに"My true"のイメージモデルも一緒にして欲しいな、なんて思ってるんだけども?…モデルするんだよね?』
「千鶴か?」
『聞いた。おめでとう!』
「押し切られただけ。…さっき一緒にっていった?」
『言った。"My true"のイメージモデルも私やるの。だから、どうでしょう?』
「…断らないってわかって聞いただろ?」
『そんなことないよ?ただ千隼くんが断ったら違う男性モデル探さないといかないけど』
「だめ。真希のブランドなら俺がやる。仕事でもお前を他の男に渡さない。」


千隼くんは優しく私を抱きしめてくれた。優しく、でも力強く。そんな千隼くんに答えるように私も抱きしめ返す。

「真希手出して。」と千隼くんがいうから手を出すとボタンがのせられた。

『これ…第2ボタン?』
「真希好きだ。ずっと大切にする。だからこれからも一緒に居てほしい。」
『千隼くん、私も大好き。一緒にいさせて下さい!』
「…プロポーズみたい。」
『プロポーズでもいいよ?』

ふふっと、笑うと千隼くんの顔が近づいて、キスを落とした。


「ダメ。そのときにちゃんとやる。」


千隼くんは少し離れてそう言うとまたキスをする。触れるだけのキスも息苦しいキスも…

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