プリメーラ -PREMERA- | ナノ


...assembly 5








「……ーロ!!……アーロニーロ!!」




ハッと意識を戻す。


ざわめく室内で
浅葱色の髪の毛を持つ男が顔をしかめていた。




「てめえ、ちゃんと耳ついてんのか?
何回呼んでも無視しやがって…」

「…聞コエテルサ」
「一々うるせえ奴だな」




在りし日の記憶から無理矢理戻されたアーロニーロは
不機嫌そうに言い捨て顔を逸らす。




「…あぁ?テメエ誰に向かってほざいてやがんだ?」




は?と

一瞬動きを止めたグリムジョーは

不満げに顔を歪めると
ガタリと椅子から立ち上がった。




「…止めておけグリムジョー

今はアーロニーロと争っている時ではない」




無駄な争いになる前に、と

口を挟んだウルキオラが
座るように促す。

しかし効果は無く
ギロリと鋭い眼差しがウルキオラを射抜いた。




「うるせえな!!

んなこたテメエに言われなくてもわかってんだよ!!」








…はぁ。




思わず、溜息が零れる。

喧騒の中
なぜだかスタークは妙に落ち着いていた。


だがそんなスタークに

アーロニーロを問い質していたグリムジョーの矛先が向けられる。




「テメエ!!何落ち着いてやがんだよ!!」


「…お前はもう少し落ち着けよ」



ぎゃんぎゃんと突っ掛かって来たグリムジョーは




テメエのトコのガキの話だろうが!!




と、尚もヒートアップする。




この男はこんなにも他人の事で熱くなる奴だったか…?




余りの勢いに
宥めるのも疲れたスタークは
諦めたように目を閉じた。






「…彼女には補佐という役目上
私と同等の権限を与える

皆もそのつもりでいてくれ」




皆の反応に怒る様子も無く

フッと笑った藍染は
少し温くなった紅茶を口に運ぶ。




その瞬間、ピタリと喧騒が止んだ。




不思議と今の言葉を聞き漏らした者は居なかったようで
全員が今の発言の意図を理解するべく藍染を注視する。



…藍染と『同等』の権力?


それは…




「…そりゃまた
どういうことだよ藍染サマよぉ


別にスタークの所にいたチビガキが
デカくなろうが俺の知ったこっちゃねえが

ソイツが十刃落ちだっつーのは
変わんねえだろうが

デカくなっただけの女に
何が出来んだよ」


「…ノイトラ

藍染様の御前だ
少し弁えろ」




不愉快そうな態度を隠しもせずに
詰め寄ろうとしたノイトラに
すかさずハリベルが声を掛ける。




「いや。構わないよハリベル

ノイトラの言うことも尤もだろう」




藍染はハリベルに微笑むと
ぐるりと十刃を見渡す。




「確かに彼女の力を今ここで示して置くことは
この先に於て必要なのだろうね

…イアン」


「はい。藍染様」





藍染が言うが早いか

スッとイアンが足を踏み出した。




「皆は君の力が見たいようだ

どうしたい?」


「…藍染様のお好きなように」




俯いていた顔を上げると

その目にノイトラを捉える。


バチッと火花が散る睨み合いに(イアンはただ見ていただけだが)

珍しく藍染が満面の笑みを向けた。




「そうだね…では




そこに居るスタークを

殺してもらおうか」








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