「黒子くん。」
今日も廊下に出て黒子を探す。探さなければいけない、ということに悲しくなる。こんなに好きなのに、どうして私には、見つけられないの、と。
「黒子くん」
再度名前を呼んでも、新設されたばかりの綺麗な廊下と、そこを行き交う人ごみにのまれるように消える。
「水無月さん」
聞き覚えのある声に振り返るとそこには自分の探し人。自分より少し背の高い黒子の姿があった。あぁ、今日もだ。
「あ、黒子くんはっけーん!お昼食べようよ!」
ボクが水無月さんを見つけたんですよ。と言う言葉に、だねー、と返して、チクリと痛んだ胸を隠して笑顔を貼り付けた。
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