飽き反芻

飽き反芻_愛と嫉妬と束縛 | ナノ
愛と嫉妬と束縛


私が初めて蜘蛛と出会ってから1年。フェイタンの蜘蛛の仕事は、3ヶ月に1度程度で早ければ1週間長くても3週間くらい。その間は一人で留守番をしているが、大抵食料は用意してから仕事に行ってくれる。絶対に家から出るなと言われているわけではないので、買い物に位はたまに出るけれど必要最低限の外出しかしていない。今回の仕事も今日の夜には帰ってくると言っていたので、ずっと家にいた。
最近よく思うのが、このままだと私は本当にフェイタンが居なくなってしまったら何もできない人間になるなっとつくづく思うのだ。
この世界に来てから1年半が経とうとしているにもかかわらず、私が知っている事と言えばフェイタンが幻影旅団という、蜘蛛に所属している事。この世界には念と言う能力がある事。後、フィンクスが前にハンター協会って言うプロの集まりがあるって言ってたこと。それ以外何も知らない。この世界には学校があるのかとか、マフィアとか盗賊とかがいるのは知ってるけど他にどんな職業があるのかとか。
私が知ってるのは蜘蛛と出会って数日間に行った場所とこの家の中だけ。重度の箱入り娘な気がする。

―ヴゥーヴゥーヴゥー

「え?」

携帯が鳴ったのでフェイタンかなとか思いながらベッドのサイドテーブルに置いていた携帯を手に取ってみると画面に『シャルナーク』と表示されていた。この1年一度も電話のかかってきたことのない相手っというか、フェイタン以外から電話がかかってきたのも初めてな上に、私の携帯にはフェイタン以外の連絡先は入っていなかったはずなのに何時の間にシャルの番号が入れられていたんだろうか。とりあえず、無視するのもなっと気遣い半分暇だからいいかと言う気持ちが半分で電話に出た。

「久しぶりリノン、一回も電話してくれないとか寂しいんだけど」

「いや、何時連絡先入れたの?」

「1年前?フェイタンに連絡するときに気付くかなと思ったんだけど」

そう言えば、フェイタンしか連絡先に入っていなかったし、連絡を取っているのがフェイタンしかいなかったから今まで履歴から電話してたから気付かなかったのかっと納得した。まぁ、気づいていたら連絡したかと聞かれるとしてなかったと思うけど。

「どうしたの?」

「リノンさ、ハンター試験受けてみる気ない?」

丁度さっき私の数少ないこの世界の知識の一つに出てきたハンターと言う言葉に少し興味を持った。ただ、フィンクス曰くプロ集団という事はかなり強い人たちの集まりだろうし、私なんかが受けても受かるものなのだろうか。それに一番の問題はフェイタンがそれを許してくれるかだ。まぁ、受験日について行ってもらって待っといてもらえば不可能ではないか。でも、それを受けて受かったらハンターって職業に就職することになるのかな?そしたら仕事しないといけなくなったらフェイタン怒るかな。

「ハンターの雇用形態ってどんな感じなの?」

「アハハハッ、、雇用形態って、資格だから別に働かなくても大丈夫だよ」

「なんだ、資格なんだ」

てっきり、職業かと思ったとシャルに言うと、それも間違って無くて、ハンターの資格があれば、色んなことが優遇されて、ほとんどの施設を無料で使えて、ほとんどの入国禁止や立ち入り禁止区域にも入れる試験に受かった時にもらえるライセンスカードは売れば1億ジェニー以上の価値があるらしい。尚且つハンターの資格がないと慣れない職業もあるんだとか。国家資格じゃなくて世界共通の資格って事か。
便利かも。今は働かなくても良いけど、何時か働かなきゃいけなくなった時でもそれがあれば就職先だって困らないだろうし。

「でも、なんで私に?なんかシャルにメリットがあるの?」

「それがあれば色んな情報も見放題だからさ、手伝ってくれないかなと」

あぁ、ですよね。シャルが何のメリットもなしに私にそれだけを言いに電話してくるなんてないと思ったわ。この一年音沙汰なかったわけだし。

「私でも受けれるような試験なの?よく考えたら私戸籍とかないよ?」

「大丈夫大丈夫!俺も戸籍とかないけど取れたから」

そんなに優遇される試験なのに戸籍がなくても取れるって凄いのかヤバイのか。っというか、盗賊でも取れるってヤバイ方だよね。
シャル曰くは、戸籍がないとダメな事でもハンターライセンスがあればOKらしい。なんて万能な資格なんだろう。そんな資格私なんかが本当に受かることが出来るのかちょっと心配になるわ。

「とりあえず、試験申し込みだけしとくよ」

「フェイタンには?」

「それはリノンから説得しといてよ、一応二人分登録しとくから、じゃね」

ちょっと!!っと言う私の声はきっと聞こえていないだろう。嫌な事だけ私に押し付けて電話を切ってしまった。



prev next

bkm
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -