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「美原とも未だ連絡がつかないし、貴様らは揃って……怒篭魂の幹部という自覚はないのか!」
「あぁ。なんか物足りないと思えば、そういや祥吾がいねーな」
「茶化すなッ」
「……別に、茶化してるつもりはねーよ」
「その女が現れてから貴様、おかしいぞ!」

え、私?
怒りの形相に変わったメガネくんにいきなり指を差され、ちょっぴり困惑してしまう。

完全に蚊帳の外だと思ってた。

「僕たちの前に滅多に姿を現さなくなったと思えば、今は四六時中その女と行動を共にしているそうじゃないか!報いを受けさせると言いながら、まったくその気配もない!貴様はその女が絢華にしたことを、忘れたか!!この阿呆が!!」
「……」

きっと、この人は。
本気で来栖嬢のことが好きなのだろう。

だから来栖嬢を傷つけた私が、のうのうとしているのが許せない。

好きな人を想うが故の強い感情。
気持ちは分からないでもない、けれど。

メガネくんが私に向ける敵意は、的外れもいいところで、まったくもって見当違いなものだ。

私が何をしたって言うの?
何もしていない。

ただ来栖嬢にイチャモンをつけられて、怒篭魂の目の敵にされただけ。

私は理不尽な目に遭っているのだ。

なのに。
たった一人真実に気づいてくれた宇崎を心無い言葉で責めるのは、お門違いも甚だしい。

宇崎は、なにも。

「………ない」

なにも、悪くないのに――。


「は?」

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