「テツヤってさー、表情に乏しい、よね?」

「……はい?」


目の前でボクの顔を覗き込むのは、付き合って3ヶ月の可愛い可愛い可愛い彼女の水無月カンナさん。あ、ちなみにここ、ボクの部屋、なんですけど、カンナさんは部活が終わったあと、時々こうしてボクの家に寄ってくれるんです。まぁ今日はたまたまうちの家族が出払ってて、2人きり、なんて状況なんですけど。

ボクの部屋でベッドを背もたれに一緒にテレビを見ていたら、カンナさんの顔が急にテレビからボクの方に向いて、冒頭の質問。急に、なんですか?


「あ、ごめんごめん。嫌なワケじゃないの。ただちょっとそう思っただけで。」


悪口とかじゃないんだよ?と上目遣い+小首傾げで言われて胸の奥がきゅんと音をたてる。無意識って、怖いです。


「別に怒ってません。確かに、ボクはあまり感情を表に出しませんしね。」


でも、バスケの時は役に立つんですよ?と付け足しておく。「なるほど!」と手のひらを打った彼女の頭を思わず撫でると、理由も聞かずにただ目を細める彼女が堪らなく愛しかった。その時、ピロピロリンと、ボクのケータイが初期設定から変えていない、メールの受信を知らせる音を出した。母さんからですね。


「お母さん?なんて?」

「今日は父さんと一緒に、親戚の家に泊まって行きます。だそうです。」


お夕飯は冷蔵庫にあるもので食べてね。と、最後まで目を通してケータイをしまう。さっき帰りにカンナさんとマジバ寄ってきたので、それで充分ですね。と考えていたら、隣でカンナさんが騒ぎ出した。まったく、読めない人ですね。


「ええぇ?!じゃあ今日はテツヤひとりじゃん!?寂しくないの?てか、こんな時までポーカーフェイス?!」

「お、大きな声でどうしたんですか…。よくあることではないですけど、そんなに慌てることじゃ…」

「だって夜だよ?!寂しいじゃん!」


目大きくして胸を張って言うカンナさんに少し吹き出すと「なんで笑うのー?!」と顔を少し赤くしていた。


「すみません。可愛くて。」


と、本音を言えば、赤みが差していた程度のカンナさんの頬はカーっと一気に赤くなり、それは耳まで広がった。「ぅー…」と小さく唸って体育座りの足にその林檎のような顔を埋めるカンナさんに理性が飛びかける。だめだだめだと頭を振ってそれをなんとかしてから向き直る。3ヶ月も大事に大事にして来たんですから。

そういえばカンナさん家の門限は意外と緩くて、こんな時間まで可愛い娘を放置するなんて、と逆に親御さんを叱りたい気分になった。


「も…テツヤのばかぁ…。……んー…こうなったら!!」


またしても突然の大声の後、カンナさんは何を思ったのか、ボクに飛び付いてきました。ボクの驚き加減がわかりますか?読書が趣味のボクでもなかなか表現できません。


「なっ?!カンナさん??!」

「くーらえーテツヤー!」


くらえって、何をですか?!と、ボクの頭はパニック状態。わたわたとカンナさんを剥がしに行っても、カンナさんは剥がれない。…と、カンナさんが次の行動に移る。


「わっわっわっ!!な、ちょっ、なにするんですか?!!」

「こちょこちょこちょ〜!」

「あはっ、ちょっと!や、やめてくださいっ!」

「どーだテツヤぁー!」

「は、ははっ、やめ、カンナさ、くっ」


ボクの脇腹をカンナさんがなぜて、切れそうな理性に拍車がかかる。そして、ボクの太ももにカンナさんの手が触れた瞬間、それは限界を迎えて、ボクの中でブチッという音をたてて切れた。



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