足りないが、足る

どうやら天喰は、耳栓をしている間に落ち着きを取り戻せたらしい。強子の予想した通り、『毒舌』の効果を防ぐことができたようだ。
彼から耳栓を返してもらうと、マスク男が見張っていた扉の向こうの状況を確認するため、強子は聴覚を強化した。


「おい!ガキがまた逃げたぞ!」

「早く捕まえろっ!逃げられないよう足も縛っとけ!」



向こうから聞こえてきた声に、ハッと目蓋を押し上げた。


「先輩!今すぐ乗り込みましょう!」

「あ・・・っ」


こんなところで時間を無駄にしてられない。
何か言いたそうにしている天喰には目もくれず、すでに強子は扉を蹴破る勢いで、扉の向こうへと飛び出していた。
扉を開けた先は、倉庫のようなひらけた場所だった。外光が遮られて暗く、荒廃してさびれた倉庫――その奥まった場所に、怪しい風貌の男たちがたむろしている。
その男たちから逃げるように走っているのは、まさに、強子が捜していた人物だ。


「っ!ヒーローのお姉ちゃん!!」


ようやく、攫われたツインテールの少女の姿を確認できた。
手を縛られているようだが、見たところ怪我はしていないようで一先ず安心する。


「救けてっ!!」


強子に救けをもとめる、涙で濡れそぼった顔を見て、強子は表情を険しくさせた。
なんとしても、強子がこの少女を守らねば。そして、決して奴らの所業を許すものか。


「待てや、このガキ!」


少女の後ろから、一人の男が追ってきた。
そいつがマスク男の言っていた“キック力を誇る2人”のうちの1人なのだろう。まるで競技用の義足のように、足がバネのような形状をした男は、ピョンピョンと跳躍しながら、あっという間に少女へと距離をつめていく。
しかし、それを上回るスピードで強子が少女のもとへ駆け寄ると、バネ男と少女の間に割り込んだ。そして少女の手を拘束していた縄を引きちぎり、彼女と視線を合わせて、安心させるように笑顔を見せる。


「もう 大丈夫!」


俊敏な動きで突如として現れた強子に目を見張りつつ、バネ男は勢いをそのままに、自分に背を向けている強子に向かって跳躍する。
男の手が強子の身体に届く直前―――強子が身を縮めたかと思うと、素早くキュンと、彼女が回った。


「っぐ!!?」


男の腹部に激痛が走る。
後ろ回し蹴り――その回転力をのせた強子の蹴りが、バネ男の腹部に入ったのだ。
ドサリと男の体が横たわると、残っていた3人の男たちの間に沈黙が走る。
彼らを見ながら、強子はすうと息を吸いこみ、声を張り上げた。


「ポイズンキッキング、あなた達を捕えに来た!痛い目にあいたくなければ大人しく投降しなさい!」


ファットガムから、相手の戦意をいかに早く喪失させるかが、対ヴィラン戦においては重要なのだと教わっている。
だからこそ強い口調で宣言したものの、男たちは顔を見合わせ、ニタリと卑しく笑う。


「ヒーロー様のお出ましだとよ!見張りは突破されちまったわけか」

「見たところ、パワー系の個性だろう・・・コイツも高く売れそうだな」


投降する気などさらさら無いようで、彼らはガスマスクを取り出すと、自身の顔に装着した。おそらくは“毒にまつわる個性”の防衛策だろう。強子に歯向かってくる気、満々のようだ。
その反応に「やっぱりこうなるか・・・」と強子はため息をついた。物分かりの悪い奴らには、言葉ではなく、力の差を直に叩き込まないと駄目らしい。
強子は男たちに向かって勢いよく駆け出して、いっきに距離をつめる。
ガスマスクなんか無くたって、呼吸する間もなく奴らをぶん殴れば、こっちの勝ちだ。
しかし―――ボフッという鈍い音とともに、強子の体に衝撃が走り、後方へと吹き飛ばされた。


「(なにっ!?)」


顔面も同様に衝撃を受けており、両目が痛む。そのせいで目を開けられず、飛ばされた強子は受け身を取れそうにない。
仕方なく身を固めて衝撃に備えるが・・・地面へぶつかる痛みではなく、誰かに抱きとめられた感覚に、強子はさらに身を固めた。
強子を抱きとめたのは、言わずもがな、天喰だろう。影が薄くてつい忘れがちなのだが、彼も一緒に行動していたのだから。
・・・嫌いな人間を抱きとめるなんてイヤだろうに。フォローさせてしまってスイマセンねと、心の中で天喰に詫びを入れる。


「空気砲、か・・・」


天喰の呟きに、強子も理解する。先ほど受けた衝撃は、確かに、勢いよく放出された“空気の塊”であった。
空気砲を食らい、しぱしぱする目をようやく開くと、男の一人が足を上げて、その足底をこちらに向けているのが見えた。筒状になっている足底をこちらに向けたまま、男が蹴りだすような動きをすると、再びボフッという音が響き、筒から空気砲が発射された。
―――成る程、“キック力を誇る2人”の残る1人はこいつか。そのキック力で空気砲を撃ち出しているのだろう。
空気砲からかばうよう、強子が少女を抱えこむと・・・その強子をさらにかばうよう、天喰が前に立ちふさがった。
そして彼は、その手に大きなアサリの貝殻を『再現』させると、発射された空気をアサリで防ぎ、分散させた。


