電話を切ってからミカルはリビングを見渡した。
一人で住むには広すぎる家。
まだ、叔母の…ユアンの温もりがある。
目を閉じると、玄関から声が聞こえるような気がした。
いつものように珍しい食材の買いつけに行ってきたんだ、と。
何度もそう思っていたけれど
ユアンの友人であり戦友であるラディが家へやってきて
ミカルを見るなり何も言わず力強く抱きしめた瞬間
ミカルは全てを受け入れて泣いた。
あの時、自分の中の水分が全てカラカラになるんじゃないかと思うほどに何週間も泣き続けた。
あの時から数ヶ月たって、色んなことが落ち着いた。
ミカルはリビングにある机の引き出しの中から、1通のハガキを取り出した。
美しい星空と峡谷の写真のハガキで
メッセージのところには簡素な文章だけだった。
『ユアン・セルブライトは星に帰りました。あなたの心にいつまでもいます。どうか悲しまないで…。』
差出人は不明。
しかし、印はコスモキャニオンと書いてあった。
この星空が見える美しい場所。
ミカルはユアンとこの土地はどんな関係なのか
今はわからなかった。