鳴門 | ナノ
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49.


「ナルト、サクラもか……ならカカシとなまえもいるのか?」
「カカシさんじゃなくて残念だけど、僕が代理だ。それとなまえなら今は暁にいるよ。二年前、君と同じように里を抜けたんだ」
「何だと?」

今まで眉一つ動かさなかったサスケの眉間に皺が寄った。目の前の二人よりもなまえの行方を気にするのか。だが、それに何を思うわけでもなく心のどこかで納得している自分がいた。何せ、なまえが里を抜けただけでなく暁にいることに驚いたのは僕も同じだったから。



「カカシ先輩の代理と言うことも、ヤマトと名乗ることも分かりました。ですが、任務につく前に一つ聞きたいことがあります」
「何だ?」
「カカシ班は5人一組の特殊班だったはずです。例えうちはサスケが抜けても僕が入るのならフォーマンセルが成り立つ。なのになぜわざわざ根の者まで?」
「お前、あいつ等のことを知っていたのか? いや、知らなかったと言うべきか……」
「?」
「欠けたのはサスケだけじゃないんだよ」
「どう言うことですか?」
「サスケと時期を同じくて不知火なまえも里を抜けた。しかも、なまえが身を置くのはあの暁だ」
「、何かの間違いでしょう?」

五代目が否定も肯定も口にすることなく敢えて表情のみで語るものだから余計に真実味を帯びて。遠くの方でガラリと何かが崩れ去る音が聞こえたような気がした。
なまえとは中忍試験の本選を控えた修行につき合ったきりでそれ以来顔を合わせていなかったが、あの子のことだから着々と力をつけて逞しくなっているのだろうなんて考えていたのに。いつか任務で一緒になる日も来るかもしれないと密かに楽しみにしていたのに───……。





「なまえが里を抜けたことがそんなにショックかい?」

ヤマトとか言う奴に言われたことで初めて気づいた。だが、自覚したところで所詮俺には関係のないことだ。なのに、兄のことを語るあいつの顔が脳裏をよぎるのはなぜだろう。



「言いたくなければ別に良い。お前は他人を家族と思うことに抵抗はなかったのか?」
「最初はもちろんあったよ。でも、私も向き合わないとって思ったの。今は本物の兄妹だって思ってる。それこそ血の繋がりにも負けないくらい」

可哀想などと思って欲しくない。同情なら尚更。暗く重苦しいそれを笑みの中に隠しきるなまえを見て漠然と思ったのだ。こいつは俺とは無縁の明るくて暖かい世界で生きていくのだろうと。なのに、あいつが今いる場所は俺と大して変わらない。
人は変わる。俺やイタチがそうだったように。変わらない奴なんていない。それでも心のどこかであいつだけは変わらないと決めつけていたとでも言うのか。なんて馬鹿馬鹿しいのだろう。子ども染みた幻想を捨て切れずにいた自身に辟易すると同時に腹の奥底からブクブクと苛立ちとよく似た何かが湧き上がってくる。

「繋がりを断ち切ったと言う割には、僕からすれば君には未練があるように見えるよ」
「ヤマト隊長……」
「フン。戯言だな」

ヤマトの言葉を真っ向から否定出来るくらいには未練はない。だが、さっきからなまえの顔がちらついてしょうがない。イタチと同じ暁の装束に身を包むあいつを思い浮かべただけで虫酸が走る。なぜ、お前がそこにいるのか。だが、いくら考えたところで答えを得られないものに労力を費やすのも時間の無駄だと考えることを放棄した。結局、俺には関係のないことなのだから。

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