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帰りの船に乗り込んだ私たち。
とても素敵な修学旅行だった。
スマホの画面をみて、顔がにやけてしまう。
千隼くんに写真撮らない?と提案したとき断られると思っていたのに、なんと千隼くんはオッケーしてくれた。
『あ、ごめん。写真ニガテって聞いたばかりなのに、じゃぁね!また、』
「いいよ。撮ろう。」
『え?』
「ほら、早く。1枚だけな。」
『いくよ?ハイチーズ!』
カシャッスマホのなかには笑顔の私と無表情の千隼くんが映っている。
後で千隼くんにも送っておこう。
「久実!降りちゃダメ!戻って!!」
声のほうへ向くとカンナが船の下に向かって叫んでいた。
『久実!?どうしたの!?』
「兎塚嬢!熊倉嬢が間違って船降りちゃったみたいで…」
船は出航を始めてしまっていた。
『私、先生に伝えてくる!』
駆け出した私と入れ違いに柿木園豹が手すりを飛び越え海に飛び込んだ。
『えっ!……とりあえず…先生を…』
その後、柿木園豹が連絡を入れてくれ、明日の帰りの飛行機で合流することができた。だけどなんだかんだ久実はすごく無理して笑ってるようだった。