「・・・!」


その迅速かつ鮮やかな手腕に、思わず強子は目を見張って天喰を見つめる。
彼の個性は『再現』。食べた生物の特徴を自分の身体に生やし、再現するのである。
彼が個性を使うところを初めて見たが―――強い個性な上に、技量も凄い。
くそぅ、メンタルはヘボいくせに・・・やるじゃないか。


「ほぉ、地味野郎も結構やるじゃねーの」

「うっ・・・地味野郎・・・」


しかし、ヴィランの言葉に天喰がいちいちへこむのは、相手の個性が『毒舌』でなくても変わらないらしい。


「だが、次の攻撃も耐えられるか!?」

「っ何度やっても、同じことだ・・・!」


再びボフッと空気砲を発射した男に対して、先ほどと同じように、天喰は手に纏わせたアサリで散らした。
しかし、先ほどと“同じ”結果にはならなかった。


「!?」


天喰が手で口元を押さえたかと思うと、ガクリと、膝をついた。
その顔は青ざめていて、苦しそうに歪められている。


「先輩!?」


焦ったように強子が声を張り上げる。
今度はいったいどうしたんだと困惑していると、またボフッと音が響いて、再び衝撃が強子を襲う。
そして強子も、天喰の異変の理由を知ることになる。


「うっ・・・!」


鼻から息を吸った途端、気道から肺にかけて、燃えているかのように熱を孕んだ。目や鼻、口という粘膜という粘膜が、ヒリヒリと焼けるように痛む。
身体が拒絶反応を起こすように、吐き気を催す。頭がくらくらする。指先から痙攣していく。まさか、この症状は―――


「どうだ、有毒ガスを吸った気分は」


やはり“毒にまつわる個性”だったか・・・最悪だ。
毒ガスによる生理反応で涙が滲む中、毒ガスを発しただろう犯人を睨む。そいつは臀部が風船のように膨らんだ体型をしており、こちらに尻を向けていた。


「俺の個性は『毒ガス生成』・・・俺の“屁”は、化学兵器にも劣らない猛毒だぜ!」

「(最悪だっ・・・!!)」


つまりは、強子たちはガス男の屁を吸い込んでいるということである。それを聞いて、余計に気分が悪くなった気がした。


「俺の『空気砲』は物理的なダメージこそ弱いが、こいつの毒ガスと合わせれば、怖いもんなしってわけさ!」

「さて、毒ガスの致死量は、体の小さいガキほど少量で済むんだが・・・」


ガス男がニヤニヤと笑んでいる。
その言葉にハッとして少女を見れば、彼女は苦悶の表情で涙を流し、鼻血も流しながらゴホゴホと噎せている。


「俺らもさぁ、お前たちの命までとるつもりはないんだよ・・・どうする?大人しく投降すべきなのは、お前らの方なんじゃないか?」


相手に向けて屁をこくとか、やってることは小学生レベルだけど・・・事態は極めて深刻だ。
このままでは、少女の体が毒に侵されてしまう。死の危険が、すぐそこまで迫ってきている。一刻も早く、体の小さい彼女をここから逃がさなくては。
強子はコスチュームのマントで口元を覆いながら、敵に悟られないよう小声で天喰に問う。


「・・・先輩、まだ動けますか?」


顔色は良くないが、彼が小さく頷いたのを確認する。


「では、先輩がこの子を連れて逃げてください。ヴィランは私が足止めします」

「「!?」」


天喰と少女、双方が信じられないものを見るような目で強子を見た。
どちらか一方がヴィランを食い止めつつ、もう一方は急いで少女を逃がす―――きっとこれが、今できる最善策だ。
けれど、毒ガスを吸い込んだ強子は体がふらついて、幼い子を連れてまともに走れる気がしない。強子よりまだ天喰の方が体格が良いので、毒ガスの影響は少ないだろうし、避難誘導は彼に任せた方がいいだろう。


「それじゃ「イヤやっ!」・・・!?」


少女がひしっと強子の腰に抱きつくと、泣き顔をぐりぐりとこすりつけながらイヤイヤと首を振っている。


「そのお兄ちゃんとは行かへん!お姉ちゃんと一緒じゃなきゃイヤやぁ!」

「「え、」」


その予想外の反応に、強子も天喰も、青い顔で固まった。
―――少女のその反応は、おそらく、先日の彼女とのやり取りに起因するものだ。
少女に対して「自分は強い」のだと、強子は言った。
そして、「自分はすごくない」のだと、天喰は言った。
その情報しかない少女からすると・・・この状況で、頼みの綱が強子だけとなるのも当然である。


