03


ゆーりちゃんという存在を知ってから、僕は“オトモダチ”と“遊ぶ”ことがめっきりなくなった。
“オトモダチ”はそんな僕に不満を募らせているようだけど、僕はと言えば彼女たちに構っている暇はない。

――ゆーりちゃんが今日も、他の男たちの間をフラフラしていたのだ。

ゆーりちゃんは特別可愛いというわけではないけれど、よく男にモテた。
理由はきっと、自分が支えてやらなければと思わせる少し抜けた行動の数々と、ゆーりちゃんの無防備っぷりにある。

男を男と警戒していない彼女は簡単に男の懐に潜り込んで、思わせぶりな態度で接するのだ。
意識してやっていないところがまた、小悪魔たる所以というか……否、蜜を求めて花から花を移動する蝶のようで。
彼女が求めるのは“蜜”ではなく“心地よさ”なのだろうけど、花の間をひらひらと舞う点については、我ながら言い得て妙だと思う。

聞いたところによれば中学の頃も似たような状況にあったらしいし、誰かに彼女を掠め取られてしまうのも時間の問題だ。

「行動、しなきゃ……」

僕の中で観察対象であった彼女は、いつしか手に入れたいかけがえのない存在となっていた。

“オトモダチ”のような関係ではなく。
もっと親密な、それでいて堅い契りを交わしたような……。

――ああ、そうだ。
ゆーりちゃんの“彼氏”になればいいんだ。

そして少しずつ、ゆーりちゃんを僕だけの蝶にすればいい。

最初はね、許してあげるよ。
ゆーりちゃんが他の花に行くことくらい。
僕は寛容だから。

でも、その花にずっと留まることは許さない。

もしそんなことがあれば、その時は――

僕のもとに戻ってこられるように、邪魔な花は根こそぎ排除してあげるからね。



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