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「期待させといてすごく心苦しいんだけど、もうとっくにわかれてるんだよね…」
場所をケーキ屋に移しさっきまでの会話の続きをしている
「そっか、そうだったんだ、ごめん。」
「私は久実が羨ましいよ。千隼みたいな心から向き合ってくれる誠実な人と恋愛できて。私の方は自分ばっかりから回りして全然うまくいかなかったから。…あっ別に千隼がいいって話じゃないわよ!?」
『カンナ落ち着いて…』
「そのことなんだけど!」
久実はあの文化祭のときの場を納めるため、千隼くんと付き合っているフリをしていただけだとカミングアウトした。
話を聞いたカンナは呆然としていた。
「本当のことちゃんと言わなきゃってずっと思ってたの。でも…なかなか言い出せなくて。ホントにごめんね。」
久実はぎゅっと目をつむりうつむいた。
しばらくの沈黙後カンナが口を開いた。
「…謝られただけじゃ許せない…」
『カンナ…』
「カンナちゃ…」
「久美のケーキ、イチゴのほう半分貰うくらいしなきゃね。」
プスっとイチゴをフォークに差し、笑って言った。
「嫌な話聞いてもらってすっきりしたし、おあいこ。もうこれで隠し事はお互い無しだからね。」
「カンナちゃん…どうしてそんなに優しいの」
「友達だからね。」
久実に貰ったクマの縫いぐるみを見せてそういった。
私は良かった…とホッとしカップに口をつけた。
「ところで真希はもしかしてしってたの?このこと。」
『直接聞いたわけじゃないから、そうかなとは思ってたよ?千隼くんもそんな感じのこと言ってたし。』
「なら、教えてくれたっていいじゃない!」
『久実からなにも聞いてないのにもしかして、の話なんか出来ないよ。』
「真希ちゃん…ありがとう。」
「じゃあそれはいいとして、久実付き合っている人いるってことよね!誰!私の知ってるひと!?」
「えっと同じクラスの」RRRRR…
久実の言葉を遮るようにカンナの携帯がなった。父からだ、と電話にでると心配してる様子の会話が。
「ごめんね、ウチ門限とか厳しくて…もう帰らないと。」
いそいそと帰り仕度をするカンナ。
窓の外を見ていると柿木園豹が歩いて来るのがみえた。
『わたしも帰ろ。途中まで一緒に行こカンナ。』
「ええ。じゃあこの話の続きは修学旅行でもっとたくさん話そうね。」
『しゃあね。』
久実に手をふりカンナと店を後にした。
「真希ゆっくり久実と帰れば良かったのに」
『うん、まぁちょっとね』
柿木園豹がいたし、何となくだけどあっちも久実のこと気づいていたみたいだし私はお邪魔だよね。
「久実に申し訳ないことしてたかな?私」
『え?』
「今思い返せば、久実、何回かなにか言いたそうなときあったよね。私それに耳傾けてあげてなかったなぁって。」
『でも、今日ちゃんと聞いてだじゃない。充分でしょ?』
カンナも久実もちゃんと自分の気持ちを素直に話せていて凄いとおもう。私はなにも言わないのに。良くないよね。
『あのね…ずっと私も迷ってたけど、今告白する。』
「何を?」
『私ね……千隼くんが好き、なの。』
「えー!?」
『カンナ、久実と付き合ってるって思ってたし、そんなこといったら困らせるかもなって思って言えずにいた。それに千隼くんには好きな人いるみたいだし、誰にも言わないまま忘れようと思ってた。でも、今日私だけ言わないのはフェアじゃないって思ったから。』
「真希…気づいてあげれなくてごめん。私無意識に真希のこと傷つけてたかも知れない。」
『そんなこと、ないよ!私もごめん。前に心配してくれたときに言えなくて…』
ふたりで道のまん中で謝ってる姿は他の通行人からしたら変に映ってたのかじろじろ見られた。恥ずかしくない歩き出した私達はふたりして笑ってしまった。
『これで、すっきり旅行にいける!』
「そうね!」