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「キューちゃん…コレって合コン?」


店員として入ってきたのは柿木園豹だった。
なんだか、さらに不味い状況だな…とわかっているけど、立てないし…とりあえずこの可愛い系の人の髪をいじって満足してもらおう…

だけど鮫島さんの怒鳴り声にビクッとしてしまい櫛を落とした。

「あーもー鮫島落ち着いて。この子にセットしてもらえないじゃーん。」
「関係あろうとなかろうと俺らは客であんたはただのバイトだろ。仕事してきなよ。」

柿木園豹は「失礼します」というと部屋から出ていった。
久実…大丈夫かな…

久実の近くに座ろうと異動したら間に鮫島さんが座ってしまい、横には可愛い系の人→鼬川さんが座る。

『あの…ちょっと近いです…』

鼬川さんは私の手を取ると指先にキスをした。

「近くに座ってるだから当たり前でショ。ねえ。君は誰目当てできたの?僕だったら即つきあえるよ?ねぇ、どうかな?」
『いや、あの…』
「真希、クマ女!どこだ!真希!」
「お客様、困ります!」

バンとドアを開けて入ってきた汗だくの千隼くんに一同びっくりした。

『千隼、くん?』

千隼くんはずかずかと歩いて来ると私の手をつかんでいた鼬川さんの手を叩きおとし、鮫島さんの腕を踏むように座った。

『どうしたの?』
「急に歌いたくたなった。ソレよりクマ女もお前も何してるんだよ。合コン?らしくないことすんな。似合わねーよ。」

知ってるよ。でもそれは千隼くんにも言えるよね。そんなことば久実だけにいえばいいのに…

それから柿木園豹も加わった謎のカラオケ部屋。柿木園豹はなんだか変わったな。


私はすぐに出たくなって鞄をもちお金を渡した。

『ごめんね、帰るね。楽しんで。』

バタバタとでると鼬川さんに腕を捕まれた。

「ねぇ、アドレス交換してよ。」
『ごめんなさい。』
「メールだけでもいいじゃん。」
『離して…』
「おい、離せ。」

なかなか離してくれなくて、ブンブンと腕をふっていると千隼くんにまた助けてもらった。

「別にいいじゃん。アドレスくらい…」
「行くぞ。」

千隼くんは腕を引っ張り店の外まで出た。

『千隼くん…離して…』
「…」
『離して!やめて!優しくしないで!』
「真希…」
『優しくしてあげないといけないのは久実でしょ!私じゃない!これ以上…これ以上千隼くんのことで泣きたくないよ!』


私は千隼くんの腕も振り払ってその場から逃げ出した。


走って走って走って走って動けなくなるまで走った。
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