「(日頃からヒーローらしく振る舞わないから、こうなるんだよっ!)」


大事な局面だというのに思わぬところで足を引っ張られ、天喰を見る強子の顔が苛立ちに歪んだ。


「なんだ、まだ逆らう気か・・・諦めの悪い奴らだな!」


笑いながら発せられたヴィランの声とともに、ボフッと空気砲が放たれた音が響く。咄嗟に天喰が反応して、アサリの貝殻で空気砲の衝撃を分散した。
しかし・・・毒ガスはどうするんだと焦っていると、彼は背に大きな鳥の翼を纏い、バサリと扇いで、毒ガスを吹き飛ばした。毒ガスが溜まり、澱んでいた空気が、霧散していく。
その様子に強子は再び目を見張った。
汎用性に富んだ個性の上に、技量もすごいとか。くそぅ、メンタルはヘボいくせに・・・やるじゃないか。
この人なら、この崖っぷちの戦況も、覆すことができるのではないか?
しかし、敵も同じように考えたのだろう―――これまで口数少なく、他のヴィランの後方に佇んでいた男がついに動きを見せた。


「・・・その男から潰す必要があるな」

「「!?」」


しゃがれた声でそう呟くと同時、男が身にまとっていたマントの下から、目にもとまらぬスピードで“何か”が飛び出してきた。
無色透明で糸状のそれが天喰に向かって伸び、彼の顔を殴打すれば、彼の身体が横なぎに飛ばされた。
無色透明の糸―――否、うねうねと自在に動くそれは、生き物のようだった。直径1〜2センチほどの、いわゆる触手というやつだろう。その特徴で、“毒にまつわる個性”とくれば・・・


「こいつの個性・・・『毒クラゲ』か!」


強子が苦々しげに呟けば、クラゲ男が余裕ぶった笑みを浮かべて強子を見た。どうやら正解らしい。
その時、再びボフッと音がして、ハッとする。強子が警戒すべきはクラゲ男だけではない。倉庫内に毒ガスが充満していくこの状況は、かなりまずい。
強子は咄嗟にコスチュームのマントを引きちぎると、少女の首周りに巻き付けた。大きなマフラーのように巻かれた布は、少女の口元をすっぽりと覆う。
これで多少は、吸い込む毒ガスの量を抑えられるだろう。

ちらりと天喰の様子を窺えば、彼は、苦しそうに呻きながら地面に倒れたままだ。『毒クラゲ』の毒による影響だろうか・・・。
天喰に少女の避難誘導はできない(というか嫌がられた)し、毒を食らっているらしい天喰にヴィランを食い止めろというのも、無理な話だ。
となると、取れる選択肢は―――


「・・・ひとりで逃げて」


少女の小さな肩を掴みながら言い聞かせれば、彼女はその目を真ん丸に見開いた。
そして口を開いた彼女が、否定的な言葉を出すだろうこともわかってる。それでも、こうするしかない。強子は彼女に話す隙も与えないよう、言い聞かせる。


「君の足なら、逃げ切れる!大丈ー夫!アイツらを負かしたら私たちもすぐ追いかけるから!」


こうしてる間にも、ボフッ、ボフッと空気砲の音が聞こえる。
なるべく空気を吸わないよう意識するが、眼はジリジリと灼けるように痛み、鼻も、喋るたびに開く口内も、切りつけられるように痛んだ。
こめかみをツゥと汗が伝うのを感じながら、それでも、強子は少女にニカッと笑みを向けた。


「君がいると暴れにくいからさ、先に行ってくれた方が助かるの!」

「けどっ・・・」

「インゲニウムみたいな 誰かを守れるヒーローになりたいんでしょ?」

「!」

「私たちを助けると思って―――できるよね?」


そう問えば、覚悟を決めたらしい。少女の顔から迷いの色が消えていく。
彼女は凛々しい表情で一つ頷くと、次の瞬間にはバヒュンッと効果音が付きそうなスピードで駆け出し、強子が蹴破った扉から飛び出ていった。
予想していた以上の素早さだ。これなら少女がヴィランに追いつかれる心配は無さそうで、安堵する。
いつか彼女がヒーロー免許をとったなら、インゲニウムの事務所に入れるよう強子が取りもってあげようと、そっと心に誓った。


「おいおい、大事な商品をよくも逃がしてくれたな」

「・・・だが、この女は、あの子供よりも価値があるかもしれない」


クラゲ男が呟いた。


「お前、雄英生だな?確か、オールマイトに目をかけられてるとかいう―――これは、高く売れそうだ」


そう言った瞬間に、クラゲ男は一本の触手を強子に向けて飛ばしてきた。
素早くて、グネグネと不規則で読めない動きとはいえ、いつもなら、この程度の攻撃は容易くかわせるのだけど―――毒ガスの影響で強子の視界は霞み、なすすべなく、触手は強子の首もとに巻き付いた。
チクリ、首に鋭い痛みを走る。
慌てて首に巻き付いていた触手を引きはがすが・・・もう遅かったようだ。
全身にビリビリと痺れる感覚が拡がり、身体が麻痺してコントロールできなくなる。立っていることもままならず、強子は地面へと倒れこんだ。


