09 


ローの帰る日が分かった。
帰るまでの2週間を、有意義に過ごしたいなぁ……。一日目はもう終わってしまうので仕方がないにしても、残りをいい思い出になる様にして欲しい。
「ロー、どっか行きたいところある?」
「……本が沢山置いてあるところはねぇのか?」
「じゃあ、図書館だね!近くに大きい所があるから、そこに行こう。あ、でもどんなの読む?医者だから医学書的な?」
「ああ、この世界の医学には興味がある。」
「だったら、うちの大学に行こうか。医学部の図書館あるし、一般の人の利用も可能だからね。」
「……わかった。」
とりあえず、明日することは決まった。そうとなれば、今日は疲れたし早めに寝よう。ローにお風呂に入るように伝えたが、能力者故に湯船に浸かることは出来ないらしい。ならばシャワーを浴びてくるように言う。 ローの着替えを寝室から持ってきて、脱衣所にタオルと共に置いた後、男性はソファに座ってテレビを見ていた。がチャリとドアを開く音がしたので、ローが上がってきたのかと後ろを振り返ると、上半身裸のローがいた。
「う、わ……ローいい身体してるね。」
振り返った先にあるローの身体はシャワーを浴びたばかりなせいか火照っており、筋肉のついた引き締まった身体を強調させているようだ。胸にはハート型の刺青が彫られており、それもローの身体を強調させる一部になっている。思わず見入っていると肩に掛けていたタオルを投げられる。
「ジロジロ見てんじゃねえ。」
「ぶっ、ごめん余りにもいい身体だったから。わ、ロー、頭びしょびしょじゃん、乾かしてあげるからおいで。」
そう言うと素直に股の間に座るロー。一日でこんなにも素直になったローに思わず笑みが漏れる。タオルで軽く拭いたあと、ちょっとごめんとドライヤーを取りに行く。帰ってきた時にローの隣に座ると不機嫌に眉を顰めたのは吹き出しそうになった。ローの髪を乾かした後、男性も風呂に入る。折角溜めたのだからと湯船に浸かる。

「いやー、まさか自分がこんなことに巻き込まれるなんて思いもしなかったよな……。」
ふぅと息を吐きながらひとりごちる。あまり長湯をして、ローを待たせるのも申し訳ないと、早々に風呂を後にする。暑いため、やはり男性も上半身裸だ。
「ごめんロー、待たせたかな?」
「いや、全然待って……、」
リビングに戻り、ローに声を掛ける。返事をしながら振り返ったローが固まる。僅かに顔が赤くなっているようにも見える。
「いやん。ローみたいに逞しい身体じゃないから、あまり見ないでー。」
とおちゃらけたように言うと、ハッとしたローが舌打ちをして「みてねぇ」と返してきた。
「俺、格闘技やってた割に筋肉あまりつかないんだよね。ローの筋肉分けて欲しいよ。」
そう言うと、ローから存外真面目に「わけられねぇぞ」と返ってきた。どうやら彼には天然の気があるらしい。

ふあと欠伸がでる。時計を見ると、日付こそ変わらないが、そこそこ遅い時間だ。
「もうこんな時間か……。明日も出掛けるし今日は寝ようか。あ、俺ソファで寝るから、ローはベッド使っていいよ。」
「……分かった。」
ちらりと目線を遣るローにおやすみと言うと、ローからもおやすみが帰ってきて、寝室へと入っていった。男性はごろりとソファに寝転ぶと、今日一日を振り返りながら、目を瞑った。





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