ちょっと落ち着いて…




湖にあったボートでヤマトさんが行った向こう岸に渡り、少し周りを散策しているとデジヴァイスが鳴り出した。

「なんか鳴ってる!」
「きっと近くに仲間がいるんだ。」
「そうだよ!この前もこれが鳴ったときタケルと会えたんだ!」
「じゃあお兄ちゃんに会える?」
「会えるかもしれないぞー」
『点が2つ…2人いるのかな?』
「とりあえず行けばわかるさ。」


デジヴァイスが示す方へ向かうとレストランみたいな建物があった。点はここを示している。みんなで建物の中に入るとゴマモンとガブモンが掃除をしていた。

ここにヤマトさんと丈さんがいるというのだがゴマモンもガブモンも何か様子がおかしかった。

「何かあったのかな?」
『みたいだね。』

太一さんは不思議そうにしつつもキッチンに向かうとそこには丈さんがいた。

「太一!生きてたのか!心配したんだぞ!」
「ごめん。いろいろあってさ。」
「お兄ちゃんどこ!いるんでしょう?」


丈さんは気まずそうに裏手口の方をみた。タケルくんは「外だね!」と言うと嬉しそうに走っていった。

『丈さん?どうかしましたか?』
「…」


何も言わない丈さん。外ではタケルくんとヤマトさんが再会の会話していた。どうやって来たか聞いた時太一さんがヤマトさんに声をかけた。

ヤマトさんはいろいろ迷惑かけて悪かったと太一さんにお礼を言ったあとわたしの存在にも気づいたようだ。

「真希ちゃんもすぐに戻れなくてごめんな。」
『ううん。ヤマトさんが無事でよかった。』
「それはそうと今誰もいないし逃げちゃおうぜ?」
「えっ!?逃げる!?」
「そうだよ。さっさとみんなで他のみんなを探しに行こうよ。」


太一さんの言葉にヤマトさんは「俺は嫌だね」と答えた。逃げる事には賛成のようだけど丈さんとは一緒に行けないとのこと。


『何で…ですか?』
「一緒に行ったって足手まといになるだけだ。あんな奴!」


その言葉に丈さんは傷ついた様子で裏手口で佇んでいた。

「何言ってるんだよ!みんな仲間じゃないかよ!」
「何が仲間だ!そうやってお前がみんなを引きずり回したんだ!おかげでもうクタクタだ!お前はもう1人で好きなようにしろ!」
「なんだと!」
『ちょっと、落ち着いて…』
「俺はタケルと一緒にいく。俺たちのことはほっておいてくれ!」
「お兄ちゃんどうしたの?みんな友達でしょ!」
「うるさいっ!お前は黙って俺について来い!」

ヒートアップしていくふたりに止める声も届かない。

「皆さん」

そんななか、後ろから声をかけられて振り向けば卵っぽいデジモンがいた。


『誰?』
「デジタマモンだ。」
「まさかここから脱走しようなんて考えているんじゃないだろうね?」
「そんなことされたら困るんですよね。」

また違う声がして声のする方向、木の枝にはピコデビモンもいた。


  目次  
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -