「それでね…」



屋上でサンドイッチを食べながら話をする。放課後も休日も忙しい彼との大切な時間。黒子は私の話を頷きながら聞いてくれる。時々、それはダメですね、なんてつっこんでくれながら。


あはは、と笑って1つの話が終わる。さて次は何の話をしよう、と一瞬頭を働かせた時だった。



「水無月さん」

「ん?」

「ボクから1つ聞いていいですか?」

「いーよ?」



「どうしてあなたは、ボクを見つける度、悲しそうな顔をするんですか?」



すとん、と。彼が得意とするパスのように私の胸へと届けられた質問。彼は、知っていた?この気持ちを?気付いていた?この感情に?



「どうして」



やっと出たその言葉にはいくつかの意味が含まれてしまった。どうして気付いたの?どうしてそう思ったの?どうして私はあなたを見つけられないの?どうして?



こんなに、好きなのに。



「ほんの一瞬だけ、あなたが振り返る時にそう見えるんです。違いましたか?」



疑問系で尋ねる彼の顔は相も変わらずポーカーフェイスで、だけど今は自分の質問に対しての確信を持っているようにも見えた。



「…。」



私にはあなたの姿すら見つけられないのに、あなたは私が隠そうとしてる心まで見つけてしまう。
ふっ、と涙腺がゆるむのがわかった。ダメ、泣き顔なんか見せたくないのに。



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