Ocean blue | ナノ
二次試験と飛行船 02
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その後、魚を獲り終わった3人は肝心のスシを作ろうと頑張ったのだが、その努力は水の泡となる。

結局、おいしいスシを作れた者がいなかったという理由で、メンチの試験の合格者はゼロになってしまったのだ。
しかし、審査委員会のネテロ会長がやって来て、新しい課題が設けられることになった。
引き続き試験を任されたメンチは、審査員実演という条件を課せられた。

メニューは「ゆで卵」。

使用するのは、谷の間に糸を張って卵をつるす習性をもつクモワシという鳥の卵である。
それを手に入れるには、崖を飛び降り、上手く糸につかまって卵を取った後、岩壁を登って戻って来なければならない。

この試験をクリアできたのは、セルシア達を含む42人だった。



二次試験の合格者たちは、飛行船に乗って三次試験会場を目指す。空はすでに暗くなり、星が輝く夜になっていた。

「次の目的地へは明日の朝8時到着予定です。こちらから連絡するまで各自自由に時間をお使いください。」

セルシアはほーっと長いため息をつく。

(今日は疲れた・・・)

「ゴン!!飛行船の中探検しようぜ」

「うん!!」

「・・・・・」

(若いって・・・すごい)

「元気な奴ら・・・オレはとにかくぐっすり寝てーぜ」
「私もだ。おそろしく長い1日だった」

レオリオとクラピカはセルシアと同じくぐったりしている。
そこにトンパがやって来て、気を抜くなとかそんなことを話しているようだが、セルシアははっきり言って全く聞いていなかった。

(まぶたが・・・重い・・)

「・・・すー」


「セルシア?」

「おい・・寝ちまってるぜ・・」

レオリオが「女の子がこんな無防備でいいのかねー」と呆れている。

クラピカは苦笑した。

(無防備か・・確かに)

普段のセルシアは機敏な動きをしているし、武術の心得がある者として当然なのだが、スキがない。
しかし、今の彼女は安心しきったようにぐっすり眠っているのだ。

「こんな所で寝ていては風邪をひくな・・・」

クラピカはセルシアを抱きかかえて部屋の隅へ移動させた。
さらに上から毛布をかける。

「オレ達もここで寝ようぜ。もー限界だオレは」

「そうだな・・・・おい、レオリオ。セルシアの隣にくっつくな」

「なんだよ、お前だってさっき抱きかかえてただろ」

「それとこれとは話が全く別だ」

「いやーどうせなら可愛い女の子のそばで寝たい・・」

「離れろ。半径10m以内に近づくな」

「冗談だってーの!ったく堅物が・・・」

クラピカにギロッと睨まれたレオリオは「おー怖」と言いながら少し離れて座る。
クラピカはセルシアとレオリオの間に座り込んだ。

(本当によく寝ているな…)

隣でこれだけ騒げば目が覚めそうなものだが、セルシアは相変わらず眠ったままだ。
やわらかいベージュの髪が少し顔にかかっている。クラピカは、今は閉じられていて見えないセルシアの真っ直ぐな瞳のことを考えた。

(不思議な目をしている…いつもは空のように清々しい青色をしているのに、時々、深海の濃紺に見えることがある…)

本人は気づいているのだろうか?それとも、単なる光のいたずらだったのかもしれない。

(今度、聞いてみよう…)

気丈な少女のあどけない寝顔を見ながら、クラピカは眠りに落ちていった。


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