鳴門 | ナノ
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56.


三尾、二尾と続けざまに封印を終えて再び木ノ葉へ向かっていた私達は無言のままピタリと足を止めた。わざわざ見なくても分かる。シカマルの影が背後から追いかけて来ているのだ。

「飛段、なまえ」
「ああ……」
「分かっていますよ」

角都さんとのアイコンタクトでそれぞれが散り、私は近くの大木へと避難した。眼下で二度大きな爆発が起こる。

「角都さん! 飛段さん───ッ?」
「なまえ。お願いだからそのまま大人しくしててね」
「カカシ先生? またこんな手を……!」

前はワイヤーで拘束され、側にはカカシ先生の影分身が控えているだけだったのに。今度は先生自身が私の腕を掴んでいた。痛い───抜け出そうとすればするほどギシギシと骨が軋む音が聞こえてくるようだ。

「前みたいにはいかないよ。ごめんね? 痛いだろうけど、ちょっとの間我慢しててよ」
「ぐっ……」
「(また起爆札!)飛段、躱せ!」
「くっ!」

ガッとチャクラ刀が地面に突き刺さってもそれに括りつけられた起爆札が爆発することはなく。

「!」
「やられたな……」
「影真似手裏剣の術……成功」

気がつけば角都さんと飛段さんがシカマルの影に捕らえられていた。

「俺が投げたそいつはチャクラ刀だ。チャクラの性質を吸収して使用者の術に基づく効果を発揮する。つまり俺は初めからアンタ等の影を狙って撃ったのさ!」

彼の戦い方を詰め将棋に例えたのはアスマ先生だったか。もしかしたらカカシ先生が私を捕まえることすらも俺の作戦の内だったかもしれない。

「テメーまで捕まってどうすんだよ、角都! なまえちゃんの姿も見当たらねーしよ。オイオイ! こりゃハッキリ言ってマズイんじゃねーのかァ!?」
「まずい? 俺の計算じゃ、この手順でなまえとお前等を引き離してそれぞれ捕まえた時点で終わりだ」

やっぱり私のことまで作戦に含まれていたんだ。大切な師をあんな目に遭わされたのにまだ私を生け捕りにしようとするなんてお人好しにも程がある。そんなシカマルに反対しない周りも大概だ。

「ヤロー……」
「今度は狙う順番を間違えないからよ」
「テメーの顔は覚えたぜ! 俺がどーなろうとぜってーぶっ殺す!!」
「お前……頭悪いだろ……」
「角都ッ……躱せェ!」

カカシ先生が私を拘束しながらもずっと角都さんの隙を伺っているように見える今なら───試しに結界忍術を張ってみると案の定腕の拘束が緩んだ。先生を倒すつもりはない。一瞬の隙を作るために回し蹴りを仕掛け、僅かな距離が生まれと同時に飛雷神の術で二人の間に割って入り大鎌の柄を狙って蹴り上げた。

「良いタイミングだ」

その間に地中に潜っていたらしい角都さんの右手が自身の影を捕らえるチャクラ刀を引き抜いた。

「"終わり"だと言ってはいても俺の能力は未知数。ならばきちんと距離をとって次の手を仕掛ける……俺の連れと違って賢い……だが戦闘中に分析ばかりしていても全てが計算通りにいくもんじゃない」
「角都! 連れと違い……ってのはどーゆー意味……」
「! 角都さん、飛段さん、上!」
「肉弾針戦車!」

このままじゃ間に合わない。飛雷神の術でチョウジを飛ばすべく印を組もうと瞬間、頬に鋭い痛みが走った。カッと地面に突き刺さったそれはゲンマが私にくれた───飛んできた方向から察するにカカシ先生が投げたのだろうけれど、どうして先生がこれを。

「ボヤボヤするな。なまえ」
「ッ、」

前からの衝撃で大きく吹き飛ばされたと同時にチョウジの巨体が角都さんを勢いよく押しつぶした。

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