「くっ・・・」


身体を動かそうとする度、身体が張り裂けそうなほどの激痛が走る。
痛みに耐えて動いても、思うように動けないし・・・ヴィランどもをぶん殴れるパワーなんて無い。

残す敵は、あと三人。
毒ガスを生成する奴と、それを空気砲で飛ばしてくる奴。それから猛毒の触手を素早く自在に動かす奴。

―――・・・勝てない。

絶望的な状況を見て、こいつらには勝てないと、確信する。
クラゲの毒のせいで、力を振るえない。個性を使わせてもらえないまま、負ける。
そうでなくても、空気砲によってヴィランに近づけない強子には、手も足も出せない。

他力本願になってしまうが・・・ファットガムがこちらに駆けつけるのはいつになるだろうかと考えてしまう。
しかしそれは、人攫い集団に強子が連れ去られるよりも早いだろうか?
そもそも、ファットガムが来たら、この戦況はひっくり返せるものだろうか?
このまま戦況が変わらなければ、強子はどうなってしまうんだろう?


「・・・く、そっ・・・ぉ!」


強子の人生が、惨めに幕を閉じる未来を見据えて、悔しさから涙が滲む。
ヴィランに勝てなくて、何がヒーローか。たとえ女の子を救けたって、強子自身が負けてしまってはヒーロー失格だろう。
強子も、天喰も、こんなところで無様に転がって・・・なんて情けない!
ふつふつと沸いてきた怒りを抱えながら―――強子と同じように毒で動けず、隣で転がっている天喰を睨みつけた。


「・・・ビッグ3、なんでしょ・・・!?」


何やってんだよ。
雄英のトップがこんなモブ敵に良いようにされるなんて、そんなの、有り得ないだろ。あってはならないことだ。


「だったら・・・少しはカッコイイとこ、見せてよ・・・ッ」


二人で足りないところを補いあってチームアップしろと、ファットガムはそう言ったけれど・・・二人で行動している間、天喰の力が必要となるようなシーンがあったろうか。
否、天喰が活躍する場面なんて一つもなかった。天喰を頼る機会なんて一度もなかった。
というか―――逆に、天喰に足を引っ張られてばかりだったじゃないか!
毒舌には完全に屈服していたし、少女の避難誘導さえも満足にできない。ヴィランどもの数を三人にまで減らしたのも、強子の手柄だ。
こんなの、納得できるはずがない。
雄英のトップなら、この程度のピンチはさくっと乗り越えてみせてくれよ。強子よりもカッコよく活躍してみせてくれよ。
強子の知るビッグ3は、こんなもんじゃない!


「ビッグ3なら・・・ヴィラン たったの三人くらい・・・一人で完封してみせてよッ!!」


これは、単なる八つ当たりだ。
ヴィランに完封されている、情けない自分への怒り――その怒りの矛先を天喰に向けるのはお門違いだろう。それでも、冷静さを欠いた強子が叫ぶように告げれば、天喰が重々しく口を開いた。


「・・・あいつらを、完封すれば・・・君は 怒らないのか・・・?」


生死にかかわる状況で“怒らないのか?”なんて・・・何とぼけた事を言ってるんだ、この人は。
そう疑問を抱きながらも強子は、ただ、シンプルに、彼の問いにそのまま言葉を返した。


「―――完封しなきゃ、怒るッ!!」


それを耳にした瞬間、天喰はキッと目つきを鋭くした。
毒による麻痺と痛みでうまく動かせないはずの体をずるずると這わせ、強子のもとまで来たかと思うと―――彼は強子の顎を掴み、グイッと強子の顔の向きを変えて、そっぽを向かせた。


「!?」


天喰のいない方向を強制的に振り向かされた強子が、横目でどうにか彼の姿をとらえると―――天喰が、無防備にさらされた強子の白い首すじに、かぷりと噛みついた。


「っ!?」


く、喰われる・・・!?
ぎょっと目を見張って、身体をこわばらせた強子。
そういえば彼の尖った耳はヴァンパイアっぽいし、このまま生き血をすすられるのだろうかと猜疑していると、今度は強子の首すじに、生温かい ざらりとした感触が走った。


「(ヒェッ!!?)」


ぬるりと首すじを舐められる感触に続いて、じゅる、と吸いつかれる感覚が強子を襲う―――あまりに予想外の出来事が続いて、強子の頭は真っ白だ。

固まったまま微動だに出来ずにいる強子から、天喰の口がそっと離れていく。
ムクリと起き上がった彼は、鋭い眼差しでヴィランたちを見据えた。
彼の表情に、先ほどまでの具合の悪さは全く見受けられない。彼の身体はスムーズに動き、痙攣もなさそうだ。
毒の影響がなくなったようなその様子を訝しんだクラゲ男が、天喰に向けて再び毒の触手を伸ばし―――


