それは冬のある日だった。
「なんだこれ?」
アパートのポストに入っていた厚手の封筒に首を傾げる。
宛名も宛先も書かれていないその封筒には、送り主の名前もなかった。
ティーダはその封筒を手に取ると、一階の奥に位置する自分の部屋へと向かった。
新しくもないそのアパートは、新しくないからこそ値段が安い。
親のいない、バイトで生計を立てながらブリッツボールのプロ選手を目指すティーダからすればそこは良い部屋だった。
防犯面はまるでなっていないが、ティーダは男であったし、そもそも家には盗られて困るようなものすらない。
ティーダはやや乱暴に部屋の扉を開け、やはりやや乱暴にしめる。
壁が薄いアパートだけど、ティーダの隣室にはいまは誰も住んでいない。
上の住人も、いるんだかいないんだか。
とりあえず少しばかりうるさい生活音がしたとしても苦情が来たことはなかった。
ティーダは六畳の1Kの我が城に入ると、そのまま鞄と封筒を床に放った。
そしてそのままベッドへとダイブすると、体に溜まった疲れからずるずると意識が眠気の方へと遷移していく。
生活のためのバイトで疲れている。本当ならば、食事やらシャワーやら寝る前にやらなければならないことがあるが・・・・・・それは寝てからやるとしよう。
「・・・・・・あー・・・疲れたー・・・」
ティーダは一言そう呟くと、食事もシャワーも、放られた封筒すらも忘れて眠りへと体をゆだねた。
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