17
「カンナちゃん!真希ちゃん!見て!全部70点以上だよ!ギリギリだけど。」
久実は返ってきたテスト用紙を嬉しそうに見せてきた。
これでみんなと沖縄いけるよ、と。
「良かった。真希は?結果よかった?」
『うん。数学と英語が微妙だったけどみんなに教えてもらったからどっちも90点台だったよ。ありがとう!』
「真希ちゃん…やっぱり頭よかったんだ…」
しょぼーんとした久実にカンナは話題を変えた。
「ねぇ、試験も終わったし、休みに旅行の買い物行かない?」
『賛成!』
「私も!」
『決まりね。じゃあ10時に駅で待合せでいいかな?』
「そうね。久実遅れちゃダメよ?」
「うん。」
友達と買い物なんて久しぶりだな…
カンナ以外友達っていないし。というか、嫌われてるし。
カンナは旅行のガイドブック見に行くから帰ると先に行った。久実はテスト結果を報告しに行きたい人がいると走って行ってしまったし、私もお礼いいに行った方がいいかな…
そんなことを考えていると、竜生くんとばったりあった。
「真希チャン」
『竜生くん。テスト勉強のときありがとう。いつもよりいい点がとれたよ。』
「オレほとんどなにもしてないけどね!説明意味わかんないって言われたし…」
『そんなことないよ。英語のヒアリングとかすごく助かった。因みに竜生くんのテスト結果は?』
「満点でっす」
『…本当に天才なんだね』
下駄箱まで歩きながら、テスト用紙を見せてもらったけど全部100点だった。竜生くんの性格がこんな風だからか凄いギャップを感じてしまう。
「あ、千隼ー!」
前に千隼くんがいたらしく竜生くんが声をあげた。
『ちょうどよかった。千隼くんにもお礼言いたかったんだ。』
「?」
「テスト結果よかったんだって。」
「別にお礼言われるようなことじゃないだろ?」
『言われるようなことだよ!むしろふたりになにかお礼したい位良かったんだから!』
お礼のために教えたのにお礼されたら意味なくね?と千隼くんに言われたが、それは別問題だ。
「お礼ならまたウチの手伝いしてよ!チビどもに真希チャンは人気だから!」
『そんなことでいいならいくらでもやるよー!』
「おい、真希。お礼の安売りすんな。こいつ付け上がる。」
『安売りって…』
「…前から思ってたんだけど千隼が名前で呼ぶの珍しいよね。」
「はぁ?」
「真希チャンのこと“真希”って呼んでんじゃん。」
「別に。普通だろ。」
えー!普通じゃない!とギャーギャー騒ぐ竜生くんにめんどくさくなったのか千隼くんはスルーを決め込んで歩きはじめた。
そんな様子がおもしろく、本当に仲良しだなと後方で笑って見ていた。
「真希遅い。置いていくぞ。」
「真希チャン早く早く!」
『え?』
ひとりで帰るつもりでいたからゆっくり靴を履き替えているとすでに履き替えたふたりが並んで待っていた。
『一緒に帰っていいの?』
「何いってるの?当然でしょ」
あたりまえのようにそう言ってくれるものだから本当に嬉しく、駆け足でふたりに近寄り一緒に帰らせてもらった。