「っもう、遅い・・・!」

「「「!?」」」


彼の指先から、何本かの透明な触手――それも、クラゲ男のよりも何十倍も太い、直径数十センチにもわたる触手が・・・凄まじい勢いで飛び出した。
ガス男も、空気砲男も、触手を伸ばしかけていたクラゲ男さえも―――天喰が放った触手に一斉に巻き付かれ、身動きを封じられる。そして彼らは声を発する間もなく、触手に巻かれたまま、倉庫の壁に体を打ち付けられた。
その衝撃で腐敗していた壁が壊れ、ガシャガシャと耳ざわりな騒音があたりに響きわたる。そうしてぽっかりと穴が開いた壁の向こうから、屋外から眩い光が差し込んでいた。同時に、倉庫内の澱んだ空気が換気され、呼吸が楽になる。
ヴィランたちはといえば―――天喰の触手に解放されると、どさりと地面に転がった。どうやら、壁に打ち付けられた拍子に気を失ったらしい。

一瞬だった。
天喰が起き上がってから、ヴィランたちを完封するまで、ほんの僅かな時間。まさに、瞬殺であった。


「・・・・・・ど、」


眼をひん剥き、あんぐりと口を開けていた強子が思わず言葉をもらすと、極太の触手をしゅるしゅると戻している天喰が不思議そうに見やった。その、何食わぬ顔をしている彼に、強子はごくりと唾をのむ。


「(どちゃクソ 強えぇぇぇ!!)」


彼の強さを目の当たりにして、強子の背中を汗が伝っていく。
天喰が『再現』した触手は、見たところ、クラゲ男の触手に酷似していた。太さも素早さも天喰の方が勝っていたけど。
おそらく天喰は、クラゲ男の体組織を食べて『再現』したのだろう。しかし、いったい、いつの間に食べたんだ・・・?

そこまで考えて、ピンとひらめいた。
クラゲの毒針は、肌に刺さると、肌にくっついたまま離れないと聞いたことがある。
先ほど、クラゲ男の触手が強子の首に巻き付いたとき、触手を引きはがしたつもりだったが・・・きっと、毒針が強子の首に刺さったままだったのだろう。
そして―――その毒針を食べたのだ、この男は。
並みの神経じゃない。普通の感覚なら、毒針なんて触れたくもないのに・・・それを口にいれ、飲み込んだだと?それも、嫌いな人間の首すじに吸い付いてまで?

だがまあ、彼の触手攻撃は、空気砲で近づけない距離にいるヴィランにも有効だった。彼の発想の勝利といえるだろう。
ヴィラン三人をちゃっちゃと完封し、倉庫内に充満する毒ガス問題もあっさりと解決。
個性の技量もさることながら、戦略考案にも秀でているとは・・・。
二人で足りないところを補いあってチームアップしろと、ファットガムはそう言ったけれど・・・強子がサポートするまでもなく、天喰ひとりで充分に勝てただろう。


「(・・・って、ちょっと待てよ?)」


天喰の個性なら、中遠距離も対応できるのだ。
クラゲの毒を食らう前に・・・
というより、毒ガスを食らう前に・・・
というよりも、この倉庫に入って早々に・・・タコの触手とかでヴィランを攻撃すれば勝てたんじゃないか?最初から天喰が個性を使っていれば、こんな苦戦せず、圧勝できたんじゃないのか?
―――強子が早まって、勝手に飛び出したりしなければ。
自分の行動を思い出し、さぁっと血の気がひいていく。
もの言いたげな天喰が口を開きかけると、瞬時に強子は、


「ナマ(生意気)言って スンマセンっしたぁ!!」


ガバッとひれ伏すように頭を下げ、渾身の謝罪をした。
地面をじっと見つめながら、強子はダラダラと冷や汗をかいている。
目の前の男は、ヒエラルキーでいえば、強子の何階層も上位だとわかる。戦うまでもなく、この人には“勝てない”とわかる。
ビッグ3は、伊達じゃなかった。強子が歯向かっていい相手じゃなかった。


「・・・お!?なんや、ちょっと見てへん間に おもろい上下関係になっとるやん」


ファットガムの声に、伏せていた頭を勢いよく上げた。その貫禄あふれる姿に、ほっと安堵する。
気がつけば、強子の体を蝕んでいた毒が抜けてきたようで、体調も回復しつつある。思ったより、奴らの毒は大したことなかったみたいだ。
ファットガムは、倉庫内を見渡して状況を把握すると、ニコリと笑みを浮かべて強子たちを見やる。


「ヴィラン制圧!!ようやったで、二人とも!女の子も無事 警察に保護してもろたし・・・文句なしのチームアップやな!さすがはファットガム事務所のサイドキックや!」


違うんです、ファットさん。
嬉しいお言葉を貰えたというのに、素直に喜べず強子は俯いた。
だって、二人で足りないところを補いあってチームアップしろと言われたのに・・・強子は天喰の不足を補うどころか、彼の足を引っ張っていたのだ。
天喰は毒舌男に苦戦していたようだが、彼ほどの圧倒的な実力があれば、なんだかんだ言っても、ピンチを覆して勝てたんじゃないかとさえ思う。


