飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛


「嬢ちゃん今日も来たのか」

私は昨日来た定食屋さんに来ていた。ホテルにはキッチンも無いので必然的に何処かで食べて帰ることになるのだが、基本食にもこだわりがないので美味しく食べれればそれでいい。昨日食べに来たが美味しいしメニューも豊富だったのでまた、同じ店に入ってしまった。

「座れます?」

昨日もそこそこ人が入っていたが今日はほぼ満員で空いている席が見当たらない。

「ちょっと待ってな、、おぃ、もう食べ終わったろ」

店主はそう言って昨日も見かけたおじさんに言った。仲が良いのかそのお客が、おぉ、可愛いお客だもんな、ここ座んなっと席を譲ってお会計に行った。私はせっかく席を譲って貰ったので礼を言って席に座った。

「今日は近くで大きな展示会があってな、珍しく繁盛してんだ。狭くて悪いな」

「展示会ですか?」

「あぁ、展示物はそんな面白いもんじゃねぇんだけどな」

そう言って店主は私に机に置いている紙を指差して、それだよっと言った。私はとりあえずサッパリ鳥の唐揚げ定食を頼んだ。唐揚げなのにサッパリなのがよくわからないが。
料理が運ばれて来るまでの間暇なので店主が言っていた紙を手にとって眺める。

−世界の異物

と書かれたチラシには石器や武器、何だかよくわからない石ころが写っている。ただ、武器の中には変わった形の綺麗な作りのものもありきになる。

「今日からやってるらしいぜ」

となりに座っていたお兄さんが、私が持っていたチラシを指差してそう言った。あまり、人と関わるとフェイタンがよく思わないのでそうなんですかっとだけ答えてチラシを閉じた。
少しして料理が運ばれてくる。私はそれを食べながら、今は昼だし17時までは時間がある。展示会場はここから徒歩10分程度だろうしっと考える。

「嬢ちゃん行くんなら割引券あるから持ってくかい?」

「あっ、ありがとうございます。」

私は、割引券も貰ったし、捨てるのも勿体ないので行くことに決めて、お金を払って店出た。

店を出て少し歩くとフェイタンと出会った街とは違い大きな建物はないが、露天が並んでいたりして賑わっている。お目当ての展示会場は、この街一番の豪華な建物で行われるようで、少し離れているこの場所からでもよく見える。少しお城のような作りの建物だ。
近くまで行くと長蛇の列ができていた。並ぼうか少し悩んだが、どうせ帰っても暇を持て余すだけだしっと並ぶことに決めた。
意外に早く列は進みあと半分程になったところに

「予定人数より多くのお客様にご参加頂き、誠に申し訳ございませんが一部のお客様には夜の展示会のご案内をさせていただきます。」

と少し前から展示会のスタッフらしき人の声が聞こえてきた。だが、進み具合からいえば入りきるだろうし、誰がここまで来て列から離れるんだと思っていたが、意外にも声をかけられた人達は整理券らしきものを受け取って列から離れていく。
スタッフは全ての客に案内をしているわけではなさそうで、前の客を何人もすっ飛ばして先程と同じセリフで私に声をかけてきた。その際に定食屋で見たチラシを渡してくる。それを受け取って気づいた。

−念?

気づいてすぐに凝で見てみると、そこには、念で18時よりとだけ書いていた。

−困ったな

私にチラシを渡したスタッフは私の側を離れて次の客にチラシを渡すべく離れていった。18時はフェイタンの門限の17時を超えている。でも、気になる。
このまま並んでいれば、きっと普通に展示は観れるだろうが、それ以上に興味をそそるものが出来てしまえば、何だかみる気もなくなってくる。
どっちにしても、お昼の回を見るなら明日でも良いし、とりあえず帰ろうとホテルに戻る事にした。






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