飽き反芻

飽き反芻_愛と嫉妬と束縛 | ナノ
愛と嫉妬と束縛


なんてフェイタンに説明しようか。まぁ、無理だったら無理で別にいいんだけども。でも、私もちょっとは外の事も知りたいし。それに何時もフェイタンにしてもらうばかりでは申し訳ない。1年前はあんなにフェイタンの隣に立てる女になりたいとか思ってたのにもかかわらず。今の現状的に私はフェイタンの紐だ。ハンターライセンスがあればシャルの仕事の手伝いも出来るみたいだし、そうすればひいては蜘蛛の為にもなるし、そしたらちょっとはフェイタンの為にもなるだろうか。

「んーーーなんて言おう」

「何企んでるね」

「ワッ!!」

考え事をしていたからと言うと言い訳になるけど、相も変わらずフェイタンは気配を消して近づいてくるのが上手い。いや、フェイタンの気配だから気付かないのかもしれないけど。そんな事を考えてる間にフェイタンは私の上に跨り、私を見下ろしてくる。悪い事をしているわけでもないし、企んでいるわけでも無いけれどなんだか、そのまま言うと怖い目に合わされそうで、言いよどんでしまう。

「何しでかしたか。言てみるね、今なら怒らないよ」

いや、絶対嘘でしょ。なんなら何もしてなくても何かされそうな予感がするんですけど。っと思ったが、こういう時は反抗しないに限るし、この後フェイタンに交渉するにしても今怒らせたら完全アウトだ。

「その、相談があって」

恐る恐るいうとフェイタンは楽しそうに私を見る。絶対楽しんでる。私が何かしでかしてた方が楽しいとでも言いたいような目つきに少し顔が引きつるが、ここでフェイタンのペースに引き込まれれば、私は、3日後まで寝てるか。もしくは明日起きれないくらいに苛められるだろう。

「ハンター試験を受けてみたいんだけど」

「誰の差し金ね」

私が考えた事じゃないのは一瞬でばれてしまった。フェイタンの顔はさっきとは打って変わって、眉をひそめて少し不機嫌になっているのがわかる。ヤバイかもしれない。どっちに転んでもただでは済まされない気がしてきた。
ここ最近は平和すぎて、念能力が使えなくても問題は起きなかったので拷問を受けたのは結構前な気がする。時間を置けば置くほどそれを想像するだけでちょっと怖く感じる。

「どうせシャルね」

ビンゴ、流石ですね。

「受けなくていいよ」

「えっと、私が受けたいの」

私がそう言うとフェイタンの機嫌はさらに降下していく。フェイタンが私を自由にしたがらない事も、私を外に出したくない事も理解しているつもりではいるが、私だってちょっとくらい外に出たいと思う。それに、フェイタンが仕事の時は基本的に連絡は毎日しているが出かけることを咎められてはいないので、少し淡い期待をしていた事もあったので少し意地になる。

「持ってたら便利だろうし、少しくらい役に立ちたい」

「別にリノンはそのままでいいね」

違う。違うのわかってない。私は、フェイタンに守られてばっかりは嫌なのに。あの時だってそれで、喧嘩したのに。
1年たってまた同じことで言いあうのは嫌なのに。

「それでも、これからもずっとフェイタンに守ってもらうばっかりはヤダ」

「ハンターじゃなくても良いね」

「だったら、何だったらいいの?」

それはっとフェイタンは言い淀んだ。きっと私が、蜘蛛に入りたいって言ってもダメだろうし、外で働きたいって言ってもダメって言うだろうし、結局全部だめって言われるのは目に見えてる。それじゃ、この先何一つこの生活はかわらない。
とりあえず、今回の目的はハンターライセンスを取って危なく無い事で蜘蛛の役に立つことから始めることが目的だし、最終手段を早速使う事にした。

「一人じゃなくて?フェイタンも一緒に受けに来てくれない?」

「ハァ、、それもシャルの入れ知恵ね」

「エヘ、やっぱりわかる?」

当たり前よっとフェイタンは言ったが、さっきほど険しい顔をしていないという事は納得してくれたのだろう。

「とりあえず、受けに行くなら念が使えることにこしたことはないね」

「え?」

まぁ、そうなんだろうけど。そうなんだろうけど、待ってっと言う間もなく私の口に口枷を噛ませたフェイタンを見ると久しぶりに凄く興奮したように私を見下ろしていた。まだ、ハンター試験まで3週間もあるのに今日しても意味は無いよっと言いたかったが、きっとそれはわかった上でやっている事は明白だ。


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