「・・・ファット、そうじゃない・・・」


否定の言葉を述べる天喰にギクリとするが、


「ヴィランを制圧したのも、女の子を逃がしたのも・・・身能さんだ」


彼の口から出た言葉は予想していなかったもので、強子は俯けていた顔を上げ、目をパチクリとさせて天喰を見た。


「彼女が頑張ってくれたおかげだ・・・俺は、彼女の足を引っ張ってばかりだった・・・」


彼が言い終わるよりも早く、慌てて口を挟んだ。


「それは、ちがう!!ヴィランに勝てたのは先輩のおかげです!私があとさき考えずに突っ走らなければ、もっと早く解決できたのに!圧勝できたはずのに・・・!」


強子が威勢よく声を張り上げると肩をこわばらせた天喰。その様子に、ハッとして強子は慌てて口を噤んだ。
こういう反抗的な態度ばかりだから、天喰に嫌われてしまうのだろうと反省し、手の甲で口元を押さえた。


「・・・せやから、文句なしのチームアップなんや」

「「?」」


突拍子もなく嬉しそうにこぼしたファットガムに、強子も天喰も視線をうつす。


「ジブンら、二人で行動してみて、自分の“足らんとこ”に気づけたやろ?同時に、同じくらい・・・相手の“スゴイとこ”にも気づけたんとちゃう?」


その言葉を聞いて、二人して同時に、複雑そうに顔を歪めた。まあ、思い当たることは大いにある。


「環にはいつも言うてるけどな・・・その自信のなさ、どうにかせぇ!」

「うぅ・・・」

「身能さん見て、わかったやろ?自信に満ちた、堂々とした態度・・・それが多少 見栄を張った姿だとしても、街のみんなには“安心”を与えられんねん。守る側と、守られる側・・・その信頼カンケイを築けるんや!」


彼の言うように―――守られる側の少女は、信頼していた強子の指示には従ってくれたが、信頼の欠けていた天喰には付いていこうとしなかった。
ヒーローも、被害者も、お互い人間だから・・・常日頃から信頼関係を築いておくことが大事なんだ。


「けどな、」

「?」


ファットガムが強子に笑顔を向けた。


「環の“自信のなさ”は、裏を返せば、自分の弱さを知っとるっちゅうことでもある」

「自分の、弱さ・・・?」

「“自分は弱い”ちゅうのが前提にあるからこそ・・・どんなに絶望的に劣勢であっても、めげずに、勝利への執着を捨てず、勝ち筋を模索して、勝機をつかむまで粘る――そういう強さがある!せやから、常識や固定概念なんてモンも超えるような戦い方さえ出来んねや」


先の戦いが、まさにそうだった。
毒ガスの空気砲を食らっても、めげずに、アサリと鳥の翼で対抗してみせた。
クラゲの毒針を食らっても、めげずに、毒針を食らうことで毒の耐性を獲得し、その触手でヴィランどもを一網打尽にしてみせた。
自ら毒針を食らうなんて・・・常識も固定概念も、超越している。


「反対に身能さんは、劣勢になると、焦りからか感情的になるやろ?視界も狭なって判断力が鈍るしな・・・たぶん、“自分は強い”ちゅう自信があるからこそ、思い通りやない展開には我慢ならんのやろうけど・・・」

「うぅ・・・」


覚えのある指摘に、心臓が縮み上がる。
同じようなことを、八百万からも言われたことがあった。強さゆえの慢心から、判断力を欠いて問題を起こすのだと。
先の戦いも、まさにそうだった。
強子ならどうにか出来ると思い上がり、先輩の言う事を聞かずに倉庫内に突入したけれど・・・倉庫内に突入したのが天喰なら、誰ひとり毒に侵されることなく、圧勝していただろうに。
強子が判断を誤ったせいだ。
結局、強子はカッコつけてばかりで、ヒーローとして実質が伴っていない。


「慢心はアカンけど、自信をもつのは悪いことやない・・・身能さんの決断力も、判断や切り替えの早さも、自分に自信があるからや!それは環にはない 強みやで?」


強子を気遣ってフォローしてくれるファットガム。
でも、強子のその判断が間違っていたのだから、フォローしきれてないのだけど。


「身能さんのド根性は、俺から見てもエライもんやと感心してんねん!せやけど、根性論だけじゃどうにもならんこともある。冷静に、客観的にみたジブンの力量をふまえて、状況を見極めんとアカン。感情だけで動くんやない・・・一度踏みとどまって、考えてから前に進むことが必要なんや!」


勝ちたいと思うだけでは、勝てない。救けたいという思いだけでは、救けられない。
当たり前のことなのに、言われてみてようやく気がついた。
強子はこれまで、目標に向かってガムシャラに頑張っていたようで―――その実、自分の弱さや足りない部分からは目を背けていたかもしれない。気合いでどうにかできるだろうと、どこか楽観的に考えていた。天喰のようには、自分の弱さと真剣に向き合えていなかったかもしれない。


