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朝登校し、教室に向かう途中の掲示板の前に久実とカンナを見つけた


『久実、カンナおはよう。』
「おはよう。」
「真希ちゃんおはよう!修学旅行沖縄だって!」
『もう、そんな時期なんだ…』
「沖縄かぁ楽しみだなぁ…あの、良かったら一緒の班にならない?」

久実の発言にカンナがフリーズした。
なにか勘違いした久実は顔を赤めて自由行動は一緒にまわろう?と聞いているのをみて私はクスッと笑ってしまった。
カンナはカンナで顔を真っ赤にさせた。

「私、修学旅行の準備のお買い物から久実と真希と一緒のつもりでいたから、恥ずかしい…」
『私も。一緒にまわるものだとばかり思ってた。』

私達3人で笑いあった。


『あ、でもその前にテストあるね。それも張り出されてる。』

私がそう言うと久実が固まってしまった。

平均70点以下だと修学旅行にいけない。さらに旅行中は学校に残り特別補習がある、といった内容だった。

まさか、久実ギリギリなのかな…


放課後、一緒に勉強でもしない?と誘うと久実は申し訳無さそうに用事があって、とそそくさと消えてしまった。

『ま、別の日でもいっか。私も帰ろう。』

「千隼、本当にごめん!」

下駄箱までの廊下を歩いていると声が聞こえた。

ちろっとみると千隼くんと何かを謝っている竜生くんがいた。
私はさっと壁に身体をくっ付けかくれた。

「別に許すも許さねぇもねぇよ。最初からなにもはじまってなかったんだから…」


千隼くん…

聞いちゃいけない話しだよね…


そこにいるのは申し訳なくてその場を離れ下駄箱へ急いだ。


ふぅとため息をつき、靴を履き替える。
昨日の今日だから、ちょっと顔合わせにくいな…
多分私だけだと思うけど…


苦笑して歩き出そうとすると肩を叩かれた。

「よぉ。」
『ち、千隼くん。』

さっきまで教室にいたはずなのに、ナゼもう此処にいるの!?速くない!?


『今帰り?あ、風邪ひかなかったんだね。良かった。』
「だから、そんなに弱かねぇって。」

千隼くんは靴を履き替えると歩きだした。
私がそのまま動かずいると、くるっとこちらを向いた。

「帰らねぇの?」
『あ、うん。帰る。』

一緒に帰る感じなのね。私は千隼くんの少し後ろにつくよう、うつむいたまま歩く。

「昨日、ストールありがとな。」
『ううん。役にたてたなら良かった…よ。』
「…なんか静かだな。…風邪ひかせたか?」
『ちがうちがう!えっと、…あ、テストが心配で!』
「意外だな。頭いい方だと思ってたけど。」
『すごい悪いって訳じゃないんだけど、細かいミス多くて。』
「ストールの借りもあるし、教科によるけど教えられるのは教えるけど?」
『貸し借りのつもりで渡したんじゃないよ?∞2が好きって言ってくれたからで…』
「じゃあ、お礼。」
『ふふっ、じゃあ…教えてください。』


「ん。」と答える千隼くんは本当に素直じゃない。でも教えてくれるなんて嬉しくて、心のなかでは大はしゃぎだ。

明日の放課後図書室で教えてもらうことを約束して駅で別れた。
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