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家出少女視点。












ああ、今度もだめだった。

衣装ケースから男が残していった下着を取り出しどこへというでもなく放り投げて、私は煙草に火をつけた。苦く吐き出した紫煙をぼんやりと眺めれば、またあの日々の記憶がよみがえる。
まだブラジャーもつけていなかった少女の日に、たった数日ともに過ごし、そして別れた。あれから一度も会っていないし、今どこでどうしているのかも知らない。

あれが私の初恋だった。

今もそれを引き摺っているのかは判らない。ただ確かなのは、あれから何度素敵な男性と巡り会っても、その人のために爪をみがこうとは思えないってこと。
煙を肺の奥まで飲み込んで、ゆっくりと吐き出す。


これは、なにも知らなかった少女のころの、初恋の記憶。




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