「二人とも極端に、対極的やんなぁ。環と身能さん、二人足して割ったらちょうどええんちゃう?ジブンの足らんとこが相手の強みで、相手の足らんとこがジブンの強みなんて・・・ホンマ、理想のチームアップや。こないな最高のサイドキック、そうそうおらんで!?」


そうなのだろうか。彼の言葉に、若干の疑問を抱く。
これだけ実力のある天喰なら、誰とチームアップしたって勝てそうだけど。


「体育祭を見とった時から、身能さんがウチ来たら・・・身能さんも環も――二人とも、互いに刺激しあって成長に繋がるやろうと期待してたんや。身能さんを指名したんは、そういう意図もあったんやで」

「えっ!」


そうなの!?
目がこぼれそうになるほど見開く。
そこまで強子の成長を考えてくれていたことにも、同時に 天喰のさらなる成長まで考えていたことにも、心底驚いた。
どちらかの成長のため、どちらかを踏み台にするようなこともしていない。
ファットガムというヒーローは、強子の思っていた以上に凄い指導者だった。


「二人とも、ほんの少しでも相手のエエとこ盗んで ジブンのもんにできたら上出来―――そう思うとったけど・・・結果は、期待以上やったで!!やっぱ、身能さんにウチ来てもろて良かった!!」

「!」


職場体験、最終日。
彼の口から、これ以上ないほどの嬉しい言葉を聞いた。
彼自身は、何てことないように漏らした一言だったようだが、強子は彼の言葉をしっかりと記憶する。


「いやぁ、しっかし・・・でこぼこコンビの距離は なかなか縮まらんし、ヒヤヒヤしたわ・・・」

「(でこぼこ、コンビ・・・?)」

「二人とも やーっと仲良うなれたみたいで、ファットさん 安心したでぇ!!ホンマ、良かったわぁ」

「(これは・・・仲よくなれた、のか・・・?)」


そう言うなり、ファットガムは放置していたヴィランを回収しに行ってしまい、天喰と二人がその場に残された。
天喰の様子を覗き見ると―――彼はいつもと変わらず、猫背気味で、うつむき加減だ。けれどその表情は、今まで強子が見てきた彼とは少し違っていた。
いつも、どこか警戒したような硬い表情をしていて、眉や目を吊り上げることが多かった天喰だが―――今は、その眉尻が下がっていて、瞳も柔らかい印象を受ける。そして、彼の口元はゆるゆると緩み、僅かながら、その口角は上がっているようだ。頬も、いつもより血色が良さそうな色をしている。


「(な、何、その顔っ!?)」


弱りきったような情けない顔をして。そのくせ、抑えきれずに零れたような笑みを浮かべて。
これまでに見たことのない――母性をくすぐってくる彼の顔を見て、強子は言葉を失った。


「・・・今回チームを組んでみて、身能さんに対する見方が、変わった」


とつとつと話し始めた天喰は、やはり、警戒を解いたような安心しきった表情をしている。
えっと、つまり、それは・・・


「私のこと、嫌いじゃなくなったって、ことですか?」


ズイと、前のめりになって問う。
いや、べつに、「嫌いだ」と言われたことを根に持ってるわけではないのだけど。ちょっと思い出したから、一応聞いてみただけだけど。


「?・・・俺は、身能さんを嫌ったことなんて、ないけど・・・」

「え!?」


怪訝そうに眉を寄せた天喰に強子は首を傾げた。


「でも・・・“やっぱり嫌いだ”って、確かに、言ってたはず・・・」


轟や飯田と電話で話した後、強子が天喰に対して、生意気にも言いたいことを言いまくった後のことだ。確かに、彼の口から、その言葉が出たのを覚えている。


「・・・・・・ああ、あれは、」


思い出したらしい天喰が口を開いた。


「あのとき、俺が嫌いと言ったのは、身能さんのことじゃない・・・“怒られること”が嫌いって意味で、言ったんだ・・・」

「・・・は?」


ポカンと呆ける強子に、天喰は気恥ずかしそうに指先をもじもじとさせている。


「・・・昔から、そうなんだ。怒られたり、強い口調でこられると、心臓が、潰れそうになる・・・つらい・・・!だから、嫌いなんだ・・・」

「は、はあ・・・?」


これが、ノミの心臓というやつか。
まあ、怒られると誰だってイヤな気分になるけど、天喰の場合、人の何倍もそういう気分を感じるのかもしれないな。


「・・・先輩のこと、よく知りもしないで・・・頭ごなしに怒ってしまって、すいませんでした。今は、先輩の凄いところをたくさん知って、私が間違ってたって気づきました。だから、この前の言葉は訂正させてください」


この前まで、彼の“自信のなさ”が理解できずイラついていたけど・・・今はその“自信のなさ”に、彼の長所を見い出せる。それは、強子にはない強さだった。
理解できなかった時は、彼とウマが合わないと思っていたけれど・・・今なら、彼と仲良くできるんじゃないかと、期待している。


