飽き反芻

飽き反芻_痛みと愛と呪縛 | ナノ
痛みと愛と呪縛



ホテルに帰った私は、部屋着に着替えてベッドに転がりながら貰ったチラシを眺めていた。気になるとてもきになるけど、フェイタンにバレたらきっとすごく怒られる。んー、と悩んでいると

−ヴゥーヴゥー

携帯が鳴ってドキッと心臓が跳ねた。急いで携帯を手に取り、電話にでた。

「何してるか17時超えてるね」

チラッと携帯から目を離して時間を見ると17時10分だった。昨日は時間丁度に電話したが、今日は考えている間に時間が過ぎていたみたいだ。

「ごめん、時間見てなかった」

「何してたか」

少しフェイタンが怪しんだようにそう聞いてくるので、ご飯を食べに行って、少し街を見て回ったと直ぐに答えた。フェイタンはそうかとだけ答えて黙る。
まだ、何かしたわけじゃないのに少しドキドキする自分がいる。

「ちゃんと部屋に帰たか?」

フェイタンは昨日と同じようにそう言った。

「フェイタン、そんなにしつこいと愛想つかされちゃうよ」

シャルの声が後ろから聞こえてくる。全くシャルは、そうやってフェイタンにいらない事を吹き込んでフェイタンを不安にさせる事言わないでよっと思いながら

「フェイタン、シャルに余計なお世話だって言っといて」

「リノンはシャルの事嫌い言てるね」

全然違うけどまぁ、それでもいいやっと思いながら聞いてると後ろから、シャルがそんなぁっと嘆いているのが聞こえた。何だか面白くて笑ってしまう。
そんな楽しい時間もすぐに終わってしまう。

「そろそろ仕事の時間だよ」

「わかてるね」

シャルの声にフェイタンはまた明日電話するねっと言って、シャルは仕事が終わったら遊びに行こうと言ってきた。それには返事はしなかったが、少し楽しみにしていいだろうか。

「フェイタンが良いって言ったらね」

私がそう言うとフェイタンが気が向いたらねっと言って電話を切った。

「遊びにかぁ」

私は切れた携帯と一緒にベッドにダイブする。やっぱり電話が切れた後は寂しくなるなっと思いながら電話を見た。時刻は17時20分。

ふと、私の心の悪魔が囁く、定例の連絡は終わったし、これから出掛けてもバレないよっとそれと同時にバレたら大変だしダメダメっと思う自分もいてんー、と悩む。
そうして悩んでいる間に携帯をチラッと見ると17時30分になっている。

−今日だけ、1時間で帰ってこよう

私はそう考えて服を着替える。フェイタンに貰った服に袖を通して、少し悪い事をする時のようにドキドキとなる心臓の音に気づかぬふりをしながらホテルをでた。

昼間とは違い少し落ち着いた雰囲気の街は、まだ、夕日が登っていて少し明るいが、ご飯屋さん以外の店はたたまれていて、静かだ。

私は少し高鳴る鼓動をよそに展示会場に小走りで向かった。会場に着く頃には少し肌寒い季節のせいか、日は落ちて少し薄暗い。会場は前まで来ても中の灯りが外には見えず、入り口だけが光っていた。

昼間のような列はできておらず、私の前に数組が中に入っていくのが見えた。

「こちらにサインをお願いします。」

入り口に立つスタッフにそう言われたので、私は先日覚えたての字で自分の名前を書くと中へどうぞっと言われ中へ入っていく。

建物の中は少し薄暗いが、展示品がよく見えるように展示物にだけライトが当てられている。

「綺麗ぇ」

一番初めに目に入ったのは少し変わった形のナイフだ。薄い刃はおそらく斬れ味が最高に良いのであろうと思わせるほど綺麗に光っている。そして、少しオーラを纏っている。
思わずマジマジと眺めてしまうが、1時間で帰ろうと思うとこのままでは全部見れないと思い、泣く泣く近くを離れる。

次に目に入ったのは、黒い石だった。見たことあるような形だ。気持ち悪いアイツを思い出すような楕円形のそれはっと思いすぐに展示物の説明を読む。

異世界の扉―アナザーワールド―
触れたものを異世界に飛ばすことの出来る石



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