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じゃあ今日は早めに寝ようかな

とか思ってベッドに潜り込むがネサフをしてるからなのか、なかなか瞼がおりてこない。
攻略サイトを転々と眺めてると、ふと裏掲示板のことを思い出す。なんて調べたら出てくるか知らないけど、普通にゲーム名スペース掲示板とかで見つかるだろうか。

勝手に指がそう打ち込んでいて、検索をかける。


「……なんだ、あんま言われてない」


あっさり見つけてしまった裏掲示板には、確かにゆゆがありすから真宙に乗り換えたとか書かれていて。それに便乗するようにゆゆって寄生だとか云々、それでも2、3個しか書かれていなかった。思ってたよりは、軽くて安堵する。

いやだな。とは思わない…訳じゃない。
他人の評価は痛いほど刺さる。たった2、3言。何人かがそう思ってるのか、1人が別人を装って何度か打ったのか。どちらにしろ地面よりすこし下を這いずり回るモヤが、行き場をなくして溜まっていく。みんなはこういうの平気なのかな、いうのも言われるのもモヤが生まれていく。

でも小さいモヤばかりだからその時はまあいいか、なんて。

ありすちゃんみたいにキレて発散させる程でもないし、気付いたら消えてるから放っておくしかない。

ぼんやり裏掲示板を見ていたら、とみりさんから《開けてー》とLINEがきた。
あいつ、今日も来やがったのか。








ピピピッ ピピピッ


あいかわらずコンビニで大量の飲食物を買ってきたとみりさんを横目に、ベッドで爆睡してしまった。
ハッと目を覚ますとすでに朝日が昇っていて、耳元のアラームに急かされてベッドから落ちる。

どたーん、眼が覚めるどころか永遠と眠るとこだった。

ぶつけた後頭部をさすりながら星が飛ぶようにチカチカする目をしきりに瞬きさせる。


「とみりさん……?」


昨日泊まりにきたその人は、すでに出ていった様子。
机の上に律儀に置かれたサンドウィッチに、LINEを確認する。どうやらおれの朝ごはんにしろとのことらしい。冷蔵庫にはココアが入ってると書いてあるけど、朝からココアは飲まないかな。

とりあえず冷蔵庫をみてみたらココアどころじゃなく、チューハイ缶が5本も入ってる。お前の家か、ここは。
ありがたくサンドウィッチだけ食べて、家を出る前にお礼のLINEをしておいた。やっぱり返事は草生やしてくるだけだった。



「え……」

「……あれ?おはよう」



店の前にくるまを止めると、トランクを持ったありすちゃんがいた。

おれがおはようと言ったからつられたのか、驚いた様子でおはようございますと返ってくる。
こんな朝、といってもまだ9時なんだけど、いつも昼頃に顔をだすのに今日ははやいな。帰る前に顔を出そうと思ってきてくれたのかな?


「うちの店、11時オープンだよ」

「あ、いや。谷やんが空港まで送ってくれるって」

「……だれが?」

「谷やんが」


あのひとバイクしか持ってないのに、大荷物のトランクなんて積めないだろ。

ふーん、と返してすぐお互いに顔を見合わせて、おれだけハッとした。あれ?まさか、おれが送る感じなのでは。
急いで車の中のかばんからアイファンを取り出すと、谷やんに電話をかける。


『……はいはーい!あ、西野?』

「おはよ谷やん」

『あ、かけてきたってことはわたると会ったな』

「会ったっていうか、わたる待ってるよ」


じぶんの名前がでたから気になるのか、すすすっと近づいて横に並んで耳をすますありすちゃん。

少しだけ向こうが背ぇ高いので屈まれてなんか悔しい。
近い頭に軽く頭突きをしてやると、痛っと笑いながら屈むのをやめた。おれもちょっと痛かったから、ぶつけたところを押さえて谷やんの話を聞く。


『……てことで、よろしく!』

「わかった、んじゃあね」


ありがとなー、と電話の向こうで言ってるのを最後に通話終了ボタンを押した。


「わたる、おれが空港まで送るよ」

「谷やんは?」

「もともと俺に送らせるつもりだったんだって」


来ないよ、というとちょっとそわそわした様子で頭を下げるから変にこっちまで緊張する。

そっか、よく考えたらおれとありすちゃんがゲームを介さず、2人だけでで話すことはあまりないな。
トランクを後ろに積んでおれが運転席に乗ると、助手席におずおずと乗り込んでくるから思わず笑ってしまった。


「何笑ってんの」

「借りてきた猫みたい」


いつもの威勢の良さはどこ行った。

照れたように窓のほうをむくのもまた猫みたいで、ハンドルに手をかけたまま眺めてたら早く出発しろと怒られた。





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