「・・・俺の態度のせいで、君に不快な思いをさせたのは確かだ。それに、俺の方こそ、身能さんのことを全然わかってなかった」


そう言った天喰は、指をもじもじさせるのを止め、ぎゅっと拳を握った。


「・・・たまに顔や口調がキツくなる身能さんは怖いし、身能さんに怒られるのは、かつてないほど恐ろしかったけど・・・でも、」


そしてまた、ふっと表情を緩めて笑う天喰に、強子はただただ見入った。


「チームを組んで、わかった・・・君がどういう人なのか。身能さんという人は―――」


そこまで聞いて、ハッと思い出す。
天喰は、一部の尊敬する人に対しては、“太陽”のような人だと表現していたはずだ。
だとすれば、このあとに続く彼の言葉は・・・


「身能さんという人は―――本当は“いい人”なんだ、って」


強子は“太陽”じゃ、ないんかいっ・・・!
しかも“いい人”って、表現が曖昧だし。本当はっていうか、普通にいい人なのだけど。
流れ的に、“太陽”だと認めてくれたって、良いじゃない!ファットガムに、最高のサイドキックとまで言わせしめたんだしさぁ!
強子は肩を落としながら、思わずムッとして唇を尖らせた。


「(やっぱり、私と先輩は・・・ウマが合わないっ)」


相変わらず へにゃりとした緩い笑顔を見せている天喰に、おもむろに両手を伸ばすと・・・彼の両頬を、ムニッとつまんで引っ張った。


「!?」


目をカッと開いたかと思うと、驚いたからか、まるで野生動物のように体を固めて警戒する天喰。
その面白い反応に、もっとこの人をイジりたいという嗜虐心がムクムクと芽生えるが、今はそれを抑え込んで。
彼の両頬をつまんだまま引いて、俯いていた彼の顔を、強制的に強子の方へ振り向かせた。


「・・・そういうのは、ちゃんと相手の目を見て話すんですよ、センパイ」


そう言い聞かせると、ようやく・・・強子と天喰の視線が交わった。
彼の方が身長は高いはずなのに、彼が猫背なせいで、二人の顔はとても近い。その近い距離で、互いにじっと見つめ合う。
二人の視線が1秒以上合わさったのは、これが初めてのことだった。
なんだ、やれば出来るじゃないか。いや・・・今回の件があって、互いを認め合ったからこそ、出来るようになったのか。
そう思うと嬉しくて、ついつい強子の顔もへにゃりと緩んでいた。


「職場体験―――私、ファットガム事務所に来て、本当に良かった!」


個性の使い方の、幅が広がった。
戦闘時の身体の使い方も、学んだ。
実戦の中で、自分に足りない部分を気づかせてもらえた。
それから―――


「こうして、先輩と一緒に学ぶことが出来て最高ですっ!」


対極的な二人だからこそ、互いに刺激しあって、一緒に成長できる――そんな最高のサイドキックと巡り会えた。
うん、“でこぼこコンビ”なんてイロモノ扱いも・・・天喰となら、悪くない。


「これからも、仲良くしてくださいね・・・環センパイ!!」


この職場体験で得たものすべてが、生涯を通して、強子の宝物になるのだろう。
つまんでいた頬を放しても目を逸らすことなく、視線をあわせたまま頷く天喰を見て、強子はそう確信した。










==========

長かった・・・!職場体験編、お疲れ様です!
天喰パイセンを手懐けるための、壮大なお話でした(違)
原作にて、初めはそんなカッコイイとこ無いなぁって思いながらも、読んでいくうちにどんどん天喰くんを好きになる感じ・・・あれを再現したかった。
最初はちょっと情けない、頼りない彼ですけど・・・最終的に、この人カッケー!って少しでも思っていただけてたら幸いです。

次話は・・・天喰視点になりそうな予感。


敵さんがわかりづらかった人向けの解説↓

一人目:マスク男。個性『毒舌』。夢主に右ストレート食らって、倉庫の前の廊下で気絶してます。
二人目:バネ男。個性は『跳躍』かな。夢主に後ろ回し蹴りされて早々に気絶した人。
三人目:『空気砲』の人。天喰の触手の毒で痺れながら、倉庫の壁に打ち付けられて気絶。
四人目:ガス男。個性『毒ガス生成』のオナラの人。同じく天喰の触手の餌食。
五人目:クラゲ男。個性『毒クラゲ』。ポイズンキッキングのボス的な人。天喰の触手に締め上げられ、壁に打ち付けられて気絶。毒は耐性あるから効かないけど、物理的に負けた感じ。

『跳躍』や『空気砲+毒ガス』で、子供を逃がさず捕える。
『毒舌』で、捕えた子供の抵抗をなくす(大人より子供の方が個性の効き目が高い)。
警察やヒーローには、毒性高めの『毒クラゲ』の触手で襲う。
そんな手口で、優良個性の子供達をさらっては、売りさばいていたグループです。


・・・誰が買うかって?
いるんですよ、世の中には。良い個性の人間を欲しがるやつが・・・。


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