鳴門 | ナノ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
54.


シカマルが見破ったのはあくまで術の抜け穴であってそれ自体を解く方法じゃない。結局、飛段さんの呪いから逃れる術なんて存在しないのだから。

「一度手を貸せと言った以上、ここからは俺もやる」
「イテテ……チィ、分かったよ」
「なまえ、お前の力は前線には向いていない。却って足でまといだからそのまま待機だ」
「……分かってますよ」

ここからは角都さんも戦いに加わるのなら結末は火を見るよりも明らかで。アスマ先生だけじゃなく、シカマルやコテツさんやイズモさんも。

「儀式もそうだがお前は戦闘も話もとにかくタラタラ長い。賞金首はお前がやれ。それ以外は俺がやる」
「イズモ!」
「分かってる! 水遁・水飴拿原!」
「!」
「もらったァァ!」
「フン……」

角都さんに向かって行ったコテツさんとイズモさんは呆気なく捕まり、立ち上がることもままならないアスマ先生の背後からは飛段さんの大鎌が襲いかかって。

「アスマァ! うしろォ!」

シカマルが間違えたところを初めて見たような気がする。その呪いはアスマ先生に攻撃を避けさせるだけじゃ駄目なのだ。飛段さんはあくまで自分を通して相手を殺すのだから。その人の足元を確認するや否や力任せに地面を蹴った。

「───……おい。嘘だろう?」
「どう言うつもりだ? なまえ」
「……」

力任せに引き寄せられた大鎌を受け止め、影分身から伸ばした何本もの糸で飛段さんの体を縛り上げた。あと一歩のところで横槍が入り怒気どころか殺気すら向けてくる飛段さんを他所に糸縛りの術、と口元で呟いてチャクラを込めれば肌の色が本来のそれに戻り足元の不気味な図も跡形もなく消え去った。呪いという言葉をつかっても忍術であることには変わらないのだ。

「あー! テメー、何てことしやがんだ!」
「……どうやら招集のようですよ。尾獣の封印が最優先でしょう?」

まるで狙ったかのようなタイミングだと思った。

「せめて止めを刺すぐらいまで待ってくれても良いだろうがよ!」
「飛段、止めろ。お前にも聞こえているだろ……行くぞ」

飛段さんは不服そうに舌打ちをしたものの角都さんの言う通りほんの少し前から聞こえてくるペインさんの急かす声にこれ以上の反抗は無駄だと判断したのだろう。このまま撤退の方向で話がまとまりそうなことに心のどこかでホッとしていて。

「だが、なまえ」
「……はい。角都さん」
「デイダラから聞いたが、お前は木ノ葉の出身らしいな?」
「……」
「故郷の連中になら未練があってもおかしくない」
「……何が言いたいんですか?」
「暁の掟だ。裏切り者がどう言う道をたどるのか……ここまで言えば俺の言いたいことが分かるな?」

角都さんの目がグッと細められた。大丈夫。飛段さんの邪魔をしておいて全く疑われないなんて、そんな都合の良い展開なんてあり得ないと分かっているから取り乱すなんてヘマはしない。フゥー、と溜め息をつき目を向けたのは───。

「もちろん。分かっていますよ」

足元に転がるチャクラ刀を拾い上げ、未だ倒れたままのアスマ先生の元へゆっくりと歩み寄って行く。手元にチャクラを込めれば先生が飛段さんの首をハネた時と同じように刃が伸びた。そのまま血振るいのように腕全体から振り下ろしてみればブゥゥンと唸り声を上げた。

「止めろ、なまえ……止めてくれ……っ!」

とっくに限界を迎えているはずなのに、最早気力だけで私を止めるために必死に影を伸ばしているのだろう。この人を死なせたくないその一心で。でも───。

「飛雷神の術」

今度は彼等にも聞こえるように唱え、一瞬でアスマ先生の背後へと移動した。

「アスマーッ! 止めろーッ!」

シカマルの悲痛な叫びを浴びながら、先生の心臓に向かって刃を突き立てた。

prevnovel topnext